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2009年7月

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(31)

(31)謎の薬

「ルパン、あなたの言ってたデータが取れたわ。」

「さすが、元CIAの凄腕。」

「もと、じゃないわ。実はまだ首が繋がってる。」

「そうなんだ、、。ボスは俺と組むのをOKって言ったのかい?」

「あなたのやろうとしてることは詳しくは、、、話してない。でも、フェニックスの策謀を探るためにあなたに協力している事を知らせた。」

「つまり君のボスは、君に大統領暗殺の黒幕を探らせるプラス俺を監視して、お宝を掘り出す犬か猫みたいに鈴つけとくって腹だ。」

「犬、、。」

「か~わいい鈴だことオ、俺喜んで犬になっちゃう。ここ掘るワン、ワン。」

犬のマネして体ごとスリスリし、頬をナメたがるHな悪乗り男をカレンは払いのける。

「30年前まで遡ってあのZEDの中にある、かつては軍の医療機関で、CIAの研究施設だった病院「HOS」のことを調べ上げたわ。

今は廃屋になってるあの建物は、1990年代までは、最先端のハイテクが使われた病院だった。」

「何の研究が行われていたんだ。」

「これよ。」

パソコンに映し出されたのは、ルパンがかつてパイカルから奪い取ったあの不思議な化学式だった。その薬の名は略称、DUST(=ごみ、ほこり、塵)。

皮膚に塗ると、皮膚の熱でとけ、特殊な化学反応を起こして、硬い皮膜を作る。その硬さは、至近距離で被弾しても、ワルサーやマグナム級の短銃の弾ならほとんど傷を与えないほどの強度がある。

パイカルはこの薬品を自分で化合して体を保護していた。彼はまた、全身に火傷のあと(ケロイド)が残っていたが、この薬を塗ることで、皮膚そのものを修復させるのにも使っていた。

汗や垢で剥がれ落ちるため、長くて2日ほどしかその効果は続かない。

「この薬、始めはNASAの宇宙服を作る目的で注目され、研究開発されたんだけど、服の繊維を強くするだけでなく皮膚の再生に強力に作用することが当時の病院の研究で分かったの。」

「火傷をした患者、つまり兵士の皮膚に塗って再生力を高めるだけでなく、皮膚を強くし、おそらく弾が当たっても死なない奴を作ろうとした、、。」

「当時のカルテや記録が残ってないので、何とも言えないけど、相当数の患者、湾岸戦争なんかで負傷した人にも使われたらしいわ。」

「だが、実際に戦争の兵器として開発されてはいなかった。」

「それがこの薬、火傷した人には効くんだけど、健康な皮膚の人に使うとなぜか一定量以上塗ると心筋梗塞とか心不全とかの副作用が起こるらしいの。」

「それで実用化できないままにこの研究は闇に葬られたのか。」

「ごく最近までは。」

「最近まで?」

「iPS細胞、つまり万能細胞が発見されてから一転、実用化できる可能性が出てきた。」

「俺、専門は泥棒なもんで、やさしく説明してほしんだけっども。」

「培養してほかの臓器に移植するとそこでどんな細胞にでもなる万能細胞よ。この薬で一定期間万能細胞を培養したあと皮膚に移植すれば、健康で丈夫な皮膚を持った人になるわけ。弾を通さない皮膚だって出来るのかも。」

「なるほど、そうなれば人間弾除けがどんどん量産できるって寸法だな。」

「子供がたくさん入院してたのは1980年代から90年代にかけて。それ以後は何か、医療事故か細菌感染か何かが起こってこの病院は閉鎖された。」

「その頃の手術患者でうまくいった例はあるのか。」

「ジョアンよ。」

「彼女が?」

「あの子は子供の頃、皮膚細胞にメラニンが作られなくなる免疫異常の病気だった。

お日様の光を浴びると火傷して治らないの。全身火傷すると死んでしまうから、カーテンを引いた部屋で子供時代を過ごしたの。

あの病院でいいお医者様に巡り合って治療を受けた。私は子供だったからよく覚えていないけど、皮膚を一部剥がしてそこへ培養されてできた皮膚を植え付ける、そんな事の繰り返しで彼女はずっと病院にいたわ。」

「彼女が成長するにつれて肌の色が黒くなったっていうのは何故だい?」

「移植された細胞が、黒人のものだったからっていう説明だった。でも、万能細胞なんだからそんなのおかしいわよね。」

「鎌田について、何か情報は?」

「19XX年に鎌田という研究者がいたけど、その後の職員名簿には無くなってる。その人の子供も、顔に火傷を負って、ここへ入院してる。パソコン導入されてからのカルテに残ってたの。」

「つまり、そいつの子供がここで治療を受け、そいつがその後薬を盗んで逃げちまったって事も有り得るわけだな。」

「あなたの知ってる男が、鎌田かどうかは分からないわ。」

「何か、特徴とかなかった?そいつの人相?」

「その研究者も実験中の事故で皮膚に火傷を負ってるわ。その治療後に失踪してる。」

鎌田が果たしてあのパイカルなのか、その子供は、、、、。

ルパンはルイスのことを思った。

あいつはこの病院に入院していた事があると言っていた。もしかすると、、、。

次回に続く。

「尋常性白斑」て病気を知ってますか?先月亡くなったあの、マイケル・ジャクソンさんもこの病気でした。皮膚の中にあるメラノサイトが減少して、だんだん色が白くなっていく。若者にもある、後天的な皮膚の異常で、原因は分からない。太陽光線でやけどすることもあるらしいです。

自分がこの小説を書き上げた時、マイケルさんがこの病気ということを知りませんでした。彼の死によってこの病気は一躍有名になりました。

言われなき中傷を受けただろね、彼。「黒人であることを嫌って、皮膚を脱色してる。」なんて実しやかに記事にも書かれてましたからね。

裏の顔と表の顔、どちらもきっと彼の真の姿。生前いろんなスキャンダルを抱え、その死の原因にも疑惑を持たれたまま亡くなった彼。

彼が善人か悪人かはいろんな見方ができるけど、偉大なミュージシャンであることは間違いないでしょう。「天才的な」資質を持ち、超人であるかのような華やかな彼の舞台の裏には、様々な持病との闘いと克服の日々があったようです。

ちょうど一月たちました。ご冥福をお祈りします。

ルパン三世にも持病があったら面白いですね。虫歯とか、水虫とかは持ってるようですし。ツタンカーメンの黄金の仮面を被ったら発狂した(?)こともあるので、案外暗示や催眠術にかかり易いタイプかもしれません。

催眠術をかけられて別人になったルパンの話ってのも書いてみたいですね。

何?そんなの読みたくないって?

是非、次の小説にします。喘息で、アトピーで、アル中で、被害妄想のルパン三世。(笑)

マイケル・ジャクソンさんの尋常性白斑について

詳しく知りたい人はここから調べてみてくれ。

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ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(30)

(30) 次元の迷い 

次元は迷っていた。

自分がルパンの足手まといになってはいけない。あいつの今度のヤマは、爺さんの代からやりかけてた仕事にケリをつける事だ。

あいつは世紀の怪盗の孫としてプライドを賭けている。爺さんをどこまで越えられるかに執念を燃やしてる。よりによってそんな時に、俺は不注意にも失態をやらかした。

脳味噌がどうかなっちまうなんてやってみなきゃ分からねえじゃねえか。いやいっそ、ひと思いに殺っちまってくれ。

作戦のための準備は整った。世界中のレーダーに探知されないように、プラズマアンテナや電波吸収体を搭載し、最新の流体力学に基づく設計、抜群のコントロールと推進力を持つ大型飛行船。

世界中にいるルパン一味への協力者のおかげで万全だった。

ルパンがナインシュタインから手に入れたZEDへの侵入経路に関するデータは船のパソコンにもカレンのパソコンにも送った。自分たちの潜入を偽装するニセ映像もCIA本部へ正常にテスト送信された。暗闇を走破するためのビデオカメラ付き暗視ゴーグルの調子も良かった。

だが今回、俺はあいつとは行けない。一緒に行けば、CIAの連中にルパンの居所を知らせるようなもんだからだ。こんなに大事な、ここ一番の大勝負なのに、、。

数え切れないほどの修羅場をあいつと共にくぐってきた。いつも一緒だった。幾度となく生死の境を共にして、俺たちは夢を一つにした。

俺が一緒に行かねえなんて、泥棒が夢、盗まれたみてえなもんだ。

夢って言やあ、いつか俺のことを「クラシック」だと言ったっけ。お前の方こそ高級浪花節もクラシックも俺よりはるかに上いってる癖してよオ。

「次元、しょぼくれんなよ、俺代わりに行ってやるからさ。」

ルパンの皮を被ったままのルイス。警察の車を無事振り切ってアジトへ辿りついた。それからはずっと次元につきまとい、付き人同然にアジトに出入りしていた。

「俺が帰って来るまで手出しするな。」

「ルパンが中に入ったら、俺があんたの代わりにサポートするよ。」

「馬鹿言うな、シロートの出る幕じゃねえ、遠慮しな。」

「あんたが行かねえなら、あそこへ一人で入るのは無理だ。」

「お前連れてじゃ、もっと無理だ。」

「へへ、俺、病院の中を知ってるんだぜ。」

「お前があすこへ入院してたの、子供の頃だろーが。」

「でも、ちゃあんと頭の中に見取り図が納まってら。ルパンが盗ってきたのがニセの情報だったらどうすんだ。」

「、、、ま、一理あるな。」

「じゃ、決まりだ。」

「武器は持っていくな。」

「それじゃ身を守れない。」

「だからお前はシロートなんだ。銃なんか持ってったら自分の足、間違えて撃つことになるぜ。」

「、、、あんたの言うとおりにする。じゃ何使えば守れる?」

次元は自分の頭を指差す。

「お前が使えるのはここだけさ。」

「頭?」

「それ以外に何がある。」

「分かった。あんたも俺たちが帰って来るまでにうっかり頭壊すなよ。」

「相変わらず口の減らねえ小僧だ。」

次元とルイスはルパンの連絡があるまで作戦遂行の日を待った。別々の秘密のアジトで、居所がばれないように。

次元は刻々と迫る大統領就任式の日を数えた。ついに2ヶ月を切った。

俺が例え逃げたとしても、誰か他の奴が出し抜くかもしれねえな。

それにしてもあいつが俺に関して何も手を打たないのは不思議だ。女のアパートでほんとに作戦練ってるんだろうか。仕事そっちのけであの女に入れあげてんじゃねえだろな。

「その女たらしが命取り」ってメールで送りつけてやりてえぜ。だが今はやりとりは自粛だ。脳外科の医者にかかりてえのは山々だがそこから足がついちまったら困る。

何をするにしてもルパンの作戦の足を引っ張るような事にならないか、それだけが次元の気がかりだった。

次回に続く。

夏休みに入りましたね。全国の若者の諸君。

学生にとっては天国の7~8月。社会人の君には暑さで地獄の2ヶ月かもな。体に気をつけて乗り切りなよ。俺のブログ読んで息抜きして、、。

あと数回先にルパン三世の世紀の大作戦が始まるぜ。お見逃しなく。

今、ルパン三世の2NDTVシリーズを観ながら、コミックじゃない「アルセーヌ・ルパン」の本を読んでます。

本知らん?

知らない人にご紹介。

ルパン三世のじっちゃんの話は、推理小説の古典と言われ、モーリス・ルブランというフランスの作家が今から100年ほど前に書きました。

町の図書館に行けば、アルセーヌ・ルパン全集というのがたいてい置いてあるんで、タダで借りて読むと楽しい夏休み。30巻あります。

一日1冊読めば完全制覇。どれからでも読めて1冊で完結。(813・続813は2巻で完結)

自分は今「二つの微笑を持つ女」を読んでます。

この本、おすすめ。一世がいかに女たらしかが分かる話。何しろ4人の美女を次々とモノにする。その一人には某国の女王陛下がいるんだけど、生まれた嫡男は一世そっくりのハンサムだったとか。

まさに女の敵!許せねえ!こんな男の息子の息子なら、不二子とカレンを同時に愛人にするなんざ、朝飯前だろね。(本心は、浦山氏~浦山氏~)

原作者ルブランさんとルパン三世のコミックはなんの関係もありません。でも、あまりに性格が似てるんでモンキーパンチさんはアルセーヌ・ルパンを現代の若者にかえて蘇らせたのかと思う位ですね。100年前にしちゃ、今使えるネタがふんだんにあります。

最新名探偵コナン映画の「漆黒の追跡者」の謎解きネタに「カリオストロ伯爵夫人」に使われたのとほとんど同じのが使われてます。ほとんどってか、パクリじゃねえかな。

「ルパンVS名探偵コナン」の話の中で、コナンが預けてた自分のスケボーをホテルのフロントで返してもらう時、預かり札の番号覚えてるかい?「814」だったんだぜ。アルセーヌ・ルパンシリーズには「813」「続813」て題名の話があります。いずれも名作です。

アルセーヌ・ルパンはこの話の最後に自殺を図ります。九死に一生を得て、新しい偽名を持ったのが「ルイス」でした。新生ルパンの名前だ。んで俺の小説に出てくる若造にはその名をつけました。

ほいじゃま。

追伸:何度も言うようだが、トラックバックはくれぐれも「ルパン三世」について書いてから送ってくれ!(ゲームの攻略法と病気の解説とエロいサイトは禁止だ。)

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ここらでちょっと番外編「クリカンもマッツアオ・山田康雄声優発見」

超・超おもしろ動画発見!

「ルピン」さん演ずるルパン三世の世界。

山田康雄さんの霊がのりうつったかのような声演!

ここまで似てると気持ちワル~。

、、、くはないです。性格までそっくりのフェイクルパン三世が演じるショートストーリー。銭形の声もそっくりですけど、ルパン三世の出来はクリカンさんよりはるかに上!

山田康雄さんに似てるかどうか、という基準で、ですよ。

ほんとにこの方、声優ではなく、シロウトさんなんでしょうか?ラジオのDJとか?

ストーリーも練られてますね。既存の映像を組み合わせて創った新しい話。

もしかしたら、40年間のルパンアニメ映像を組み合わせたら何億通りの新しいルパンストーリーがシロウトにも作れるのかも、、。あなたもお試し下さい。既存のフィルムを繋いで「ルパン三世パート4」なんかを作ってみては。

まずはご覧下さい。

ゆうチューブより。

右サイドバーにてルピンさんの他の作品もご紹介しています。面白すぎてファンレターおくる人もいるとか、、、、、嘘だよ。

声はそっくりですが、自分の話に出てくる男とは別人、別世界ですねえ~。自分の中にあるルパン三世のイメージとは当然ですが違いますもん。

(クリカンおろせとか、そこまで言われるとむかつきますね。)

俺的には、山田ルパンと栗田ルパンは個性も声も全く別のキャラと思ってます。

それどころか、山田ルパンその人のキャラでさえ作品によって何通りも変わっていますから、40年で10人はいるんではないでしょうか、「ルパン三世」と名乗る男は。

栗田さんは彼なりのルパン三世を演じ、彼の世界を創り上げてきたし、これからもそうして欲しいと願っています。

でも、ここまで「山田ルパン」に似せて演じきれる人がいるって分かったら、いっそ、彼にも演じてもらったら面白い作品ができるんじゃねえの?

、、、なんて思ったりするんだけど、制作会社の方々、いかがなもんでしょう?

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ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(29)

(29) 密会

「今夜はニオう。」

「夜来香(イェライシャン=花の名前)よ、きっと。」

ジョアンは魅惑的な香水の香りを漂わせて、車の中から外を見張っている銭形に近づいた。

今流行のフェロモン香水だ。私服のマニッシュなスーツの前は、胸の谷間を深く、くっきりと際立たせるデザインのエンジ色のTシャツ。彼女の濃い色の肌に似合う。

まだ肌寒い午前2時なのに、銭形の顔はそれを見ただけで火照ってきた。連日の張り込みで疲れきってはいたが、彼も普通に男だった。

いかんいかん、これから奴を逮捕するのにこんなでは。いつから俺はこんなに女にだらしない男になったんだ、、。

数日前からカレンのアパート前で張っていた。奴が足繁く女の所に通っているのは情報筋から掴んでいた。今夜あたりここへしけこむはずだ。

長年の試練からか、それとも超能力か、銭形は数キロ離れた場所からでも奴の匂いだけは嗅ぎ分けられるようになっていた。シャンパンと福神漬けの混じったあの匂い。

犬のようにヒクヒクと鼻を動かして辺りの匂いを嗅ぐ。香水の香りに混じって、美味そうなコーヒーの香りがした。

「はい、これ。」

ジョアンが紙コップに入ったコーヒーを渡す。

「あ、すまんな。」

ズルズルと熱いコーヒーをすする。

「これインスタントじゃないの。あなたのために沸かして、淹れて、飛ばしてきたのよ。」

彼女は自分の白いBMWを指差して言った。

警部補ならパトカーがわりにこんな贅沢な車を乗り回してもいいのか。全くアメリカって国は、、。

銭形が張り込みのために乗っているのは中古でもめったにお目にかかれないポンコツのアメ車だ。

「おい、来たぞ。」

ジョアンは素早く銭形の車に乗り込んで、カレンのアパートに向かう男を双眼鏡兼赤外線カメラで覗き込んだ。

「あれだわ、多分。」

シャッターを切る。

「ふん、女に入れあげてのこのことサル面まんまで出かけて来おって、この銭形をナメとるな。」

銭形がドアを開けて車外へ出ようとするのをジョアンが引き止める。

「ゼニガタ、作戦が違う。あなたがここにいてくれなければ逮捕した時、本物の面が見分けられる人はいないのよ。」

「何、あんなに無防備なサル、俺がとっ捕まえてあんたに引き渡せばいいだけだ。」

止めるのも聞かず車を降りる銭形。アパートに向かって音もなく消えていった。あたりは漆黒の闇。

何の気配も物音もなく10分が過ぎた。ジョアンは時計を見ながら銭形に援軍を送るかどうかを決めかねていた。

やがて銭形が息を切らして戻ってきた。窓をコツコツ叩いて言う。

「今ここで、俺を見なかったか?」

「え?さっきコーヒー飲んでたのはあなたじゃないの?」

「馬鹿野郎!でかい目しててニセモノが見分けられねえのか、そいつがルパンだ!」

憤然として車に乗り込む。ジョアンは車の無線で全員に指示し、突入に備えた。

「あなたはここにいて。あたし達が追い込むわ。」

今度はジョアンが車を出ようとする。

「待て、奴が忍び込んでいたらカレンが連絡して来るはずだ。」

「姉はあたし達を裏切るつもりよ。」

「なぜ分かる?」

「あたしにこっそり教えてくれたの。ルパンの一味になったと見せかけて、彼を利用しようとしてる裏の組織の企みを暴くの。だから今は彼を逃がすって。」

「奴を捕まえれば秘密も暴かれる。」

「ルパンと取り引きしたのよ。あいつに協力するかわりに、行方不明になった父を一緒に探してもらうって。」

「君の親父さんって、あの海洋生物学者のロバート・スミスか?」

「そう。UCLAの研究者だった。CIAに頼まれて、どっか南の海で秘密の調査をしてるって聞いてた。失踪して5年になるけど、姉は父の行方をずっと捜してるの。」

「君の親父さんはあのZEDにいたんじゃなかったのか?」

「ZEDに移籍してすぐ行方不明になったって聞いたわ。」

「カレンは親父さんを取り戻すために組織の手先になって、奴らのいいなりに働いてるのか?」

「仕事についた頃はマジで悪党を退治したかったって。、、、そうね、彼女にはあんな危険な二重生活、嘘まみれの人生って向いてないわね。」

「君はどう?」

「あたし?あたしはスリルがあって、いい男がいれば言うことなしよ。」

「じゃ、君の好きなスリルってのを味わうとするか。」

「どんな?」

ジョアンはアンデスの山小屋の一夜を思い出した。

「あの時みたいに?」

「あの時って?」

「あたしに言わせるの?」

しばらく二人は見つめあった。

暗い車内で二人だけだ。唇が近づいて来たので、ジョアンは迷うことなく唇で受けた。座席シートを倒し、しばらく車の中で上から下まで絡み合う二人。

風邪薬のような小さな錠剤がジョアンの喉を滑っていったが、夢中で気にも留めなかった。

「警部補、そろそろガサ入れますかア?」

若い警官が現れて車の外から声をかけたが、現在お取り込み中だ。困った様子で離れていった。

「私に何飲ませたの、ゼニガタ、、。」

潤んだ瞳で恋人に訊ねるジョアン。

「君との恋がうまくいくようにさ。恋の妙薬。父つあんが俺にヤキモチ焼かねえように、先にお休みしてもらったからな。ま、目が覚めたらあとは二人でごゆっくり。」

しばらくしてぐっすりお休みになってるジョアンの隣に、先に玄関先で眠らせた本物の銭形を並べた。二人の腕に銭形の手錠をかけてからシートをフルフラットにした。

すでに車は2台ともパンクさせてある。銭形の車の無線スイッチを入れる。

「こちら銭形、ルパンにまんまと逃げられた。奴はカレン・スミスを脅して36号線からサンフランシスコ方面に向かって逃走した。我々も本部へ連絡後、すぐ合流する。」

ひっそりとアパートをとり囲んでいた5台の覆面パトには二人ずつ私服警官が乗り込んでいた。彼らは慌しく国道へ向かって走り去っていった。

銭形の姿のままアパートの玄関に立つルパン。

暗闇からふいに現れるもう一人のルパン。先に往来を歩いて行った方のだ。

「俺のルパンもイケテルだろ。いつまでこの面つけときゃいい?」

「好きなだけさ。俺が連絡するまで静かに待てって次元に言いな。」

「OK。ベンツは預かった。」

「できるだけ派手に、目立つように走ってくれ。」

「次元からの伝言。準備万端整った。」

「こっちもだ。」

「これで俺を仲間にしてくれるんだな。」

「俺の代役がまさか、捕まったりしねえだろ。」

「まかしときな、ついでに本物に成り代わってやるよ。」

二人のルパンはにやりと笑ってすれ違った。

明かりが点き、ドアをノックする前に音もなく扉が開いた。

カレンが思いつめたような瞳で立っていた。

帽子と変装の面を取り、素顔を玄関の照明灯に照らし出す。

「カレン・スミス、君を逮捕する。警察を裏切って大泥棒のハートを盗んだ罪だ。」

低く静かなルパン自身の声。

「君には黙秘する権利がある。もし、君が、、。」

カレンの顔が大輪の花のように輝き、ルパンの顔がくずれた。

「君が隣にいねえと、俺、夜眠れなくってさ。」

「黙秘しない。そのかわり、、、」

彼に抱きついて20センチも背伸びして言った。

「死ぬまで離さないって、、、、、」

今度こそほんとの、恋人同士のキス。

「、、、約束して、、、。」

ルパンがカレンを抱き上げ、アパートの扉が音もなく閉まった。

閑静な住宅街に何事もなく夜が更けていく。

次回に続く。

ルパン三世はヒドイ奴です。でなけりゃ世界一の怪盗なんかになれるわけがない。

007やバットマンと違うのは、白を黒、黒を白と言いくるめ、善人悪人問わずたらし込んで詐欺るせこいキャラクターと手口。己の欲望のためなら手段を選ばぬ人非人。

でもなぜかこの極悪人は嫌われない。40年もこのユニークなキャラが飽きられずTV画面で活躍してる。

このブログはそれを徹底究明するブログでもあります。

トワイライトジェミニで見たでしょ?不二子と二人でイイコトしようとしてる矢先、サソリの貞千代に襲われる場面。

不二子が素っ裸で殺し屋と渡り合ってる間に、自分はスタコラサッサと服持って屋根の上に逃げるあの薄情さ。

パンツはく暇がありゃ、「フ○チ○でもかまわねえから、不二子をおぶってやれよ!」って言いたくなりますでしょ?

でもねえ、ララが砂漠の砂地獄に埋まって、どうやっても助けられないと分かった彼が、思い余ってララの隣に飛び込んじゃう場面。

「ルパン、、、あなたって馬鹿ね、、。」

「そう、、馬鹿なのお~。」

あの場面はルパン三世の本質を深く語ってると思いましたね。彼は悪い奴のくせに底抜けにお人よし。、、というより女性を喜ばせるためには自分の命を捨ててもかまわない超フェミニストなんだよねえ。

(不二子に対しては突き放した態度。実は彼の深い愛情の裏返しなのかも知れません。)

久々にRED登場でした。じゃ、来週お楽しみに。

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ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢 (28)

(28) 侍魂(さむらいだましい)  

五エ門と砂漠の鷹は港の近くの宿を引き払い、オープンカーで鷹のアジトへ向かっていた。

五エ門は車の名前など全く知らなかったが、相当高級な車らしいことに驚いていた。

一方あれだけの強い毒を体に受けて死ななかったばかりか、これほど短期間で回復した五エ門に鷹の方は驚いていた。

途中、車を止めて小高い丘から港を眺める。今日は一人の手下も連れていない。

不死身の体を持って生まれた剣士たちは、もういつもの体を取り戻し、涼しい瞳で港に停泊している大きな船舶を見下ろした。

ここから市街地も見える。カイロなどに似た、中近東独特の雰囲気がある港町だ。最近出来たばかりの近代都市だ。

高層ビルが次々と建てられ、建築ラッシュの市街と並んで、ひなびた寒村や難民キャンプのようなテント村が混在する不思議な光景が広がる。昔ながらの漁師の船の隣に、小型だが現代の高速艇も浮かんでいる。

「これほど近代的な港や町並みがいつ、この辺りに出来たのか。拙者はアフリカはどこも貧しいとばかり思っていた。」

「ここはほんの3~4年前は何もない砂漠に囲まれた、小さな漁村があるばかりだった。」

「ほう。」

「我々はここにアジトを作り、近代的な船を持ち、新しい都市を作ろうと試みている。」

「どうやって。」

鷹は着ている民族衣装の前をあけ、下に来ているぴったりした鋼鉄製のスーツを見せた。彼は先だっての裏切り者の急襲にもこの秘密兵器で凌いだ。

黒く光ったボディスーツ。鎧というよりそれはSF映画で見るような、近未来の宇宙服のデザインだ。アメリカやヨーロッパなどの先進国で開発されたものを輸入したのだろうか。

「我々はもう砂に埋もれて縄張り争いをする前時代の山賊ではない。新しい未来を切り開くために、ある計画を進めている。」

「武器の取り引きか。」

「そうだ。今から行く場所にはお前が今まで見た事もないような新しい、扱いやすい兵器が揃っている。それを今から見せてやる。」

「武器の取り引きの上がりで船を買い、また新しく武器を買い集めるのか、、。」

「ヨーロッパやアメリカの商人たちが、この港で我々に安く武器を提供してくれる。アフリカ内陸の内戦地域に弾薬やTNT火薬、地雷を売れば10倍の値で売れる。」

「お主が法外な値で売りつけた武器で、お主の愛するアフリカの民が殺し合いをするわけだ。」

「イスラム圏の無法なテロリストに買われるより、我々はアフリカに貢献している。内戦を早く終結させるためにも武器は役に立っている。」

「、、、。」

やがて高級車はゆっくりと巨大な檻に近づいた。鷹が手を上げると、高い金属塀が開いた。ここではまだカードや指紋認証ではなく、顔パスだ。

車はそのまま奥行きが深く巨大な工場のような建物の前をいくつも走り過ぎた。

その一つの中に入ると、五エ門は声を上げた。

体育館のような広い兵器庫だ。

そこにはバスーカ砲、高射砲、おそらく何千箱のTNT火薬。最新式のライフル銃、自動小銃その他あらゆる種類の拳銃の見本。おそらくそれぞれの種類ごとに何十丁も入れられているらしい、積み上げられた木箱の山。

送付元は、ヨーロッパやアメリカの都市の名前が書かれていた。

他にも地雷のマークの箱。実弾や手榴弾の箱。ロケットランチャー、五エ門の知らない大きな大砲の筒か何かの鉄の塊。

ここにないものといえば、ジェット戦闘機と戦車、生物兵器それに核兵器くらいなものか、、、。

「我々は今、生物兵器のための研究施設を検討している。伝染病や感染症を予防する研究も可能だ。」

「、、、、。」

五エ門は理解に苦しんだ。なぜ、鷹が兵器などでアフリカの民を救えると本気で思っているのか。

「お主はあの砂嵐の中で拙者を救ってくれた。なぜ一人の命をこれほどに大切に扱うお主が、多くの命を殺める企てに平気で手を染められる?」

「我々の夢は遠大だ。一人の命を大切に思うからこそ、悪の手に立ち向かう力が必要なのだ。」

「お主の言う「悪」とは、貧しい者、弱い者の命を踏みにじり、大地をほしいままにする外国の権力者たちの事か。」

「それもある。がこのアフリカにはびこっているもっと根深い「悪」がある。」

「それは?」

「部族同士の軋轢。時には同じ部族であっても住む場所を争い、いがみあわねばならない。アフリカ内部での偏狭な民族や国家間の攻防・策謀。今この大陸では皆、信じること愛し合うことを忘れ、互いに猜疑心に満ちている。」

「先日お主が仲間と信じていた輩は、悉くお主を裏切った。裏切らない同志を募る。だから殺すのか。」

「きれい事では、ここでは生きていけない。」

「武器で人を脅すなら、そやつはいつか武器を持って立ち上がる。人は憎しみでは変われない。」

「お前はあの時、あの裏切り者たちをその刀で切り殺した。その手と心は、やはりあの時殺すべきではなかったと後悔するか。」

「、、、。」

「我々の夢は永遠にアフリカに平和をもたらすためだ。その道のりは遠い。今は耐えることだ。この武器は峠を越えるための、いっときの手段に過ぎない。」

手下が数人やって来て、何かを耳打ちした。これらの武器を使って、何か作戦が始まろうとしていた。兵器廠の相当数の銃、火薬などが、数台のトラックに積み込まれて出発した。

帰り道、再び港の見える丘の上に立ち、最新鋭の高速艇に武器類が積み込まれるのを崖の上から見つめた。

ここの海峡は海賊が船を襲うのに最適な場所だった。インド洋を回って紅海を超え、スエズ運河を抜ける貿易船は、必ずここを通らなければならない。

特にこの辺りは急峻な崖がせり立っていて、高速艇なら山陰(やまかげ)に隠れて大型船舶を襲いやすい入江がたくさんある。世界の三分の一の海賊がソマリア沖に出没する所以だ。

五エ門は心ならずも海賊の一味にされてしまった成り行きを後悔し始めていた。同時に、砂漠の鷹に恩義や礼節以上の何かを感じ始めた。

鷹は砂漠の呪縛から逃れ、世界の海に羽ばたこうとしている。だが五エ門には、彼が海に向かって奈落の淵に臨んでいるようにも思えた。

けだし泥棒には泥棒の論理、海賊には海賊の道ありき。

翻って拙者は、生きる意味も死ぬための理由も知らず、ただひたすらに己の修行のありようを試すのみ。生きながら屍となるも死して己の道を究めるも、己の欲と業の深さを肝に銘じ、精進すべし。

拙者こそ、迷いの峠を越えればまた一つ迷いの人生。この男の生き様はかえって潔い。

ふと、五エ門ははるか遠くの友を思った。

奴なら何と言うのだろうか。

ごちゃごちゃ言ってねえでさっさとやっちまおうぜ。やるンなら粋にやろうぜ、粋によオ。

海風に乗って奴の声が聞こえたような気がした。

次回に続く。

ソマリアの海賊が世界の三分の一というのは事実だそうです。でも、彼らの言い分が砂漠の鷹が言ってるような大義名分で、そのために働いてるかどうかは君自身がほんとのことをサイトや本で調べてみてくれ。

この小説にはソマリアの海賊問題や人種差別について触れた記述が若干出てきます。言うまでもなくこれはフィクションなんで事実でない事が書かれていることもあります。けっして自分はそれらの問題を肯定・擁護したり、一つの考え方を押し付ける者ではありません。

君自身の目や耳で、世界のニュースに関心を持って読んだり聞いたりしてほしい。

そんな願いもチョット持っています。

若者こそ世界に目を向け、政治にも関心を持たなけりゃ、自分の未来が開けねえ、、ルパンもそう言ってるぜ。

じゃな、ま~た会おうぜ。

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ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(27)

(27)続・カジノサバイバル   

「一体どういうつもりなの、ジョアン。」

賭博場から少し離れた、屋根のない開放的なバルコニー。まだ夕刻も早いうちなので人影もまばらだ。

「、、、、、姉さん?姉さんなのね、、。」

2つ上の姉を見下ろすジョアン。自分より背の高い妹を見あげるカレン。

この姉妹はなぜかその顔立ちが全く似ていない。赤銅色の肌にブロンド、頬が高くいかにもアメリカ人といったジョアンに対し、色白でキュートな体つき、日本人と言っていいような顔立ちに栗色のストレートヘアのカレン。

「あなたが出て行ってから母さん達どんなに心配したか、、。」

情感豊かなカレンはすでに涙声だ。

「あたしの事なんかかまわないで。」

冷たく言い放つジョアン。

「勝手な事言わないで。あなたを育てるのに二人がどんなに苦労したか、、。」

「治療なんてして欲しくなかったわ。」

「何て事、、、。あなたが今生きてるのは、その治療が成功したからなのよ。」

「こんな肌の色にされて、あんな辛い目にあってそれでもした方が良かったって言えるの?」

「馬鹿!」

「色が黒いってだけで、みんなあたしのこと馬鹿にしたり変な目で見るのよ。治療は失敗したのかってボブにまで言われた。」

「失敗してたら、こんなとこで日本人とゴージャスに遊んだり、お日様の光を浴びて自由になれはしなかったわ。命があるからこそあなたは、、、。」

「分かってる、あたしは自由が欲しかっただけ。」

「だから家を出たって言うの?」

「あたしの過去を知らない人の所で生きたかったの。別の所で違う人生を生きたかった。黒い肌の人間を差別しない世界。それに家族に四六時中気を遣われて暮らすなんてまっぴら。」

「あなたりっぱに仕事してるじゃない。がんばってるって聞いたわ。」

「姉さんが同じ仕事って分かってからね。」

「なぜ、今まで家に連絡もしなかったの。」

「姉さんだって私の事分かってたんでしょ。なぜ、居場所を知らせてくれなかったの?」

「それは、、。仕事上家族に知らせてはいけない秘密も、、。」

「ボブはあたしのことが原因でいなくなったの?」

「違うわ。仕事上のトラブルか何かで、、。」

「姉さんが今関わってる極秘のプロジェクトに関係がある?」

「それ、誰に聞いたの?」

「姉さんが今度配属になったのは父さんを探すために、、、」

「あのオ、お取り込み中すんませんけどオ、、、、そろそろテーブルに戻りません?」

ジョアンが去っていくと、ルパンはジョアンにこっそり付けていた盗聴マイクをカレンに見せながら言った。

「ゆっくり再会さしてあげたいけど、父つあんが怪しむとマズい。やっぱりあいつらイカサマだった。ジョアンがカードの手を教えてた。どっか隠しカメラが相手のカード覗いてる。あの賭け金も多分CIAが用意したんだ、こいつぁとんだサル芝居だ。」

「確かなの?」

「ああ。その証拠に彼女がいなくなったら父つあん途端に負けが込んで、稼いだ分の半分すっちまった。」

「妹は彼と組んで何をしてるの?」

「どうやら俺たちをおびき出す作、、、」

「ルパン逃げて!」

ながあ~く紐がついた手錠がすっ飛んできて、ルパンの手足に絡まった。

「はっはあ、気づくのが遅すぎたな、ルパン!」

同時に被ってるマスクも剥ぎ取られた。しまった、中に花火を仕込んどくんだった。

見れば、さっきテーブルを囲んだ相手の半数は銭形の仲間だった。奴らに取り囲まれた。

「あらま父つあん、新婚の嫁さんほっといて大丈夫?」

「新婚なんかじゃねえ、お前をあぶりだす陽動作戦だ!」

「やっぱり。父つあんにしちゃできすぎと思ったんだ。」

「このカジノに出没している情報は掴んでたが、こうノコノコと出かけて来るとは。」

銃を構えた男たちが数え切れないほど押しかけてきて、ルパンを取り囲んだ。ジョアンも逮捕状と一緒に銃を構えていた。

「父つあん、もしかしてどっかで逮捕状なくした?どやって俺を日本に連れてくのさ。」

「フフン、俺は善良な一般市民だ。犯罪者の逮捕に協力は惜しまない。貴様を牢屋にぶち込んだあと、ゆっくり日本で逮捕状を取る。」

「せ~こ~オ(=セコい)。邪道!」

「るせエ、お前を捕まえるのにせ~こ~ほ~(=正攻法)なんてあるかア!。」

ルパンが愛銃を懐から取り出すのと、その撃鉄に弾が当たるのが同時だった。

ジョアンが恐るべき手腕で狙い撃ちしたのだ。不覚にも取り落とすルパン。

が突然、彼の背中に背負っていた金属の箱から、炎が噴出した。

素早く銃を拾うと、ジョアンに向かってにやりと笑う。

「アンタ可愛い顔して凄腕だな。」

「不二子に聞いてなかったの?ミネアポリスでは勝負がつかなくて、二人で優勝カップを分け合ったのよ。」

ジョアンも負けずに言い返す。

ジョアンが2発めを放つ。同時のルパンの発射は空砲だった。弾はルパンの太ももを掠める。

「わざと外してんのかい。」

「実弾でなかったら心臓を狙ってるわ。」

「殺すなよ、生きたまま連れて帰らねばならん!」

周りの男たちからの集中攻撃。多分実弾ではないが当たれば眠らされる。

ルパンがジェット噴射して飛び去ろうとする寸前、カレンと銭形は左右から飛び出して腕をつかまえた。

左右の腕はやっぱりニセモノだ。手錠をつけたままのゴム手袋を握りしめ、いつものパターンで悔しがる銭形。

ルパンは中空に飛び上がった。リモコン操縦のグライダーを上空に呼び寄せながら。空にいるルパンに向かってバルコニーからエージェントたちが一斉に弾を浴びせる。

と、どこからか現れた数台の小型ヘリ。うるさく飛び回る蚊トンボのようなヘリの間を、すごい推進力のロケットでバッタのようにめまぐるしくルパンがすり抜けていく。

ヘリコプターどうしが衝突・炎上する中、カレンは人ごみをすり抜けて、バルコニーからひとりルパンを目で追った。再会した妹そっちのけにして。

彼女の瞳にはもう彼しか映らなくなっていた。

ルパンの本物の腕の袖には、カレンの短いメモ。腕を捕まえるふりして押し込んでいた。エージェントである以上彼女はルパンの逃亡を助けるわけにはいかなかった。

~ずっとあなたの味方よ。家で待ってる。~

可愛い豹のイラストが添えてあった。

「一緒に連れて行けないのは残念だが、父つあんの前でラブシーンなんて気の毒、目の毒だかんな。待ってなよ愛しのピンクパンサーちゃん、きっとお迎えに来るぜ。」

小型グライダーに飛び乗ったルパンは次に次元を思った。

あいつが加わらないヤマなんてワインのないフレンチ、夢盗まれた蛸以下だ。居所を敵に分からないようにしさえすれば、、いや待てよ、、分からないようにするんじゃなくて、、、。

次回に続く。

いやあ、読むのやめられなくなりましたね。

この小説の次回は、、不定期ですので、いつ次回が載るか判りません。2万回記念イベントもいつ載るか判らないので、こまめにチェックしてお見逃しなく。

ま~た会おうぜ。

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