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ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (18)

(18) 拉致

「君にここへ来てもらったのは、他でもない、君の親友の命を助けてもらいたいのだ。」

「次元はお前らに捕まるほど馬鹿じゃない。」

ボストンの郊外、空ビルの一角。もう使われなくなった廃ビルにみせかけたCIA支部。ここへルパンは呼び出されていた。武器を取りあげられ、椅子に座らされ、前で両腕に手錠をかけられて。

後ろにはピンクパンサーこと、カレンがルパンのワルサーを突きつけて立っていた。周りには覆面した男が3人。正面に立っているのは、声から察して彼女と連絡を取っていた男だ。

「ところが20日ほど前、次元大介は我々の医療施設で、ある手術を受けた。」

男はPSPか何かの映像プレーヤーを出して、映っている映像を見せた。

眠っている次元の後ろ頭にあたる場所の脳内に小さなチップを埋め込む手術の映像だ。そこは脳幹と言われ、生命を維持するのに欠かせない領域だと、素人ながらもルパンは思い起こした。

「彼の脳に埋め込まれたチップは、マイクロフィルム大だが、高性能のGPS機能(地球規模の位置監視システム)で居場所の探知が可能だ。加えて遠隔操作で決められた時刻に破壊することもできる。」

例え小さなチップでも、脳の一番大切な、生命維持機能に密着している物が破壊されたら、、。

「あいつでなけりゃ出来ねえ仕事なら、あいつに頼みな。CIAがこんなギャングまがいの脅迫する様になったんじゃ、世も終わりだな。」

「なぜ、我々がCIAと?」

「ジャの道はランチジャーってね。俺は泥棒だかんな、同業者かそうでないかは匂いで分かる。俺を捕まえるのにこんな手の込んだ事するなら、次元より先に俺にチップ埋めとくんだったな。」

「君にはそんな事をする必要はない。」

別の映像がそのプレーヤーに映し出された。不二子が半裸で縛られた映像だった。

ベッドに仰向けで体を縛られている。スケスケのネグリジェの下にショーツ一枚も身に着けずに。角度によってはあられもない格好が写しだされそうになる映像。

もっとも本人は結構楽しんでる感じにも見えたが。

「ああ~よしなさいっつの!このオ、ドスケベ野郎!俺が今助けに行くからな、待ってろよ不二子オ!」

聞こえるはずのない画面の相手に向かって叫ぶルパン。手錠したまま素早くPSPを奪い取って画面を手でおおい隠す。抜け目なくそれをポケットにしまう。

「君の親友にはあることを依頼した。」

「新大統領の暗殺かい。」

「どうやら君には何でもお見通しのようだね。」

「暗殺なんて不可能だね。だいたい1000人ものエージェントが守り、装甲車なみの鋼鉄の車に乗ってる奴をどう狙撃すれば当たるんだ。テロリスト助っ人にして、ホワイトハウスにでも押し入って殺らせるか。」

「犯人が捕まるね。」

「俺を人質にして次元をそそのかしてスケープゴート(生贄)にしようって腹ならお断りだ。」

「次元は捕まらない。我々が責任を持って安全な場所に逃がす。身代わりの男がいる。」

「どっちみち俺はあんたらの手先にはならない。」

「君への依頼は別の件だ。峰不二子が持っている地図のうち2枚しか本物ではない。」

「知ってるさ、俺の爺さんが俺に残した地図と、俺がアフリカで盗み出した地図。あとの1枚は不二子の作った駄作で、ボウズを介してガルベスが持ってたニセさ。」

「ニセのもう1枚は博士が博物館に寄贈したもので、君が盗みだして本物と入れ替えた。」

「ところが不二子たちは知らずに、俺の置いた本物を盗んで、代わりに博士のニセを元通りにおいといた。それがあんたらが取り戻したいモンなんだろ。」

「ナインシュタインは裏切り者だ。我々の重要機密を君の祖父の地図にそっくり似せた紙に収めて博物館に隠した。」

「宝の地図と見せかけて、俺の手に渡るようにな。」

「本物の地図は、今では君の祖父の物ではない。フランスからアメリカ政府が譲り受けた財産だ。宝の地図なんかではない、第二次大戦中の機密事項を記したものだ。」

「何であんなに手の込んだ仕掛けで俺に残した?」

「それは言えない。」

「俺はそのニセモンは再び博物館から盗み出してあんたに渡す。だが爺さんの地図は奴から取り戻す、お前らには指一本触れさせねえ。」

「ルパン、我々は君に地図の秘密を解いて欲しいのだ。」

「博士に頼んだらどうだ。」

「彼には解けなかった。」

「へん、俺にしか解けねえよ、ちいっと奴の助けがいるがな。」

「協力はする。」

「なら不二子を解放し、次元のチップを取り出せ。」

「それは出来ない。分かってるだろう、この話は軍、いや国家の最重要機密だ、君を信用して打ち明けたのだ。その担保は取る。」

「、、、分かった。一つ聞いていいか。あんたらCIAなのに、なんで大統領の暗殺が仕事なんだ?」

「泥棒に政治の話はしない。」

「確かに俺にゃ関係ねえ。がもし二人に何かあったらただじゃおかねえぞ。」

突然、ルパンの携帯に「ルパン三世のテーマ」が鳴った。次元からだ。

「どうだ、そっちの居心地は。」

「ああ、何つうかもう、、、。」

周りの男たちが目配せし、ルパンを目で脅す。

「そらもう酒も女もじゃんじゃん、酒池肉林。俺もうヘロヘロ、、。」

話しながらルパン、隣にいるカレンに目配せし、彼女の耳元で何かを囁く。

声を元の大きさに戻して言う。

「ちょっと色っぽい声出してくんない?怪しまれっからさ。」

自分の携帯を渡す。

「あはん。」

電話口に向かって色っぽい声を入れる。こんな感じでいいのかしら、といかにも嫌々ながらの彼女。

「何でえ、やっぱり女の館でお楽しみか。今度は若返りの薬、盗って来いよ。」

次元は何か勘違いしているようだ。

「ナインシュタインの居場所はここだ。」

真ん中の男が住所のメモを差し出す。

「俺のやり方でやる。口出しはすんな。」

その手を払いのけ、話は済んだという様にルパンは立ち上がった。瞬時に手錠を外していた。縛られてる芝居に疲れたよといった風に軽く肩を回す。

ワルサーを返してもらおうとカレンの方に手を出すと、彼女は即座に言った。

「私たちのアジトを知ったあなたをすぐには解放できないのよ。」

足元目がけてワルサーから弾が一発、、、

と思いきや、銃口からアメリカの国旗が飛び出してきた。ルパンはすかさず愛銃を取り戻し、男たちへ向ける。

「君みたいに愛国心を持った立派な警察官がこんなコトしていいのかい?」

「私は組織の一員なのよ。命じられた仕事をするだけ。」

「何にも縛られずに生きる代償は自分で落とし前をつける事さ。だがそれもいいもんだぜ、俺と一緒に来ないか。」

「女を口説く暇があったら命の心配しな。」

左横の覆面の男が銃を向けながら言った。言い終わらないうちにそいつは下あごにパンチを食らい、もんどりうって倒れた。

ルパンの敏捷な動きが残りの2人の判断を迷わせた。狭い部屋では味方を撃つ危険も考えなければならない。

壁を背にしてルパンはカレンの腕を捕まえ、後ろに回るとその体を盾にして彼女の頭にワルサーを突きつける。

「おっと、優秀なエージェントを失いたくなかったら銃を捨てろ。」

「貴様に女が撃てるのか。」

フェニックスはせせら笑った。

ルパンの片眉が吊り上がった。

「俺が何の準備もなしに乗り込んで来ると思うなよ。」

得意の煙幕を一発。煙が部屋中に充満する。煙の中のルパンに銃弾が浴びせられた。

ご存知、それは風船ルパン人形だ。

エージェント3人が無音の弾をぶちこんでいる間に、ワルサーの残りの7発で真上にある天窓を正確に四角にぶち抜く。

ガラス戸が落ち、空いた穴からヘリコプターの胴体がのぞいた。自動操縦のヘリだ。

ワイヤーを投げ上げ、機体に引っ掛ける。カレンの体を守りながら。

だがいくら防弾服でも、もう限界だ。

「カレン、俺につかまれ!」

「ルパン、、。」

「早く!」

カレンはルパンの首っ玉にしがみついた。彼女をしっかり抱くと、二人はそのまま天井の穴から外へ引っ張り上げられていった。

部屋の扉をぶち破り、屋上への階段を駆け上がるエージェントたち。しかしヘリはすでにビルから100メートルも遠ざかっていた。

連絡を取るエージェント、コードネームはフェニックス。

「ルパンは取り逃がしましたが、取引成立しました。あとは奴が謎を解いて、こちらに接触するのを待つだけです。」

「ええ大丈夫です、奴を泳がせます。あと始末も万全です。」

次回に続く。

やっとルパン三世小説らしくなってきたぜ、来週も見逃すなよ、ほいじゃま。

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