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ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(27)

(27)続・カジノサバイバル   

「一体どういうつもりなの、ジョアン。」

賭博場から少し離れた、屋根のない開放的なバルコニー。まだ夕刻も早いうちなので人影もまばらだ。

「、、、、、姉さん?姉さんなのね、、。」

2つ上の姉を見下ろすジョアン。自分より背の高い妹を見あげるカレン。

この姉妹はなぜかその顔立ちが全く似ていない。赤銅色の肌にブロンド、頬が高くいかにもアメリカ人といったジョアンに対し、色白でキュートな体つき、日本人と言っていいような顔立ちに栗色のストレートヘアのカレン。

「あなたが出て行ってから母さん達どんなに心配したか、、。」

情感豊かなカレンはすでに涙声だ。

「あたしの事なんかかまわないで。」

冷たく言い放つジョアン。

「勝手な事言わないで。あなたを育てるのに二人がどんなに苦労したか、、。」

「治療なんてして欲しくなかったわ。」

「何て事、、、。あなたが今生きてるのは、その治療が成功したからなのよ。」

「こんな肌の色にされて、あんな辛い目にあってそれでもした方が良かったって言えるの?」

「馬鹿!」

「色が黒いってだけで、みんなあたしのこと馬鹿にしたり変な目で見るのよ。治療は失敗したのかってボブにまで言われた。」

「失敗してたら、こんなとこで日本人とゴージャスに遊んだり、お日様の光を浴びて自由になれはしなかったわ。命があるからこそあなたは、、、。」

「分かってる、あたしは自由が欲しかっただけ。」

「だから家を出たって言うの?」

「あたしの過去を知らない人の所で生きたかったの。別の所で違う人生を生きたかった。黒い肌の人間を差別しない世界。それに家族に四六時中気を遣われて暮らすなんてまっぴら。」

「あなたりっぱに仕事してるじゃない。がんばってるって聞いたわ。」

「姉さんが同じ仕事って分かってからね。」

「なぜ、今まで家に連絡もしなかったの。」

「姉さんだって私の事分かってたんでしょ。なぜ、居場所を知らせてくれなかったの?」

「それは、、。仕事上家族に知らせてはいけない秘密も、、。」

「ボブはあたしのことが原因でいなくなったの?」

「違うわ。仕事上のトラブルか何かで、、。」

「姉さんが今関わってる極秘のプロジェクトに関係がある?」

「それ、誰に聞いたの?」

「姉さんが今度配属になったのは父さんを探すために、、、」

「あのオ、お取り込み中すんませんけどオ、、、、そろそろテーブルに戻りません?」

ジョアンが去っていくと、ルパンはジョアンにこっそり付けていた盗聴マイクをカレンに見せながら言った。

「ゆっくり再会さしてあげたいけど、父つあんが怪しむとマズい。やっぱりあいつらイカサマだった。ジョアンがカードの手を教えてた。どっか隠しカメラが相手のカード覗いてる。あの賭け金も多分CIAが用意したんだ、こいつぁとんだサル芝居だ。」

「確かなの?」

「ああ。その証拠に彼女がいなくなったら父つあん途端に負けが込んで、稼いだ分の半分すっちまった。」

「妹は彼と組んで何をしてるの?」

「どうやら俺たちをおびき出す作、、、」

「ルパン逃げて!」

ながあ~く紐がついた手錠がすっ飛んできて、ルパンの手足に絡まった。

「はっはあ、気づくのが遅すぎたな、ルパン!」

同時に被ってるマスクも剥ぎ取られた。しまった、中に花火を仕込んどくんだった。

見れば、さっきテーブルを囲んだ相手の半数は銭形の仲間だった。奴らに取り囲まれた。

「あらま父つあん、新婚の嫁さんほっといて大丈夫?」

「新婚なんかじゃねえ、お前をあぶりだす陽動作戦だ!」

「やっぱり。父つあんにしちゃできすぎと思ったんだ。」

「このカジノに出没している情報は掴んでたが、こうノコノコと出かけて来るとは。」

銃を構えた男たちが数え切れないほど押しかけてきて、ルパンを取り囲んだ。ジョアンも逮捕状と一緒に銃を構えていた。

「父つあん、もしかしてどっかで逮捕状なくした?どやって俺を日本に連れてくのさ。」

「フフン、俺は善良な一般市民だ。犯罪者の逮捕に協力は惜しまない。貴様を牢屋にぶち込んだあと、ゆっくり日本で逮捕状を取る。」

「せ~こ~オ(=セコい)。邪道!」

「るせエ、お前を捕まえるのにせ~こ~ほ~(=正攻法)なんてあるかア!。」

ルパンが愛銃を懐から取り出すのと、その撃鉄に弾が当たるのが同時だった。

ジョアンが恐るべき手腕で狙い撃ちしたのだ。不覚にも取り落とすルパン。

が突然、彼の背中に背負っていた金属の箱から、炎が噴出した。

素早く銃を拾うと、ジョアンに向かってにやりと笑う。

「アンタ可愛い顔して凄腕だな。」

「不二子に聞いてなかったの?ミネアポリスでは勝負がつかなくて、二人で優勝カップを分け合ったのよ。」

ジョアンも負けずに言い返す。

ジョアンが2発めを放つ。同時のルパンの発射は空砲だった。弾はルパンの太ももを掠める。

「わざと外してんのかい。」

「実弾でなかったら心臓を狙ってるわ。」

「殺すなよ、生きたまま連れて帰らねばならん!」

周りの男たちからの集中攻撃。多分実弾ではないが当たれば眠らされる。

ルパンがジェット噴射して飛び去ろうとする寸前、カレンと銭形は左右から飛び出して腕をつかまえた。

左右の腕はやっぱりニセモノだ。手錠をつけたままのゴム手袋を握りしめ、いつものパターンで悔しがる銭形。

ルパンは中空に飛び上がった。リモコン操縦のグライダーを上空に呼び寄せながら。空にいるルパンに向かってバルコニーからエージェントたちが一斉に弾を浴びせる。

と、どこからか現れた数台の小型ヘリ。うるさく飛び回る蚊トンボのようなヘリの間を、すごい推進力のロケットでバッタのようにめまぐるしくルパンがすり抜けていく。

ヘリコプターどうしが衝突・炎上する中、カレンは人ごみをすり抜けて、バルコニーからひとりルパンを目で追った。再会した妹そっちのけにして。

彼女の瞳にはもう彼しか映らなくなっていた。

ルパンの本物の腕の袖には、カレンの短いメモ。腕を捕まえるふりして押し込んでいた。エージェントである以上彼女はルパンの逃亡を助けるわけにはいかなかった。

~ずっとあなたの味方よ。家で待ってる。~

可愛い豹のイラストが添えてあった。

「一緒に連れて行けないのは残念だが、父つあんの前でラブシーンなんて気の毒、目の毒だかんな。待ってなよ愛しのピンクパンサーちゃん、きっとお迎えに来るぜ。」

小型グライダーに飛び乗ったルパンは次に次元を思った。

あいつが加わらないヤマなんてワインのないフレンチ、夢盗まれた蛸以下だ。居所を敵に分からないようにしさえすれば、、いや待てよ、、分からないようにするんじゃなくて、、、。

次回に続く。

いやあ、読むのやめられなくなりましたね。

この小説の次回は、、不定期ですので、いつ次回が載るか判りません。2万回記念イベントもいつ載るか判らないので、こまめにチェックしてお見逃しなく。

ま~た会おうぜ。

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