ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(31)
(31)謎の薬
「ルパン、あなたの言ってたデータが取れたわ。」
「さすが、元CIAの凄腕。」
「もと、じゃないわ。実はまだ首が繋がってる。」
「そうなんだ、、。ボスは俺と組むのをOKって言ったのかい?」
「あなたのやろうとしてることは詳しくは、、、話してない。でも、フェニックスの策謀を探るためにあなたに協力している事を知らせた。」
「つまり君のボスは、君に大統領暗殺の黒幕を探らせるプラス俺を監視して、お宝を掘り出す犬か猫みたいに鈴つけとくって腹だ。」
「犬、、。」
「か~わいい鈴だことオ、俺喜んで犬になっちゃう。ここ掘るワン、ワン。」
犬のマネして体ごとスリスリし、頬をナメたがるHな悪乗り男をカレンは払いのける。
「30年前まで遡ってあのZEDの中にある、かつては軍の医療機関で、CIAの研究施設だった病院「HOS」のことを調べ上げたわ。
今は廃屋になってるあの建物は、1990年代までは、最先端のハイテクが使われた病院だった。」
「何の研究が行われていたんだ。」
「これよ。」
パソコンに映し出されたのは、ルパンがかつてパイカルから奪い取ったあの不思議な化学式だった。その薬の名は略称、DUST(=ごみ、ほこり、塵)。
皮膚に塗ると、皮膚の熱でとけ、特殊な化学反応を起こして、硬い皮膜を作る。その硬さは、至近距離で被弾しても、ワルサーやマグナム級の短銃の弾ならほとんど傷を与えないほどの強度がある。
パイカルはこの薬品を自分で化合して体を保護していた。彼はまた、全身に火傷のあと(ケロイド)が残っていたが、この薬を塗ることで、皮膚そのものを修復させるのにも使っていた。
汗や垢で剥がれ落ちるため、長くて2日ほどしかその効果は続かない。
「この薬、始めはNASAの宇宙服を作る目的で注目され、研究開発されたんだけど、服の繊維を強くするだけでなく皮膚の再生に強力に作用することが当時の病院の研究で分かったの。」
「火傷をした患者、つまり兵士の皮膚に塗って再生力を高めるだけでなく、皮膚を強くし、おそらく弾が当たっても死なない奴を作ろうとした、、。」
「当時のカルテや記録が残ってないので、何とも言えないけど、相当数の患者、湾岸戦争なんかで負傷した人にも使われたらしいわ。」
「だが、実際に戦争の兵器として開発されてはいなかった。」
「それがこの薬、火傷した人には効くんだけど、健康な皮膚の人に使うとなぜか一定量以上塗ると心筋梗塞とか心不全とかの副作用が起こるらしいの。」
「それで実用化できないままにこの研究は闇に葬られたのか。」
「ごく最近までは。」
「最近まで?」
「iPS細胞、つまり万能細胞が発見されてから一転、実用化できる可能性が出てきた。」
「俺、専門は泥棒なもんで、やさしく説明してほしんだけっども。」
「培養してほかの臓器に移植するとそこでどんな細胞にでもなる万能細胞よ。この薬で一定期間万能細胞を培養したあと皮膚に移植すれば、健康で丈夫な皮膚を持った人になるわけ。弾を通さない皮膚だって出来るのかも。」
「なるほど、そうなれば人間弾除けがどんどん量産できるって寸法だな。」
「子供がたくさん入院してたのは1980年代から90年代にかけて。それ以後は何か、医療事故か細菌感染か何かが起こってこの病院は閉鎖された。」
「その頃の手術患者でうまくいった例はあるのか。」
「ジョアンよ。」
「彼女が?」
「あの子は子供の頃、皮膚細胞にメラニンが作られなくなる免疫異常の病気だった。
お日様の光を浴びると火傷して治らないの。全身火傷すると死んでしまうから、カーテンを引いた部屋で子供時代を過ごしたの。
あの病院でいいお医者様に巡り合って治療を受けた。私は子供だったからよく覚えていないけど、皮膚を一部剥がしてそこへ培養されてできた皮膚を植え付ける、そんな事の繰り返しで彼女はずっと病院にいたわ。」
「彼女が成長するにつれて肌の色が黒くなったっていうのは何故だい?」
「移植された細胞が、黒人のものだったからっていう説明だった。でも、万能細胞なんだからそんなのおかしいわよね。」
「鎌田について、何か情報は?」
「19XX年に鎌田という研究者がいたけど、その後の職員名簿には無くなってる。その人の子供も、顔に火傷を負って、ここへ入院してる。パソコン導入されてからのカルテに残ってたの。」
「つまり、そいつの子供がここで治療を受け、そいつがその後薬を盗んで逃げちまったって事も有り得るわけだな。」
「あなたの知ってる男が、鎌田かどうかは分からないわ。」
「何か、特徴とかなかった?そいつの人相?」
「その研究者も実験中の事故で皮膚に火傷を負ってるわ。その治療後に失踪してる。」
鎌田が果たしてあのパイカルなのか、その子供は、、、、。
ルパンはルイスのことを思った。
あいつはこの病院に入院していた事があると言っていた。もしかすると、、、。
次回に続く。
「尋常性白斑」て病気を知ってますか?先月亡くなったあの、マイケル・ジャクソンさんもこの病気でした。皮膚の中にあるメラノサイトが減少して、だんだん色が白くなっていく。若者にもある、後天的な皮膚の異常で、原因は分からない。太陽光線でやけどすることもあるらしいです。
自分がこの小説を書き上げた時、マイケルさんがこの病気ということを知りませんでした。彼の死によってこの病気は一躍有名になりました。
言われなき中傷を受けただろね、彼。「黒人であることを嫌って、皮膚を脱色してる。」なんて実しやかに記事にも書かれてましたからね。
裏の顔と表の顔、どちらもきっと彼の真の姿。生前いろんなスキャンダルを抱え、その死の原因にも疑惑を持たれたまま亡くなった彼。
彼が善人か悪人かはいろんな見方ができるけど、偉大なミュージシャンであることは間違いないでしょう。「天才的な」資質を持ち、超人であるかのような華やかな彼の舞台の裏には、様々な持病との闘いと克服の日々があったようです。
ちょうど一月たちました。ご冥福をお祈りします。
ルパン三世にも持病があったら面白いですね。虫歯とか、水虫とかは持ってるようですし。ツタンカーメンの黄金の仮面を被ったら発狂した(?)こともあるので、案外暗示や催眠術にかかり易いタイプかもしれません。
催眠術をかけられて別人になったルパンの話ってのも書いてみたいですね。
何?そんなの読みたくないって?
是非、次の小説にします。喘息で、アトピーで、アル中で、被害妄想のルパン三世。(笑)
詳しく知りたい人はここから調べてみてくれ。
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