2009年9月25日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(43)

(43)殺害

次元と少女はついに銃撃隊に追い詰められた。

もう彼の懐には弾が一発も残っていなかった。たちまち二人の周りをエージェントが取り囲んだ。

「待て、待ってくれ。頼む、娘を殺さないでくれ!」

再びナインシュタイン博士が車で追いつき、銃撃隊の前に立ちはだかった。

「次元大介、君は殺さないよ、まだ仕事が残ってるからね。」

博士の車の前に現れたのはエージェント・フェニックス。ナインシュタイン博士は歩み寄り、フェニックスに手渡しながら哀願した。

「君の欲しがってる物はここにある。これをやるから娘の命だけは助けてくれ。」

不二子から受け取った地図2枚だった。彼はせっかくルパンから手に入れた本物のアルセーヌ・ルパンの財宝の地図をみすみす敵の手に渡そうとしていた。

「すまないね、苦労して手に入れたものを。だが、君はこういう運命だったのだ。国を裏切って泥棒なんかに我が国の財産を盗み出させたりするなんてどうかしてる。」

「娘のためだ。娘の病気を治すのに金が必要だった。だからあんたがこの地図を本部に提出して報奨をもらったら、私にいくらか分け前をくれればそれでいい。」

「残念だが、反逆者に金を渡すことはできないな。」

フェニックスは博士に近づき、その額に銃をぴたりとつけながら、周りのエージェントに言った。

「この男は国家への反逆罪を犯した。本来なら法廷で裁かれるべきなのだが、それでは100年も先になりかねない。これは悪業への天の裁きだ。」

言い終わったとたんにズンと鈍い音がして、ナインシュタインの頭蓋骨と脳が破裂した。周りのエージェントたちは思わず息を呑んだ。

周りの者たちが気を取られている隙に、次元は少女に父の姿を見せまいと後ろに隠した。彼女が顔を覆ってしゃがみこむ。

周りの奴らが次元に銃を向けなおす。

すると次元は自分の頭にマグナムの口をぴったりと付けた。

「何のつもりだ。」

「俺が死んだら、お前らの計画はどうなる?」

「、、、、なるほど。君は君自身を人質にするつもりか。」

「この子を安全な場所まで連れて行く。手出ししたら俺の脳味噌もポップコーンみてえに弾けるぞ。お前らは人の命を虫けらみてえに扱ってる。俺達は泥棒だがむやみに人殺しはしない。」

エージェント達が躊躇した。

「そこ空けな、車のエンジンかけろ。」

そばにナインシュタインが乗ってきた高級車があった。エージェントの一人が車のエンジンをかけた。次元は泣きじゃくっている彼女を抱きあげ、父親の車に乗せた。銃口を自分の頭に突き付けつつ、エンジンをふかす。

「お前らが追跡して来るのは分かってる。だが俺が死んじまったら他に代わりがいない限り、お前らの陰謀は破綻するって事を忘れるなよ。」

フェニックスからの携帯電話を持った手を振る。

「また連絡する。」

次元はアクセルを踏み、悠々と去って行った。

フェニックスは上司からの叱責を覚悟した。

が結局は次元の言うとおりにするしかなかった。彼のような超一流の狙撃手の代わりは、世界のどこを探しても見つかりそうになかったから。

次回に続く。

PS 初めてこのブログにいらっしゃったあなたにご案内。

このサイトはブログ形式で小説を載せています。毎週楽しみに次回を待っていただけるように。

でも読みにくい、過去の記事を見つけにくい。途中まで読んで終わったら、何処まで読んだか忘れちゃう。

そんなあなたのために、サイドバーに「丸ごと小説を読めるコーナー」を設けています。読みたい小説名をクリックしていただくと、1ページめから順に読める別サイトが開きます。章ごとに目次がありますので、目次を選んで途中から読み進める事もできます。

途中でやめたくなったら、栞を挟む機能もついていますので、ご活用下さい。

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2009年9月18日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(42)

(42) 脱出  

ルパ~~ン!」

るぱん、るぱん、るぱん、るぱん。エレベータの箱が落ちていった四角い穴は二人の絶叫を跳ね返し、こだました。

「るっせえなア~、何度も気安く俺様を呼ぶなイ。」

しばらくすると、彼を案ずる仲間にか、こだま相手にか悪態をついて、ルパンは天井に引っ掛けたワイヤを縮めて、井戸の釣瓶のようにするすると上がってきた。

エレベータが落下する寸前に天井にあった梁の上にワイヤをくぐらせ、ワイヤの端をルイスの腰のベルトに掛けてから彼を3階廊下に放り出した。

つまり、ルイスの体を錘にしたわけだ。

程よい高さに上がったところで、あのダグラス財団のアースビルをよじ登るのに使った、ロープのついた吸盤を打ち込むミニ空気銃を懐から出し、吸盤を発射して、壁に吸い付かせた。

ターザンのようにロープをスイングさせて3階の開け放たれた廊下へ飛び出した。

「おまっとさんー。」

「てぇ、心配させやがって。行くぞ。もうニセ映像がばれて、俺の居所が分かっちまったみたいだ。」

3階に数人の敵が集まって来るのが次元のPSPに似たモバイルパソコンに映っていた。階上に上がろうとすると、廊下の端にあの少女が立ってこちらを見ていた。

ほんとに見せてくれるよね。

訴えるようなまなざしで次元を見つめていた。次元は駆け寄って少女に聞いた。

「連れってやるから、誰にも見つからない道を教えてくれ。」

彼女は自分の部屋へ案内した。この部屋には隠し通路があった。直接外と通じる階段があって、そこから階下に行ける。中庭に面しているので、夜の闇にまぎれて脱出できる。

すでに建物にはたくさんのエージェントか警備員の気配があちこちに感じられた。暗視ゴーグルがまだ使えた泥棒達は、少女の先導で中庭を横切って建物の裏手へ出た。

「不二子はどうした?」

「まだ来てない。」

ルパンは貯水池の方へ行きかけた。とたんに周りからぱっと目も眩むような照明が照らされ、大勢の車や人に包囲されているのが分かった。

やはり罠だった。今まであんなに手薄な警備をしていたのはここにおびき寄せる魂胆だったのだ。

いきなり上空に、鏡の風船でできた巨大なクジラが眩しい明かりに照らされて現れた。ルパン達のいる場所から300メートルほど離れたZEDの敷地上空に、その巨大なクジラはいた。星の海にゆったりと浸かり、雄大な夢を見ているかのようだ。

少女はうっとりとその姿を眺めた。

「私も星の海であなたと泳ぎたい。」

同時にルパン、ルイス、次元それぞれに向かって情け容赦なく銃弾が浴びせられた。少女がそばにいるのもおかまいなしに。

武器を持たないルイスが彼女の盾になった。ルパンと次元は二人を守りながら愛銃で応戦した。行く手を阻む輩をなぎ倒しながら非常線を突破していく。彼らの狙った相手は確実に肩と腕を打ちぬかれ、次々と倒れた。

とうとう4人はクジラの腹のそばまで追いついた。今度は上空のクジラに向けて発砲するエージェントたち。

「お前ら先に行け、俺がオトリになる!」

弾を込めながら怒鳴る次元。

「何ってんだ、こんなに囲まれてちゃオトリもクソもねえ!そろそろクジラの腹が破れて水素が充満してくるぞ。」

怒鳴り返し狭まってくるエージェントの囲みを銃の発砲で広げながら、コントローラーを取り出して飛行船を制御するルパン。

ぎょっとした顔のエージェントたち、飛行船に向けて発砲するのをやめた。

「待て!待ってくれ!あれは私の娘だ。撃つな、撃つな~!」

突然ナインシュタイン博士が現れた。体を張って銃撃を止めに入った。しかし銃撃隊はその声に耳を貸す様子もなく4人に向かって弾を浴びせる。

再び3人は少女を連れてだだっ広い敷地を突っ走り、ゆっくり飛行するクジラの真下に辿り着こうとする。

草に足がからまって少女が転び、そのまま倒れ臥す。次元が引っ張り起こそうとする。

肩を上下させて荒い息をするナディア。

「私なんか置いてって。」

「あんたも殺される。」

「いいのよ死んだって。もう充分生きたもの。」

「たった12で充分だなんて言うな。クジラを見たかったんだろ、あきらめずについて来い!」

「もう走れない!」

次元は彼女の小さな体を背負うと、ルパンたちに向かって再び怒鳴った。

「俺の事はかまうな、早く行け!」

「ルイス、行くぞ。」

クジラへ上るワイヤロープを握りしめて言うルパン。

「でも、、、、。」

「次元は大丈夫だ。」

暗い夜空に向かって、ルパンは閃光弾をたて続けに打ち上げた。その眩しさに目が眩んで二人が登って行くロープを銃撃隊は狙うことができなくなった。

二人は飛行船の腹から下りてきた舞台に飛び乗った。腹に飲み込まれる頃にはもう、ZEDの敷地から何十キロも離れた渓谷に向かって全速力で進んでいた。

次回に続く。

ルパンストーリーには欠かせない銃撃戦、出ました。

なんか、文字にするとあっけないですね。(笑)

やっぱりこんなシーンは映像で見るに限ります。間がもてない。おなじみのBGMが耳にこびりつくくらい長く見ていたいシーンなのに。(再び笑)

アクションシーンは見ても書いても楽しいですけど、できるだけ残虐にならないように気をつけています。お子様も読める、家族で読めるブログが売りですから。

最近の推理小説やアクション映画を見てると思うんですが、凄く残虐な描写が多いですよね。

猟奇的な殺人事件は昔から面白い推理小説のネタですが、描写がだんだんエスカレートしてきていて、俺なんか、ここまで描いていいのかと、、、。

犯人が殺人を犯すシーンなんか、ホント、吐きそう、、。

どんなに探偵や主人公や登場人物に魅力があって、それぞれのキャラが立ってても、残虐なシーンだけは読みたくないですね、自分は。

どんなにストーリーが巧みに組み立てられた評判の作品でも、人が切り刻まれるのを楽しむ殺人犯人の描写なんか、ゴミ屑以下だと思ってます。

そんな不健全なサイト見るなよ。君も。これはお説教。

さて、次回は殺人場面があるんで飛ばして読みたい人はそうして。残虐には書きません。

乞うご期待。

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2009年9月11日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(41)

(41) 悪夢  

カレンは、二人が暗視ゴーグルにつけたビデオカメラを通して動きを監視した。もちろん、仲間の目を盗んで自分のオフィスのパソコンから。

秘密がばれないように仕事の合間にこっそり映像を切り替えて、その都度必要な情報を送るしか手がなかった。

最後にルパンからの映像が送られてきたのは、ルパンが不二子に撃たれた瞬間だった。

信じられない映像を目の当たりにして、彼女は迅速に動いた。地上にいる次元に、まず連絡を取った。彼らが閉じ込められている地下室で起こっている危機を手短かに説明した。

次元はCIAの捜査をかく乱しながらカレンの連絡で、あの3階のエレベータの扉をこじ開けて救出を試みた。もし、エレベータが作動しなかったら、こちらから出向いていくことを考えていたところだった。

次にカレンのパソコンに映し出されたのは、ルイスがエレベータの個室の上に這い上がった瞬間だった。カレンはその映像を瞬時に理解し、次元にそのことを伝えた。

その時はルパンが無事でいるのかどうかは分からなかった。彼のゴーグルはその後どこか故障したらしく、映像を送って来なくなったからだ。

あれから3人からは何の連絡もなかった。

まさか、彼が、、、。

彼女の胸に言い知れない不安が押し寄せてきた。不二子の登場について彼女には何も知らされていなかった。

あの時撃たれたのは演技ではなく、本当だったのでは、、。

不二子については、本部のデータで知っていた。ルパンの長年の相棒であり、恋人だったこともある女。裏の顔を持つ女ということも、プロファイリングされていた。

ルパンに近づくために一応のことは調べてきたつもりだった。でも、この気持ちは何なのだろう。私はなぜ、あの時彼女がルパンを撃ったのは芝居だったと思いきれないのか、、。

私が彼女を信用していない、いや憎んでいるからかも、、。

カレンは胸騒ぎが抑えられなかった。、パソコンをログアウトして、そっと部屋を出た。

女たらしと言われる彼が私を騙し、私の心を掴んで仲間に引き入れた。不二子と計画し、示し合わせて死んだふりをし、まんまと地図を盗み出した。そしてそ知らぬふりをして、また私に言い寄ってくる、、。

それとも彼は本当に不二子に裏切られ殺された、、。私を愛したまま、、、。

、、、、どちらも耐えられない、、、。

それでも彼を待ちたかった。彼の声を聞きたかった。

同じ部屋で向かい側にいる同僚が、彼女が廃墟ビルの中の映像を偽物とすり替えていることをすでに突き止めていた。彼はパソコン上ですり替えられたデータを本物のデータに戻して、次元の居所を突き止めていた。

彼女は迂闊にもその事に気づかなかった。

次回に続く。

ルパンがどうなったか先を知りたいあなたは、サイドバーの小説の「見果てぬ夢」をクリックして下さい。41話と42話が続けて読めます。次の話を先行公開しています。

今日は、ヒロイン、「カレン」の話。

ルパン三世のストーリーに欠かせないのは「ヒロイン」。

モンキーパンチさんのコミックには必ずしもではないが、ルパンアニメのほとんどにはヒロインが登場することはご存知ですよね。

必ずしも妙齢の美女ではなく、「バビロンの黄金伝説」では婆さんだったり、「くたばれノストラダムス」では少女だったりするんですが、このヒロインが話の筋を決めるのに重要な役割を果たしています。ヒロインが魅力的でなければ、ストーリー全体が生きてこない。

カリオストロでの「クラリス」のキャラは宮崎さんが作り出した、多分最高傑作。あのキャラが次のナウシカを生み出したといっても過言ではないと思います。

実は自分の前回の小説「炎のたからもの」では極力、自分のクラリスを作り出そうとして七転八倒いたしました。いかに、宮崎さんのではないクラリス、しかも、自分の話にすっきりと納まるクラリスを創造できるか、、。

台詞が一番決まらなかったのが、最後のルパンとの出会いの場面とマクベスが死んだ後のクラリスとルパン。彼女が何をどう考え、ルパンと接するのかが分からず、迷い迷って百回位話を書き直しました。

人の作ったキャラを真似るのってこんなに難しい。

いかに栗田さんが苦労を重ねてらっしゃるかが、千分の一位分かった気がしました。生意気ですが。

お宝探しのための大事なヒロインキャラを、どう作り上げるかが自分のストーリー作りでは一番頭を悩ませる所です。

今回「カレン」を創造するにあたって、まず考えたのは、ルパンに強力に影響を与える女泥棒が、不二子の外に現れたら面白いだろう、、、と。

カリオストロ伯爵夫人がルパンの爺ちゃんを翻弄したように。

(ワルサーP38さんもコメントを下さってます。もしもエレンが生きていて、ルパンの仲間に加わったら面白いだろう、と。)

その場合、不二子を自分以上に愛してる彼が、どういう行動をするだろうか、、。

不二子を裏切って彼女に走り、一緒に泥棒稼業に精を出す。あるいは彼女が泥棒でなく実は警官で、彼女のためにルパンは泥棒をやめて足を洗う、、。

なわけ、ねえよな(笑)。

いろいろ考えて煮詰まってたころ、ふとREDお気に入りのある1曲を耳に、BGMがわりに「見果てぬ夢」の構想をなんとなく思い描いていました。

その4分あまりの曲が終わる頃には「カレン」の名前とキャラが決まり、ストーリーの大筋が決まってしまいました。

その曲に聞き入っているうちに、「カレン」が自分の中に降りてきて、ルパンや登場人物に話しかけているのを感じました。

なんとも不思議な体験です。自分ではない「カレン」という女性が自分に乗り移ってこの小説は出来上がったんですね。始めての体験。何日もかけて構想練るのが自分のパターンなのに。

オカルトじゃありませんよ、これほんと。

その曲、誰の何という曲?

知りたいよね、君。

この小説の最後の65章でその秘密を明かします。最後まであきらめず読んでください。

ほいじゃま。

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2009年9月 4日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(40)

(40) 頭を使う 

「ルパン、この電気系統はひょっとしてエレベータのじゃない。通電してないダミーかも。」

ルイスは首まで水に浸かりながら、根気よく配電盤の中の色とりどりの配線をいじっていた。

「その証拠に、線をどれに繋いでも水の中で感電もしない。それにあいつがこのエレベータを使ったんだとしたら、あの短時間に箱が地下へ下りてるはずないじゃないか。」

ルイスの言う通りだ。奴は嘘をついていた。どこかに奴が抜け出した別の道があるはずだ。

二人は必死で上に上がる出口を探した。

もう全ての部屋には水が洪水のようにあふれ、ほとんど頭の位置まで沈んだ。泳ぎながら階段や地上に上がるルートを探した。しかし見つからない。ついに水は天井近くまで上がってきた。

ルパンとルイスは、同時に金庫のあった部屋の真上の配電室を思い出した。あそこならまだ水が上がっていない。

その時気づいた、あそこの電源はルパンが落としたままだ。

地下に降りる泥棒が出入りできるエレベータが作動している時だけ、金庫には電磁波のねずみ取りが掛かる様ににこの秘密基地は設計されている、、。

そう考えるのは、理にかなっているのではないだろうか。

つまりもう一度電源オンにすれば、エレベータは作動する、、、。

どちらともなく目で合図した。

二人は渦巻く水に逆らいながら懸命に金庫上の配電室に泳ぎついた。這い上がって、配電盤のスイッチを入れる。再び暗い下水道の中のような廊下を泳いで、もとのエレベータに戻ってみた。

二人がエレベータに潜り込むのと同時にドアがしまる。しかし個室の中はすでに天井まで水に漬かっていた。水の重みでか、唸りをあげて作動するウィンチ。

が、なかなか箱は上昇しない。

個室の隅にある天井の蓋を指差すルパン。ねじ釘で四隅を止めてある。ルイスは自分の頭を指差して分かったというようにうなずく。ルパンは首を振って痛いからやめろというしぐさをし、ポケットから秘密道具を取り出そうとする。

ルイスはその手を押さえ、大きな泡を一つ口から吐き出すと、自分のポケットから、ドライバーを取り出した。

頭を使うという意味をルパンは取り違えていた。

ルイスがドライバーを使ってねじ釘を回し、蓋を空けて、個室の上に頭を出す。次にルパンが浮かび上がる。二人は大きく息をし、エレベータの箱のてっぺんによじ登った。

やがて隙間から大量の水をこぼしながら、エレベータはゆっくりと上昇を始めた。

地下50メートルを昇り、1階を過ぎたあたりで、エレベータを吊り上げていたワイヤケーブルが軋み始めた。何トンもの水を詰め込んだ箱の重みに、耐えられないかも知れない。

水が隙間から絶えず流れ落ちたせいで箱は軽くなり、急上昇を始めた。だがそれまでに弱って伸びたワイヤの一部分に摩擦の負荷がかかった。きりきりと音がし、最上階の10階に着くやいなや火花を散らして数本のワイヤが天上付近でバチバチ切れた。

とたんにエレベータは轟音をともなって急降下を始めた。

「ルパン、3階が開いてた!」

ルイスが叫ぶ。ルパンは一か八かの勝負に出た。

箱が4階の扉を通過した瞬間、光がさす方向へルイスに体当たりして3階廊下へ押し出した。一瞬、次元の腕が伸びてきて、ルイスを体ごと真正面から受け止めた。

ルパンとともにエレベータは奈落の底へ落ちてゆく。

「ルパ~ン。」

次元とルイスは四角く深い穴の底に向かって叫んだ。

しばらく待ったが返事は返ってこなかった。

次回に続く。

1週間ぶりです。お元気ですか。

いよいよルパン小説も山場に差し掛かってきました。二人はこの水地獄から抜け出すことができるでしょうか?

最近推理小説に凝ってます。ふと立ち寄った古本屋で、江戸川乱歩という有名な昔の作家の冒険推理小説を立ち読みしたら、意外な本に出会いました。

江戸川コナンじゃないよ、小学生。

「江戸川乱歩」は昭和初期に大ブレイクした推理・怪奇小説の大作家。あの名探偵明智小五郎を生み出した、日本のコナン・ドイルに匹敵する大御所のことです。

彼の作品は最近の邦画では、「怪人二十面相」で知られています。(注:映画K-20の原作者は北村想さんです。)

彼の作品に「黄金仮面」というのがあるのですが、読んでびっくり!

黄金仮面の正体はなんとあの、ルパン三世の爺ちゃん!

知りませんでした~~~。

こんな有名な作家が、外国の人気作家の創り出したキャラクターを平気でパクるなんて。

モーリス・ルブランさんの「813」に出てくるエベール副部長まで登場するんですよ。

そう言えば、モーリス・ルブランさんだってコナン・ドイルさんのシャーロック・ホームズを自分の作品に登場させてるんだから、乱歩さんが明智小五郎とアルセーヌ・ルパンを対決させたってちっとも不思議はないわけです。

俺がルパン三世の小説書いたってちっとも悪くはないよね、モンキーパンチさん。

さらに興味深い話。

この黄金仮面に変装して日本全国の美術品を荒らしまわる怪盗アルセーヌ・ルパンは、名家の令嬢「白鳥不二子」と恋仲になります。

不二子なんて名前めったに日本人女性にないんで、多分この名前をもらったんじゃないかな。モンキーパンチさん、この話読んでたんですよね?

ルパン2世はこの時の二人の間にできちゃって北海道に移り住んだのかも。この設定で「ルパン2世」伝書こうかな。

最近、過去記事に色々コメントをいただくようになりました。毎回俺の小説を読んでくれてる君、コメントライターの話も面白いかんな、みてくれや。

ほいじゃま。

速報:栗田貫一主演、海外の洋画です。ここから入って!

もちろん声優として。主演です!彼のルパン三世以外の始めての声優主演!

この映画、超大作、ブレイクすること間違いなし!今超売れっ子の俳優と脚本家の作品ですもん。

なんか面白くなってきたな~。洋画が。

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2009年8月31日 (月)

ここらでちょっと一息、不二子タイム

お久しぶりでございます、REDです。

やっと選挙が終わりまして、平穏な日常が帰ってきました。

え?選挙なんか俺ら関係ないって?

今は未成年のおぼっちゃま、お嬢様。今に18歳から選挙権。成人ってことになるのよ、民主党が与党になっちゃったからね。勉強しときましょ。

さて、忙しい合間をぬって、先日は東京ドームアトラクションにできた「ルパン三世・迷宮の罠」を見に行きました。

結構はまってしまい、小学生の息子と二人、なんと4回も連続で入ってしまいました。

噂ではたいしたもんじゃないとの話でしたが、スコアが出るゲームってはまるんです私。

パーフェクトにお宝を見つけ出せるまで何度でも挑戦したくなりますね。

実力だけじゃなくて、かなり偶然に左右される要素があって、それがまた楽しい。

こんなアトラクションを発明した人はよっぽど暇人でしょう。

行く人もね。平日に行ったら、全然ひとけはなくガラガラ。終わったらすぐに2回目にチャレンジできちゃいます。

このアトラクションがもしもディズニーランドにあったら人気が出るかも。

迷路がちょっと短くてショボすぎました。本物のお宝とニセモノが並んでるのでそれを見分けるのがスリルですが、もうちょっと入り組んでて抜けにくい迷路を考えて欲しいな~。

まあ一見にしかずですから一度は行ってみてね。

東京ドームアトラクションには無料の招待券があるようです。どこでGETするんでしょうか?

YAHoo!オークションでは6枚~10枚がだいたい1000円~3000円で落札されています。現地でチケットを買うと高いので、オークションで手に入れることをオススメします。チケット4回分×2人分=4000円は高すぎますね、はっきり言って。

「ルパ~ン。アタシを盗んでくれたら、遊園地へ連れていってあげるわ。無料で入れる方法、あたし知ってるのよ。」

「お前盗めるなら、遊園地なんて行かねえよ。」

「金塊詰まった金庫にでも連れてってくれるの?」

「遊園地のそばのきれいなホテルなんかどうだい?天井に鏡がびっしり張ってあってさ、、。」

ガアッシ~ン!(ボクシンググローブで殴る音)

ドッタ~ン!(倒れる音)

「もう!、ルパンなんか誘ってあげない!」

遊園地にはくれぐれも友達(同性)どうしか、子供連れで行きましょうね。

カップルで行って、帰りにホテルなんか寄ったら、無料券使っても、遊園地のチケット代払うより高くついちゃったりしますよ、お兄さん。

追伸:GREENの小説はだいたい週1で公開しております。39章まで来ましたので、あと26週くらいで最終回ってとこかな?

右サイドバーで次回の話を先行公開するそうです。次を早く読みたい人は右サイドバーの小説が読めるコーナーの「見果てぬ夢」をクリックしてサイトあけてください。次回の話が読めます。

記事のほうには時々「ルパン三世クイズ」(仮称)を開催します。

クイズに答えてキーワードを集めるといいものもらえる、、かも知れません。

23000回アクセス記念の企画です。(笑)

ほんとに?、、、、ほんとって言ってます。

嘘?、、、、、忙しいからあとにしてって。

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2009年8月28日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(38)(39)

(38) 少女の告白 

次元がこっそりと部屋に入ると、少女は怯えた眼差しで侵入者を見つめていた。

そこは子供部屋だった。ごく普通の家庭の居間と、その続きの女の子の部屋。

だが家族は?彼女と暮らす他の大人は?

「嬢ちゃん、ここで何やってるんだい?」

「あなたはどうやってここへ入ったの?」

「俺かい、俺は、、、。」

泥棒しに来たとは言えず、言い訳を考えた。

「あなたは私の治療をする人?私はまたどこかへ連れて行かれるの?」

わけが分からなくなって、今度は次元が聞き返した。

「君は誰だ?俺はその、、、ここへ研究にきた医者だ。初めてで部屋を迷ってしまったんだ。」

「じゃ、私を治してくれるお医者様って、あなたの事ね。」

何だかよく分からなかったが、辻褄を合わせるために曖昧に頷いた。

「他の大人は?」

「今は誰もいない。父がみんなを家へ返した。」

「父?君の父って?」

「知らないの?アルバート・ナインシュタイン。ZEDの付属病院の医者で、皮膚医学研究室の責任者よ。」

「君はお父さんの言いつけでここに住んでるのか?」

「私は病気なの。父の研究がうまくいって、私を治療できるようになるまでここに隠れているの。」

「隠れてる?」

「父の研究は秘密なの。それに私がこの病気だって分かったら、新しい病院で私はモルモットみたいに実験台にされてしまうって父が言ってた。」

「それで閉鎖された昔の病棟に匿われてるってわけか。」

「でももうイヤ。家に帰りたい。」

「、、、、君はいくつ?」

「12。」

「名前は?」

「ナディア。」

10歳位にしか見えない小柄な、きゃしゃな体。透き通るような白い肌をしていた。プラチナブロンドの絹糸のような髪。縮れたウェーブは、次元の俗な感覚では麺類を連想させた。

「ナディア、君はお父さんの言いつけでここから出られないのか。」

「私は昼間は家の中にいて、光を浴びないようにしないと死んでしまうの。」

なるほど、そんな皮膚の病気があるのを聞いたことがある。奴は娘のためにあの薬を開発し、治療に役立てようとしていたのか。

「それでこんな所にいて、夜中に起きて色んな物を見てたのか。」

「あの大きなクジラを見て綺麗なネオンサインを見たら、私も外に出たくなったわ。あのクジラみたいに空を泳ぎたい、明るい空の雲の上で散歩したい。」

12歳にしては幼い発想だが、彼女は長い間ほとんど病室で過ごし、同じ世代の子と接することもなく世間から隔てられて暮らして来たのかもしれない。

「おじさんがあのクジラを見せてやるって言ったら、ある事を約束してくれるかい。」

「ええっほんとに?、、、いいわ、約束する。」

「おじさんがここに来たって内緒にしてくれないかな。そしたら後であのクジラのとこに連れてってやる。」

「ほんと?」

「ああ、ほんとだ。」

「じゃ指切りね。」

次元は女の子と指切りするのは初めてだった。

「君の国でも指切りするのか。」

「ドイツでもしなかったけどこの病院にたくさん子供がいた頃、一緒にいた子が教えてくれた。ずうっと小さかった頃、ここに一緒に入院してたお兄さん。」

「、、、日本人かな。」

「知らない。」

次元はその子を迎えに来る約束をして、再び元来た道を走った。カレンのパソコンからのニセ映像のおかげで、まだ奴らは彼の居所を特定できていないようだった。

(39) 水攻め  

「ルイス、、、。」

「ルパン、、、しゃべっちゃだめだ。」

「、、、頼みがある。」

ナインシュタインと不二子はいつの間にかいなくなっていた。

ルパンはまだ生きていた。虫の息でルイスに語りかけた。

「、、、、金庫はお前が開けろ。」

「黒焦げになっちまう。」

「聞け、、、、。今は部屋の電源が切られてる。それに連動してる電磁波の泥棒よけも。お前は金庫を開けたら、5秒以内に金庫の上の隙間に隠れろ。その後できるだけ早く俺が電源を落とす。」

「あんたが死んじまう。」

「これは最後の賭けだ。」

「早く出血を止めないと。」

「世界一になるんだろ。」

「世界一はあんたしかいねえ、俺には無理だ。」

「出来るさ、お前と俺なら。」

「、、、やってみる。」

ルイスは潜水服を脱ぎ上半身裸になって、自分のシャツでルパンの頭をぐるぐる巻きにおおった。そして風のように階下へ走り去った。

ルパンは最後の力を振り絞って立ち上がり、壁をつたって、金庫室の電源スイッチの前に立った。

一方、不二子とナインシュタインは最短の抜け道を通って、一つしかないエレベータへ急いでいた。

「あの水の音はなんなの?」

「なに、ちょっとした仕掛けでね。」

床に溢れ出てきたのは、大量の水だった。時間がたつほどに水の勢いが増してくる。さっきまで踝までだったのが、もう膝のあたりにまで浸水してきた。

「なぜ、、、」

不二子ははっとした。ナインシュタインはルパンをここにおびき出して殺すのが目的だった。祖父の地図という甘い餌に釣られてやって来た宿敵を、ここで倒すのが狙いだったのだ。

「あなた、ここ水攻めにする気なのね。」

「今更何を驚く。奴はもう死んでいる。」

「でもこの地下施設はそっくり水に浸かってしまうんでしょ、これほどの貴重な資料や、開発された秘密の薬や兵器が、台無しになってしまうのはちょっと惜しい気がするわ。」

「この施設は侵入者から秘密を守る仕掛けが様々に工夫されているんだ。それにもし、細菌兵器などが内部で漏れ出したとしても、外に広がらないようにシャットアウトする仕組みがある。」

「どういう仕掛け?」

「この地下施設全体を水に浸し、毒や細菌などを中和し、殺傷する消毒液を流し、最後にシュレッダーにかけて貯水池に排出する。」

「それって、中にいる人間も全部?」

「そうだ、新型ウイルスに感染した人間を外に出せば、たちまち人類が滅んでしまう危険があるからね。」

「あなたはルパンをここへおびき出した。この施設を利用して彼を殺すために。」

「不二子、君は私を信じていい。このエレベータは非常電源によって、他の施設とは別の動力源で守られている。ここしか上へ上がる道はない。私しか知らないコードを入れればだが。」

脱出用エレベータの前で、ナインシュタインは立ち止まった。エレベータ上部のランプを見て、稼動しているかを確認した。彼にしか知らないコードを、エレベータの横の壁にある機器にインプットした。ドアが音もなく開いた。

不二子は彼の前に立ち、先に乗り込むふりをして振り返り、振り返りざま、ナインシュタインの顔面に隠していたスプレーを振りかけた。油断していたのか、ナインシュタインはあっと言う間に崩れおれた。

不二子はもと来た道を駆け戻って、ルパンの姿を探した。

同じ頃。

ルイスは金庫の前に立ち、大きく息を吸い込んだ。

自分がこの中にある物を取り出して、焼け焦げになる前に逃げればいいだけだ。

ルイスが開けた事があるのは今までにルパンのアジトの金庫と、スミソニアン博物館にあった埃を被った倉庫の金庫、それに展示室のガラス戸の鍵。普通の家の鍵なら大抵のやつ、車のドアの鍵なら寝てても開けられる。

この鍵は旧式のダイヤルだった。一昔前に流行った、学校の校長室にあるようなやつ。彼は施設にいた頃、悪さでこっそり施設長の部屋の鍵と金庫の鍵をあけて、中の書類を盗み見たことがあった。あの頃のことを思い出した。

「俺の名前はルイス・K・鎌田。父親の名は、、、」

彼は扉に聴診器のような泥棒道具をあてて耳に集中し、かすかに音の変わる位置を探った。ナインシュタインの情報にはこの鍵の番号はなかった。ただ自分の耳と勘だけがたよりだ。

左に68を3回、、右に26、1回、、左に89、2回、、、右に18、2回、、最後は、、、、08を1回。

ドアが開き、とたんに中から冷気が溢れた。

ウィスキーの小瓶か、お菓子の香料瓶に似た茶色のガラス瓶の下に敷いてあったのはあの見慣れた正方形のざらざらした白い紙。

ルイスは反射的に両方とも引っつかむと、金庫の上20センチ幅ほどの上壁との隙間に素早く体を滑り込ませた。

5秒たつと部屋に明かりが灯った。通電している。

金庫の間に挟まって、少し出っ張った手に衝撃が走った。感電したときのようなビリビリした感覚だ。

前髪がちりちりとやけて、目の前を落ちていった。もう少しはみ出ていたら顔がハンバーグのようになっていたかもしれない。

しばらくして電源が切れ、部屋全体もとのようにうす暗くなった。

パチパチと拍手する音が聞こえた。

入り口に立っていたのはルパンだ。もちろん体の血糊をふいて、頭に貼り付けていたニセの弾穴痕のシールをとっくに剥がしていた。

「何でえ、、。ちっくしょう、俺まで騙しやがって、、。」

ルイスは涙顔になっていた。笑顔と混じってぐしゃぐしゃだ。

「俺、てっきり不二子にやられたとばっか思って、、。どうやって、、。」

不二子が部屋に飛び込んできた。

「おう、遅かったな、脱出する道は分かったかい。」

「ルパン、急がないとこの地下室は水攻めにして中にいるものを殺すのよ。」

「わーかってるって。その前にお前とクッサ~い芝居打ってまで知りたかった事があるんだ。」

ルパンはさっきルイスが取り出してきた地図に、一緒にあった瓶の薬をたらたらと適当にたらしてみた。たちまちその薬に反応して真っ白な紙の上に変わった模様の片鱗が現れた。

他の二人には分からなかったが、ルパンにはこれこそルパン家に伝わる秘宝の地図の証だった。

「本物だ。」

すると奴は本物の3枚目の地図をここに残したまま脱出した。なぜだ?

今はゆっくりと理由を考えている暇はない。水かさが一段と増し、腰のあたりまで上がって来た。地図をくるくると巻いて、持ってきた細長い防水のプラスチック筒に納め、瓶にはってあったラベルの化合物名を確かめ、懐にしまった。

3人はエレベータの所まで戻った。奴はとっくに逃げていた。エレベータは扉が開いたままだ。水が入った箱が果たして動くかわからない。三人は乗り込んでスイッチを押した。電気が来ていない。

奴は逃げたあと、電源を落としていったのか。どうやって?

ルパンは急いでエレベータの横にあるフタを空けて配電盤を見る。その中にあった配線を確かめる。数十本の線がすべて引きちぎられていた。

「ちっきしょう、ここしかねえのか、出口は。」

「俺、何とか繋いでみる。」

「頼む。」

ルパンはもう一つの経路を思いついて、最初にやってきた取水口の近くのシュレッダーまで戻ってみた。そちらはなぜかシステムが稼動していた。

くねくねと長いウォータースライダーの出口から、今はどうどうと水が流れ込み、この地下の倉庫に貯水池の水を溢れんばかりに注ぎ込んでいた。

その口には水の中で規則正しく上下し、入ってくる大型の不純物を噛み砕くシュレッダー。ノコギリザメのような歯が行く手を阻んでいた。いくらルパンでも、この中を潜り抜ける間に、体全体噛み砕かれてしまう。

「ルパン、だめよ、もう、あっちは胸まで来てる。」

この地下室中に、水は恐ろしい速さで上がってきていた。

「線は繋がったか?」

様子を見にやってきた不二子は首を振る。

「エレベータ以外に出口はないのか、ほんとに。」

「あいつから聞き出せたのはそれだけ。」

「不二子、ブラ出せ。」

不二子は驚いて息を呑んだ。

「何言い出すの。」

「いいから早く!」

彼女は彼女の特注、お気に入りの巨大ブラジャーを手早く脱いで胸元から取り出した。ルパンは素早くワイヤーを抜き出し、器用に伸ばしたりまげたりして火かき棒のようなものを作った。

次に不二子に手伝わせて、研究室のような部屋からありったけの金属製の椅子、机、脚立などを手当たり次第に巨大なシュレッダーに押し込んだ。

鉄の塊を粉砕しようと機械がうなりをあげた。押し込まれた金属類の隙間から、激しく水が渦巻き、こちら側に流れ込んでくる。

ルパンはその金属の隙間に体を滑り込ませた。もちろん携帯酸素ボンベを使わず、素潜りだ。手持ちのを今使うには余裕がなさ過ぎた。不二子のためにとっておく。

激しい流れに逆らってなんとか取水口に辿り着いた。網目のある蓋の取っ手に火かき棒の先を引っ掛け、棒を手放さないように気をつけながら引き返す。

水の中から頭を出すと、既に深さは胸の高さまで達していた。

「今、水はこっちへ流れ込んでるが、ここが満杯になったら、おそらく同じ口から、排水される。逆流が始まったら、流れに乗って外へ出られる。お前先に行け!」

「一緒じゃなきゃいやよ。」

「俺はあいつを連れてくる。もし俺たちが間に合わなくても、このシュレッダーが餌を噛み砕いちまう前に迷わず上へ行け!」

「ダメ、一緒に来て、お願い!」

「不二子、、、。」

不二子はルパンにすがりついた。二人はしばらく水につかったまま抱きあった。

しばらくしてルパンが言った。

「大丈夫だ、必ず後から行く。」

「ほんとね。」

「俺、今までに約束破った事あったか?」

不二子は一瞬彼の目を射るように見つめ、貪るように唇を重ねた。それから暗視ゴーグルと簡易酸素ボンベをルパンから受け取り、彼の潜水服を着た。激しい水流に向かって果敢に潜り、シュレッダーの隙間に滑り込んだ。

彼女の姿が取水口奥に見えなくなると、ルパンは蓋が閉まらないようにストッパーにするはずだった長い針金を手から離した。

多分俺たち二人は間に合わない。

不二子が流れが変わるまで取水口より奥で待ってくれるように祈った。

「何とか助かってくれ。」

そして再びエレベータに向かった。

次回に続く。

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2009年8月21日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(36)(37)

(36) オトリ作戦

次元は配電盤の金属の蓋をあけた。10年以上も使われていないにしては埃も被らず、最近までこの建物では電気が使われていた形跡がある。

誰が、、、何のために?

そもそもここが使われなくなって長いのに、なぜ、こんなに長く取り壊されもせず、10階までがらんどうの空き家なのか、、。地下の金庫だか薬の保管庫だかも、病院が移ったならなぜその時一緒に移ってしまわなかったんだ?

彼は素朴に疑問を持った。

それにルパンが欲しがってる皮膚の薬、こんな厳重にしまわれてるほど大事なもんなんだろうか。例え軍事目的に利用されるのだとしても、まだ完成にはほど遠い代物なのに。

配電盤のスイッチを確かめ、全てのスイッチがオフになっていることを確かめた。あのマイクロフィルムのデータにしたがって地下50メートルから上がってくる非常用エレベータの動力になる電源は入れた。

貯水池からの取水口に関する動力の電源を入れると、ルパンたちの命取りになることは分かっていた。もし電源が入ってシステムが動き出せば、恐ろしい勢いで水が貯水槽から吸い込まれ、終点に配置されているシュレッダーのような装置が作動して、ウォータースライダーを滑っている二人の泥棒の体を粉砕してしまう。

次元は再度配電をチェックしながら、周りの様子を注意深くうかがった。

どうやら、自分の居場所はまだ突き止められてはいないらしい。ここは10階建てのビルだ。衛星で探知できる仕掛けも、階まで突き止めることは難しいらしい。

手にした小型のモバイルパソコンには、カレンが送ってくる病院全体の立体地図の映像。サーモセンサーで探知した敵の赤い人型が蠢いていた。

エージェントなのか、警備員なのかこのビルの廊下や階段を歩き回っている人間を確認しながら、次元はかくれんぼのように鬼の目をくらまして、おとりの役を果たした。

あっちこっちと無目的に、しかし敵に出会わないようにビル内を徘徊する。向こうがおとりと気づいた頃はもうルパンたちは、目的のモノを地下金庫から盗み出して屋上へ上がってくるはずだ。

ふと窓の外を見ると、建物がコの字に囲み、中庭を挟んで向かいにある3階の部屋に灯りが点いているのが見えた。

ここは廃屋じゃなかったのか、、、。

次元はその部屋に惹かれた。あまり深入りはしないようにとは思ったが、ついその灯りに誘われて顔を窓に近づけた。

窓から覗いていたのは髪の長い女の子だった。彼女は次元に気がついたのか、すぐに明かりを消した。

しまった、あの子を殺すわけにはいかない。とにかく黙っていてくれるように言わなければ。

次元は廊下に出た。出会いざま突っ込んできた男のパンチをよけ、顎を殴り、さらに銃を振り上げて頭を殴って気絶させた。

かわいそうだなんて思わねえぜ、こっちも命がけなんだ。

部屋に引きずり込んで服を奪い、猿轡をし、拳銃を奪った。殺してしまったらルパンの名に傷がつく。とりあえずあの子を見つけなければ。

次元はその男に変装し、敵の目を欺きながら3階の部屋に向かった。

(37) 博士の罠

ルイスが部屋に足を踏み入れようとすると、ルパンが制止した。

「電源がオンになってるってことは、この部屋はアブネエってことさ。」

「次元がオンにしたんじゃねえのか。」

「いや、あの配電図はもしかしたら、データが嘘をついてるのかもしれねえ。」

「別の場所で、誰かが操作してるのか?」

「あんまり侵入が簡単すぎる。CIAの機密が隠されてるにしちゃ、目ツブってても入れるお粗末さがな。」

「ルパン、聞こえる?」

突然カレンの声がゴーグルについてる通信機を通して聞こえてきた。

「待ってたぜ、愛しのピンクパンサーちゃん。」

「良かった、やっと通じたわ。ここは他のエージェントたちの目があってなかなかそっちの映像が見られないの。」

「今大丈夫?」

「ええ、朝まで上司も来なくなったから、今はまあまあ平気よ。」

「ハッキングの心配は?」

「私はここに8年もいるの。厳重なセキュリティをかけて守ってる。」

「分かった、今俺たちが入る部屋に危険なものはないか。」

「その部屋の内側には強力な電磁波が出てる。」

「電磁波って?」

「電子レンジと同じよ。試しに何か蛋白質の物、その部屋に入れてみて。」

「OK。」

「ルパン、そこの冷凍庫にあった卵。」

何かの鳥の卵だった。二人はそれを部屋の隅に放り投げた。たちまち火花が出て、卵が破裂した。白身が真っ白に固まったかとおもったら、真っ黒に焼け焦げた。

あのまま二人で入っていたら、卵と同じになっていた。この部屋全体が電子レンジになっているのだ。

「何とかこの電磁波を止められないか。」

「電源を落とせばいいのよ。」

「何処に電源がある?」

「待ってね、、、、、、、。あったわ、あのファイルのデータによると、地下倉庫の電源は地上のとは独立してる。コントロールしてる配電室があるんだけど、そこは立体地図によると、その部屋の真上。」

「ルパン、俺そこへ行って電気止めてくる。金庫開けられるのはあんただけだから。」

止めるのも聞かず、ルイスは駆け出していった。多分さっき通り過ぎた梯子階段を上っていけば、多分この部屋の上に行ける。罠が仕掛けてなければ。

ルパンは金庫の上を見た。人が一人潜り込める僅かな空間が開いていた。

電磁波は当たる角度によっては、あまり干渉しない場所がある。ちょうど、レンジの真ん中に並べた茶碗蒸しなどが周りのに比べて熱が通りにくいように。

彼はゆっくり自分の持っていたもう一つの卵をその金庫の上の隙間に投げ入れた。思ったとおり、卵は冷凍のまま、そこに静かにおさまった。

その時、ルイスの大きな声が聞こえた。

「ルパン、入っちゃだめだ、これは罠だ!」

ルパンは俊敏に梯子を駆け上がり、配電室へ踊りこんだ。

その部屋には、縛られたルイスが倒れていた。そばには金庫室の映像が映し出されたテレビモニターが。

映像はさっきの金庫の前に椅子があり、不二子が縛り付けられて座ってこっちを見ていた。

「不二子、どうしてここに。」

背後から現れたのはナインシュタインだった。

「やはり来てくれたね、君。」

「何のつもりだ。俺をおびき出して、中の物を盗み出させるはずのお前が、何で不二子を人質に取る?」

「君がここから盗みだそうとしてるものは、何かね?」

「分かってるだろ、DUST(ごみ)だ。人間をゴミみてえにしちまう薬を、あんたが発明して、俺に盗ませようって魂胆。」

「考えてみたまえ、あの日本人は盗み出した化学式で、簡単にあの化合物を作った。君だって過去に作ったじゃないか。そんなものを大事にしまいこんでおいても、果たして君がこんな所までのこのことやって来るか。君がほんとに欲しいのはこれだろう。」

奴の手にはあの祖父の財産である地図の2枚があった。

「君は私の策略に乗ったふりして実は私をおびき出し、わがナインシュタイン家に伝わるもう1枚の地図を盗みに来たんだ。違うかね。」

「、、、、。」

「だとしても、私は君に盗んでもらおうと、こうしてちゃんと待っていた。」

「地図はどこにある?」

「あの金庫の中に。」

「金庫を俺が開ければ、地図をくれるのか。」

「いいとも、ただしあの金庫の設計は独特でね、部屋に入るには電源を落としていなければならないが、金庫の扉をあけたら5秒後に自動的に電源が入り、電磁波が部屋にいる生物だけを焼き焦がす。」

「つまり俺が金庫を開け、同時に地図と不二子をあの部屋から救い出せばいいわけだな。」

「君が地図だけを奪って逃げるなら、今ここで電源を入れてもさしつかえないわけだ。」

「何で俺に盗ませたい?」

「君がこの地図を盗んだことは、全世界の名の知れた泥棒に伝わる。そこの防犯カメラが君の盗みの瞬間をちゃんと記録してくれる。私は被害届を出すつもりだよ、もちろん。」

「俺たちを電磁波で焼き焦がした後に、か。」

「私は君と地図を世界中の泥棒に探し回られてる間に、ゆっくりと宝探しができるというわけだ。」

「問題はあんたが地図の謎を解く事ができるかって事だな。」

ナインシュタインは目を細めて言った。

「私を誰だと思ってるんだ。世紀の大泥棒だか知らないが、これでも世界に認められたCIAの研究機関のトップを務める研究者だぞ。泥棒風情が作った暗号など赤子の手を捻る様なものだ。」

「よしんばあんたが謎を解けたとしても、宝のある場所へ行けるかな。」

「何だと。」

「不二子が何で縛られてるか知ってるか?あんたとグルになって、俺の知ってる秘密を知りたいからだ。」

「、、、、、、。」

「風情なんぞと、イイ気になりゃがって。不二子は俺に秘密を聞き出すために芝居を打ってるのさ。丸焦げになるかもしれねえ芝居を打ってまでな。お前らは謎を解けねえ。解けてたらとっくにお宝を掘り出してる。不二子、臭い芝居はよしてここまで上がってきな。お宝の分け前考えてやってもいいんだぜ。」

不二子はしぶしぶ繋がれてるふりをやめて上の部屋に上がってきた。

「そこまで知られちゃしょうがないわね。アルバート、やっぱり殺しちゃいなさいよ。この人何にも知らないのよきっと。地図を3枚集めたんだからあたし達だけでやれるわ。」

ナインシュタインはしばらく考えていた。

これはこの二人の芝居か、それとも本当に不二子は俺の側についたのか、、、。

それを確かめる方法がある。

「ルパン、お前の知ってる秘密を吐け。命だけは助けてやる。」

「嫌だね。」

「ルパン、あたしに宝をくれるって言った約束は嘘だったの?」

「分け前はやる。だが、こいつには宝どころか秘密のひとかけも教えてやらねえ。こいつは俺の爺さんの地図を盗んで逃げた奴の子孫だ、ルパンの名にかけても渡すもんか。」

「不二子、私の側につけ。お前を信じてる証拠をやる。これは本物の地図だ。」

不二子は2枚の白紙を覗き込んだが、もちろん本物かどうかの識別はできなかった。

ナインシュタイン、今度は不二子に銃を向けて言った。

「いい事を教えてやる、この秘密の地下室はもうすぐ閉ざされる。侵入者を見つけると自動的に密封される仕掛けになってるんだ。細菌兵器の開発のために作られた施設だ。いったんセキュリティシステムが稼動すると中にいるものが死滅するまで、開ける事ができなくなる。私しか解除する方法を知らない。」

不二子は黙ってナインシュタインに向かって行き、彼に寄り添った。ルパンを振り返って銃を向けた。

「どう見てもあなたのほうが分が悪いわ。今回は降参したら。」

肩をすくめて両手を広げるルパン。

「頑固な奴だな、、、。やむを得ん。不二子、お前がほんとに私につくならこれでルパンを殺れ。」

彼女の銃を自分の物と取り替えて渡した。二つの銃口がルパンを狙う。

「悪く思わないでね。長生きしたいの。」

「不二子、まさか本気じゃねえだろ?」

「あんな小娘と寝たりして、あたしを裏切った罰よ。」

「何言ってんだ、作戦のうちだ、本気じゃない。、、、でも俺が悪かった許してくれ、不二子、、、愛してる、、、、。」

不二子はルパンの腹を蹴った。体を折って跪くルパン。引きつったルパンの顔を顎に手をかけて持ち上げ、濃いモミアゲを丹念になでつける。

ミニスカートの片足を振り上げ、ひざまずいている彼の肩を踏みつけて彼女は真っ赤な唇で言い放った。

「みっともない悪あがきはよして、さっさと地獄へ行くのね!」

ルパンのこめかみに銃を当てた。

ドウン!

鈍い音がしてルパンはずるりと床に倒れた。目を大きく見開いたまま。こめかみからどくどくと鮮血があふれ、床をまたたく間に真っ赤に染めた。

「ルパン!ちっくしょう!てめえら人間じゃねえ地獄に落ちろ、、、、きっと敵を取ってやる、死ぬなルパン!!」

床に転がされていたルイスは縛られた縄を夢中で解いた。走り寄ってルパンを抱き起こした。

この出血ではもう助からないかも、、、。

流れる血を体中に浴びながら、彼の頭を胸に抱いてルイスは泣きじゃくった。

次回に続く。

選挙行こうな。

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2009年8月17日 (月)

番外編2:私の”やめられない、止まらない”ことはルパン三世小説!

今日も寄り道。先が読みたい君にはかったるいが、まあ読んでやってください。次回の小説は今週中のいつかに必ず。

今、ココログにてココログ選手権やってます。決められたお題について記事を書くとクオカードあたるかも知れないって。8月31日までのエントリー。この記事は参加してます。

小遣いがたりなくて困ってる君に耳寄りな情報だろ。ココログでブログ書いてる君、早速記事を書こう。

どうせならルパン三世の記事書いてここへトラバ送ってくれ。

このブログへ2万回アクセス記念に、ルパン三世についての記事書いたり、ルパン三世専門サイト作ってトラックバックしてくれた人にプレゼント差し上げちゃう、、、

かもしれません。かも、、です。(笑い)

さて、私の「やめられない、止まらないこと」は、もちろん、ルパン三世小説を書くこと。

なんでかって話を、しつこく今日はお聞かせします。

振り返ればルパンオタクなんていわれ続けて○○年。今に俺の孫にも、

「ルパンチャンチェー、ダイチュキ!」

などと言わせたい!

、、、なわけねえだろ。

自分が好きなルパンチックな世界を君と一緒に楽しみたい、ただそんだけの話。

今では、既成のアニメやコミックには飽き足らなくなって、ものすごい数のルパニスト(ルパンオタクでも何でもいい。)たちが同人誌やサイトを作って自作のイラストやコミック、小説作って公開して楽しんでいます。

一部のマニアックな人たちだけで楽しむのもいいんだけっどもがよ、俺はどっちかつうと、広く色んな人にルパン三世アニメの良さを知ってもらいたいんだよね。

爺さん婆さんにも、小学生にも、もちろん君みたいなカワイコチャンにも、イケメンつけてる野郎(失礼、君のことだよ)にも。

いい年したおっさんも、おばさんも、「アニメのくせにおもしれえ~」「ルパンって最高ね!あたしの永遠の恋人、、。」

なんか思ってくれたら最高なわけ。

俺の小説を読んでくれた君、まだ、見てなかったらぜひルパン三世コミックやアニメを1つでもいいから見てくれ。40年もたってるのに、どれも最高に輝いてるお宝なんだぜ。

決して盗むことの出来ない君自身の「夢」とロマンを、俺の小説をきっかけに、ルパン三世の世界に踏み込んで、捕まえて欲しい。

色んな情報のサイトがごちゃまんとひしめきあってる中、芸能人のスキャンダル、裏サイトでの他人の誹謗中傷なんか楽しむのをやめて、明るい前向き話題サイトを流行らせようぜ。

実年齢なんか関係なく、ルパン三世を愛せる君は、「永遠の青春」を楽しめる若者だと思うよ。

ルパン三世みたいに、何にも縛られない自由と、金と女(失礼、愛と)、全てを手に入れられるわきゃないけど、心だけは彼に限りなく近づきたい私です。

小説を書きながら、いつの間にかルパン三世になりきってる自分に気がつくと、もう、コリャやめられねえ、、ってか、次もっとすげえの書こうかなって気になるんだな。

きっと死ぬまで書いてるかも。

大げさでなく、飯食うの忘れて書いてる時あります。

君にはこんなにはまってるコト、あるかい?

コネタマ参加中: あなたの“やめられない、止まらない”ことは何?【ココログ選手権】

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2009年8月14日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(34)(35)

(34) 地下金庫  

ルパンとルイスは、まるでウォータースライダーのように水の流れ落ちる金属のチューブを滑り降りていった。

くねくねとヘビのように曲がる部分や、螺旋状に降りる部分、一回転する部分もある。汚れた水がたまった部分は悪臭を放っていたが、それ以外は快適な旅だ。

50メートル下のウォータースライダー最終地点、それはHOSの地下倉庫への入り口。

ザルの目のような網目のある金属の蓋がネジで留められて邪魔をしていた。あと7~8メートル下だ。

「第一関門通過。」

言いながらルパンは小型の爆弾で、蓋の爆破を試みた。だが、びくともしない。そのまま頭から蓋に激突。続いてルイスの股がルパンの頭を挟んで止まった。

「っつうか、通過できねえな。お前のケツでけえ。」

「力ずくより、頭使えよ、、。」

「そうだな、お前の頭カタそ。」

ガコン!

潜水服のヘルメット被ったルイスの頭をぶつけて、破れかけた穴を完全に破る。あとは穴から手を回して、ねじ釘を外すだけだ。これもルイスが器用に手を曲げてドライバーを使って開けた。

「お前ほんと、頭使えるねえ。」

ルイスはもの凄く痛そうに頭をなで、仏頂面をして言う。

「不二子さんの話じゃ、ルパンの頭の良さは爺さん譲りって聞いてたけど、大した事ねえな。」

「そりゃ間違ってる、爺さん譲りじゃねえ、俺の方が爺さんのはるか上いってんだよ。」

「どうかな。」

取水口から出てきた所は、ギロチンのような歯が上下についている機械の真っ只中だった。もしもこのシステムが稼動していたら、二人とも解体されたマグロのようになっていただろう。

「♪行きはよいよい、帰りは殺し、、、とくら。(「通りゃんせ」の替え歌で)」

「俺、その歌知ってる。」

「お前、日本にいた事あんのか。」

「ちょっとの間ね、親父は日本人だった、ほんとの親父は、」

「鎌田って言ったよな、確か、、、。」

「俺は病院から退院してからしばらく日本にいたが、またアメリカに戻って養護施設に預けられた。そして親父はあの病院からいなくなった。」

ルパンの思っていた事は当たっていた。奴は本名鎌田、またの名をパイカル。自分が研究していた薬の秘密を盗み出して逃走し、こいつを捨てた父親だ。そしてそのパイカルを俺は、、。

「ルパンどうした?

「いや、何でもない。」

暗闇の中を二人は一部屋一部屋、丁寧に調べた。この最下部にある巨大な保管庫はかつてはマイナス120度まで下げて、中にある生物兵器を長期に保存する冷凍庫などもあった。

精子や卵子を冷凍保存したり、果ては病気の人間を氷温状態にして保存し、また元に戻すなどの実験が行われていた。

今でも新開発の薬物、生化学実験に使う新薬、毒薬、劇薬などあらゆる危険で斬新な化学薬品が納められている薬品庫。あるいはその実験の成果やデータの記されたファイル。パソコンが今のように普及するまでの、ペーパーの実験データもそっくり保管されてきた。

不思議なことにここには今、誰もそれを管理するものがいない。

やはりこれは奴の罠だ。

ルパンは確信した。

俺を餌でつってこんな手の込んだ仕掛けでここへ呼び寄せた。

いきなり、真っ暗だった地下倉庫全体に明かりがついた。不気味な音がして、ごうごうと水が流れ込んでくる音が聞こえてきた。

「データによると、234号棟のA左端。」

「さっき通り過ぎた棟が231だった。」

「こっちは226だ。」

二人は来た道を後戻りした。その廊下に出るとどこからか水が漏れ出したのか床が濡れていた。

234棟の左端に辿り着いた。データに教えられたアクセスコードを入れると部屋の扉が開いた。

正面奥に見えたのは金庫の扉だった。

(35) 二重スパイ

「スミス、相変わらず君の腕は大したものだ。あの海千山千の悪党をここまで信用させ、こちらの手の内に入れるとは。」

CIAの作戦本部の一角にあるオフィス。フェニックスに次の指令を受けるカレン。

「まだ作戦は終わっていませんわ。」

「隠しカメラの映像と奴の移動線を分析して、奴の侵入経路を予測してくれ。」

「まず、この男たちが本人かどうかを調べてみる必要がありますね。」

「もちろんだ、映像の分析を急げ。」

「今、旧病棟内にある隠しカメラの映像を全てこちらに送信しています。」

実はカレンのパソコンは映像を細工する作業をしていた。病院に設置された隠しカメラ映像全てをいったんカレンのパソコンに集め、ニセの映像にすり変えて本部モニターに送っていた。

最初にルパンとルイスが通り過ぎた映像以外、その画面には侵入者は全く映らないようにしてある。

カレンの役割は二人が建物に侵入したあと、彼らの経路を追跡して危険なセキュリティシステムを探知し、退路をアドバイスすることだった。

泥棒を見つけだす仕事を手伝っているように、周りのエージェントには見せかけながら。

次回に続く。

お盆です。パソコンない実家に帰省する君、自宅に戻ったらちゃんと続き読んでくれよ。

ネット喫茶や人のパソコン借りて見てる君、くれぐれも大切な情報を盗まれないように、ネットサイトは見るだけにしろよ。

先輩のアドバイス大きなお世話?

奥様、お嬢様、爺さん、ばあさんも気をつけてくださいよ、ホント。

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2009年8月 8日 (土)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(33)

(33) ZED潜入

真夜中、ごく低空を巨大な飛行船がシリコンバレーの上空をゆっくり泳いでいた。それはまるで夜空の星をちりばめた、一枚鏡でできた空飛ぶクジラ。

こんな時刻に空を見上げて星空を観察する人間がいれば、ここまで近づく前にルパンの盗みに気づいたかもしれない。

クジラの横腹にはこんな文字がくっきりとネオンサインで浮かび上がっていた。

ZED参上 ショー開幕は 本日午前零時 見逃すなよ ルパン三世 

飛行船の操舵室にいる次元、ルパン、それにルイス。赤外線ビデオカメラ付の暗視ゴーグルの調子を点検する。彼らが暗闇の中でゴーグルを通して見ているものが、飛行船を経由してここから数百キロ離れたパソコン映像に映し出される仕掛けだ。

その映像をキャッチするのはもちろんカレン。CIAロサンゼルス支部にある彼女のオフィスのパソコンだ。

「OK、ルパンもルイスも完璧。」

カレンは上司がやって来ると、素早く別の映像に切り替えた。クジラを上空から写した航空映像である。彼が通り過ぎると飛行船内部の映像に戻す。

再びここは飛行船の中。

「じゃ頼むぜ次元。」

「しかし、何で今どきネオンサインで予告状なんだ?ナイトホークス社で懲りたろうが。」

「人生趣味で生きなきゃよ。仕上げはまかしとけ。」

巨大複合企業体ZEDの数キロ四方の敷地内に、この時間帯いる職員や社員はおそらく二百名以上。真夜中と言えど、企業では夜勤は当たり前の昨今だ。

窓から見て気づいた者が、何事とばかり屋外に出、指差したりしながら夜空を見上げ始めた。だんだん観客が増えていく。

次元の言う通り全くばかばかしい話だ。泥棒がわざわざ押し入る先をこんな派手な看板で相手に知らせようというのだから。

今までこのスタイルを一度も崩したことがないルパン、いつもと違った事をした。

クジラの下腹が開いて細長い舞台が中から下へ降りてきた。夜勤の社員が目を凝らして見ていると、七色に輝くスポットライトが舞台中央に集まる。

バイクに乗ったルパンと次元が対決するシーンが始まった。光はミラーボールのように回転し、ZEDの敷地の真上で、大勢の職員が見ている中、シルク・ドウ・ソレイユ顔負けのバイクショーが始まった。

お互いに激しく音を立て、ぶつかり合い、狭い舞台の上でぐるぐるとバイクのカーチェイスを繰り広げる。低空飛行とはいえど、30メートル以上の高さだ。バイクで押し合ったら、どちらかが舞台の縁から転げ落ちる。

観客は固唾を飲んで2台を見守った。

このきらびやかなショーに侵入者の通報を忘れて見入る警備員。侵入者があればCIAや国防総省にも連絡しなければならないのに、それすら忘れてスリルたっぷりの演出に歓声をあげた。

ルパンのバイクが次元に追いつき、バイクごと激突して次元を蹴落とそうとする。蹴落とされまいとする次元必死でバイクを立て直し、舞台の反対側に向かって爆走する。急ブレーキをかけたと思ったらバイクは反転し、そのままルパンのバイクへ激突。

今度は次元のバイクがルパンのバイクの尻に食らいつき、激しいエンジン音とともに、舞台からじりじりと落とされかけるルパン。

あわやという所で体制を建て直し、バイクに乗ったまま反対側の夜空にダイビング、羽がはえたかのように飛翔した。

オオ!とどよめく観衆。

ちょうど通りかかった建物の屋上にタイミングよく着地。それを追って次元も激しく追走。

とここでスポットライトは突然消えた。星空に巨大なクジラがゆっくりと泳ぎ去っていく。

あ~とため息をつく観衆。

とたんに泥棒どもの行方を探知するシステムが各方面で稼動し始めた。

もうその頃はルパンと次元に変装したルイスは、旧国防総省付属病院HOS、今は廃屋になっている10階建てビルの屋上にバイクごと降り立っていた。もちろんここへ降り立つことは、飛行船の向きや速度を計算した上である。

「お前、サーカスには向いてんな。」

「ルパンさん、引退したら俺に名前譲りな。」

「さんつけて呼ぶのやめろ、背中痒くなっから。」

「次元、うまく立ち回ってるかな。」

「あいつは自分で自分を守れる。」

「あんたは俺が守ってやるよ。」

「口の減らねえボウズだな。」

「ボウズはねえよ。」

「しっ。誰か来た。」

屋上にいる二人の前に影が現れた。ルイスは非常階段の入り口に駆け寄って、針金で鍵をこじ開けた。旧式のドアの鍵なんて目をつぶってでも開けられる。

「行くぜ!」

ルイスは扉を開けて、非常階段を慎重に下りていった。

だがルパンは暗視ゴーグルをはずして、夜目の利く肉眼で迫り来る人影を追った。がらくたがごちゃごちゃと置き去りにされた屋上の端に、その影はいた。

その姿には確かに見覚えがある。

そいつは見慣れた黒いシルクハットに、黒いマントを着ていた。俺の爺さんのと同じだ。片メガネはかけていなかった。鼻の下に髭がある。暗闇の中に立った横顔が、下から照らされるサーチライトで、ちらりと見えた。

「親父、、、?」

ルパンが呟くと、その影はニヤリと笑った。

「お前にこの謎が解けるかな、、、三世。」

「そんなはずは、、、あんたは、、、誰だ?」

「知っているはずだ。お前にこの謎を託した。」

「親父は死んだ。」

「目の前に見えるものだけが現実とは限らない、、、私はお前に教えた。」

「俺はあんたを信用しねえ。誰も信用するなと教えたのもあんただ。」

「お前は私を超えられるか。」

「あんたはもうこの世にはいない。」

「ところが私はここにいる。」

「俺はあんたや爺さんが出来なかったことをやる。あんたが何モンだろうと、俺は世界一の泥棒だ。」

「お前に託す、私も父も叶わなかった夢、お前に託す、見果てぬ夢を。」

「見果てぬ夢?」

その影はゆるりと流れ、舞い上がってやがて星の海に煙となって吸い込まれていった。

ルパンは辺りの廃材やダンボール、鉄骨を手当たり次第に蹴飛ばし、掴んでは投げ飛ばし、このマジックの種か仕掛けを見つけ出そうとした。

だが、何も見つからなかった。

「ルパン、さっさとカメラに映るトコまで行こうぜ。」

非常階段を下り、踊り場付近までいくと隠しカメラがあった。二人はわざとそのカメラの前をゆっくり横切り、その後、9階の空き部屋の窓からワイヤロープで地面へ降り立った。

すでにそこで待機していた次元がロープで上がっていく。次元は一人で非常階段まで戻り、ゆっくりと屋内を探索し始めた。

彼はおとりだ。脳内に埋め込まれているチップは、今は彼の居場所を正確には特定しない。上空を泳ぐクジラは強力にプラズマを発してこの建物の周囲の電波を吸収、かく乱していた。このシールドの中に入ると、次元の位置を割り出す機能はうまく働かなくなる。

クジラはゆっくり巨大基地から遠ざかっていった。鏡のような表面に色とりどりに煌いていたネオンサインは全て消え、星空に紛れ込んでその位置は肉眼でも探知されなくなった。

次元の遠隔操作で2時間30時間後にこの上空に再び戻ってくるようにセットされている。

やがて次元がこの廃屋の非常階段にいることがCIAの探知装置に確認された。

ルパンとルイスは、この建物の裏手にある人口の貯水池に辿り着いていた。

あのデータによると、研究施設の地下50メートルにある、核爆発にもびくともしない薬品庫や極秘文書が保管されている金庫室がある地下倉庫は、ここから通じている取水口に繋がっている。

部屋を一定温度に保つための冷却装置として、この貯水池から水を取り入れる仕組みだ。今は稼動せず、汚れた水を排水したのち閉じられていた。

潜水服を来た二人は貯水池に潜った。底にあった蓋をこじ開け、濁流とともに深い暗闇の奥へ吸い込まれていく。

次回に続く。

昨日の約束の通り、二日続きでお届けしています。ルパン三世小説第33章。

ちょうど折り返し地点まで来ました。後半はますます面白くなり、ハイテンション、フルアクション!

乞うご期待!

PS:ルパンが飛行船を使って泥棒に入る話ってありそでなさそ。

OVA「GREEN VS RED」のほかにもう一つ見つけました。山上ルパン13巻の第54話「鳩も鳴かずば盗まれまい」。この話すごくいいですよ。盗み方がしゃれている。飛行船を使ってるのは同じなんですけど、あっと驚く新発想。バイクよりこっちのほうがずっと面白かったかなって、ちょっと後悔してます。でも五エ門が一緒でないと出来ない作戦。

読んでみてください。

PS2(プレステ2じゃない、追伸)

俺今ね、思いっきりマニアックなルパニストのサイトを5つばかり覘いてきました。

ほんっと、ハンパナイ奴の作ったサイト。

君覘いてみたことある?

もうおみそれしやしたってか、まいりました。

結構ルパン三世の事知ってるつもりがなあんも知らんかったって、よ~っく分かりましたよ。

深く広いルパン三世の世界、サイドバーにご紹介。数あるマニアのサイトの中で自分がまあまあついていけそうなのを。

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2009年8月 7日 (金)

ルパン三世長編小説第三弾「見果てぬ夢」 (32)

(32) 人質 

高射砲やバズーカ砲の炸裂音が轟き、巨大な貨物船のいたるところに大穴があくと、スマートな形をした高性能の高速艇が2隻、同時に突っ込んで来た。もう2隻は少し離れた沖合いで待機している。

「怪我人を先に移動させろ。」

「人質の総数の確認。」

「船はあと12分後に沈む。それまでに退路を確保しておけ。」

「船長と一般乗客以外一人も船内に残すな。」

海賊の首領である「砂漠の鷹」は数十名の部下に次々と的確な指示を出した。

ここはソマリア沖のアデン湾。ダブ海峡の少し南、ジプチとの国境近くの海上80キロだ。

貿易船の乗組員たちは、大きな救命ボートで次々と船外へ放出されていった。ここは大きな嵐の少ない内海だ。救助船がくればじき助かるだろう。

五エ門は鷹が出す指示と、きびきびと従う彼の部下の動きに見とれていた。彼らは軍隊以上に規律のある、「義勇軍」のように動いていた。

昔の俗な映画のように、女を拉致陵辱し、宝や食料、燃料を根こそぎ奪い取るような輩はここには一人もいない。

あっというまに戦いは終結した。乗組員たちは全員無事に船外へ退去させられた。

あとは鷹の指示に従い、外国航路を通っていた欧米の商人と見られる男女が15人ほど鷹の高速艇の甲板に集められた。

一人だけ、老人と思われる黒人が担架に乗せられ虫の息といった様子だった。その横に、眼光鋭いハンサムな40代の黒人が付き添っていた。

「これで全部か。」

「怪我人はすでに病院へ搬送しました。」

「この老人は?」

「足手まといなんで、こいつは別に搬送しますよ。」

「早くしないと手遅れになる。」

ハンサムな黒人が言った。

「彼は重病なんだ。早く病院へつれていかないと死んでしまう。」

「何の病気だ。」

「末期癌だ。事情があってこの商船でカイロの病院へ連れて行く途中だった。」

「分かった、できるだけ早く手配する。」

「我々をどうする気だ。」

「お前たちの国の政府に連絡して、身代金を取る。」

「私の身代金は高く請求するんだろうな。」

「お前は政府の要人か?」

「私はアメリカの国務省から派遣されている役人だ。この老人を安全に送り届ける義務がある。」

「それなら、大使館に連絡して身元を確かめる。それまで私の船で待て。」

「それまでに彼が死んでしまう。」

「身元が分かるまではだめだ。」

黒人はいきなり、鷹に隠し持っていた銃をつきつけた。

「私の言う通りにしろ。」

海賊の手下が周りを取り囲み、男を取り押さえようとした。鷹はそれを制した。

「分かった。すぐに手配する。お前はここに残れ。」

「私も一緒に付き添わせてくれ。」

「もしかするとお前はこの男の親族か?」

「、、、、そうだ。」

「本当に役人か、なら証拠があるか。パスポートを見せろ。」

男が身分証を渡すと、鷹はその中身をよく見ないで海に投げ捨てた。

「お前は人質として、我々のアジトで過ごしてもらう。それまでは身分を示すものや、逃亡に必要なものはいっさい身に着けずに、ついて来てもらうことになる。」

いきなり男は銃を海賊たちに向けて発砲し、彼らがひるんでいる隙に海に向かって身を投げようとした。

が、そばにいた鷹の部下が、すかさず彼の太ももに2発発射した。黒人は甲板の手すりにしがみつき、やがて力つきてその場に倒れ臥した。

五エ門が駆け寄って体を張ってその男を守った。鷹がそれ以上の攻撃を制止した。でなければ彼らは二人とも射殺していただろう。

鷹の高速艇は、やがて水の上を滑るように離れた。大型の貨物船が、ゆっくりと海に飲まれていくのを船の上の人質と、海賊どもは黙ってじっと見つめていた。

担架で運ばれた老人、撃たれた黒人がその後どうなったのか、五エ門には分からなかった。

鷹の本性は、やはり賊だった。どんなに人としてはまともでも、奴は人質に対しては冷徹に、身代金を要求するのだ。あの黒人青年はアメリカ国籍なら法外な金額を要求されることだろう。

五エ門は行きがかり上海賊どもと行動を一にするはめになったが、一味として加わる気にはなれないでいた。

ルパン達と離れて数ヶ月、修行もこれまでだ。

奴は一体何をしてるのだろう。拙者がこうして気を利かせて先回りして、あの医者を探しあぐねているのに、いつものように女など見つけて楽しんでいるのか。

不二子から連絡が来なくなった。どこまで計画が進んでいるのか検討がつかない。

だが五エ門の危惧をよそに、ルパンのお宝争奪作戦は着々と進んでいた。

次回に続く。

あっという間に21000アクセス。いっこうに2万アクセス記念企画記事ができません。REDは今日もお忙しいそうです。

いつになったら手があくの?退職したらって?

じゃ、20年後になっちまうじゃねえの?

お待ちかねの次回は必ずお届けします。20年後ま~た会おうぜ。

、、、なわけねえだろ、安心しな。こんどは2学期だ。

、、、いや明日ね。(笑)

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2009年7月29日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(31)

(31)謎の薬

「ルパン、あなたの言ってたデータが取れたわ。」

「さすが、元CIAの凄腕。」

「もと、じゃないわ。実はまだ首が繋がってる。」

「そうなんだ、、。ボスは俺と組むのをOKって言ったのかい?」

「あなたのやろうとしてることは詳しくは、、、話してない。でも、フェニックスの策謀を探るためにあなたに協力している事を知らせた。」

「つまり君のボスは、君に大統領暗殺の黒幕を探らせるプラス俺を監視して、お宝を掘り出す犬か猫みたいに鈴つけとくって腹だ。」

「犬、、。」

「か~わいい鈴だことオ、俺喜んで犬になっちゃう。ここ掘るワン、ワン。」

犬のマネして体ごとスリスリし、頬をナメたがるHな悪乗り男をカレンは払いのける。

「30年前まで遡ってあのZEDの中にある、かつては軍の医療機関で、CIAの研究施設だった病院「HOS」のことを調べ上げたわ。

今は廃屋になってるあの建物は、1990年代までは、最先端のハイテクが使われた病院だった。」

「何の研究が行われていたんだ。」

「これよ。」

パソコンに映し出されたのは、ルパンがかつてパイカルから奪い取ったあの不思議な化学式だった。その薬の名は略称、DUST(=ごみ、ほこり、塵)。

皮膚に塗ると、皮膚の熱でとけ、特殊な化学反応を起こして、硬い皮膜を作る。その硬さは、至近距離で被弾しても、ワルサーやマグナム級の短銃の弾ならほとんど傷を与えないほどの強度がある。

パイカルはこの薬品を自分で化合して体を保護していた。彼はまた、全身に火傷のあと(ケロイド)が残っていたが、この薬を塗ることで、皮膚そのものを修復させるのにも使っていた。

汗や垢で剥がれ落ちるため、長くて2日ほどしかその効果は続かない。

「この薬、始めはNASAの宇宙服を作る目的で注目され、研究開発されたんだけど、服の繊維を強くするだけでなく皮膚の再生に強力に作用することが当時の病院の研究で分かったの。」

「火傷をした患者、つまり兵士の皮膚に塗って再生力を高めるだけでなく、皮膚を強くし、おそらく弾が当たっても死なない奴を作ろうとした、、。」

「当時のカルテや記録が残ってないので、何とも言えないけど、相当数の患者、湾岸戦争なんかで負傷した人にも使われたらしいわ。」

「だが、実際に戦争の兵器として開発されてはいなかった。」

「それがこの薬、火傷した人には効くんだけど、健康な皮膚の人に使うとなぜか一定量以上塗ると心筋梗塞とか心不全とかの副作用が起こるらしいの。」

「それで実用化できないままにこの研究は闇に葬られたのか。」

「ごく最近までは。」

「最近まで?」

「iPS細胞、つまり万能細胞が発見されてから一転、実用化できる可能性が出てきた。」

「俺、専門は泥棒なもんで、やさしく説明してほしんだけっども。」

「培養してほかの臓器に移植するとそこでどんな細胞にでもなる万能細胞よ。この薬で一定期間万能細胞を培養したあと皮膚に移植すれば、健康で丈夫な皮膚を持った人になるわけ。弾を通さない皮膚だって出来るのかも。」

「なるほど、そうなれば人間弾除けがどんどん量産できるって寸法だな。」

「子供がたくさん入院してたのは1980年代から90年代にかけて。それ以後は何か、医療事故か細菌感染か何かが起こってこの病院は閉鎖された。」

「その頃の手術患者でうまくいった例はあるのか。」

「ジョアンよ。」

「彼女が?」

「あの子は子供の頃、皮膚細胞にメラニンが作られなくなる免疫異常の病気だった。

お日様の光を浴びると火傷して治らないの。全身火傷すると死んでしまうから、カーテンを引いた部屋で子供時代を過ごしたの。

あの病院でいいお医者様に巡り合って治療を受けた。私は子供だったからよく覚えていないけど、皮膚を一部剥がしてそこへ培養されてできた皮膚を植え付ける、そんな事の繰り返しで彼女はずっと病院にいたわ。」

「彼女が成長するにつれて肌の色が黒くなったっていうのは何故だい?」

「移植された細胞が、黒人のものだったからっていう説明だった。でも、万能細胞なんだからそんなのおかしいわよね。」

「鎌田について、何か情報は?」

「19XX年に鎌田という研究者がいたけど、その後の職員名簿には無くなってる。その人の子供も、顔に火傷を負って、ここへ入院してる。パソコン導入されてからのカルテに残ってたの。」

「つまり、そいつの子供がここで治療を受け、そいつがその後薬を盗んで逃げちまったって事も有り得るわけだな。」

「あなたの知ってる男が、鎌田かどうかは分からないわ。」

「何か、特徴とかなかった?そいつの人相?」

「その研究者も実験中の事故で皮膚に火傷を負ってるわ。その治療後に失踪してる。」

鎌田が果たしてあのパイカルなのか、その子供は、、、、。

ルパンはルイスのことを思った。

あいつはこの病院に入院していた事があると言っていた。もしかすると、、、。

次回に続く。

「尋常性白斑」て病気を知ってますか?先月亡くなったあの、マイケル・ジャクソンさんもこの病気でした。皮膚の中にあるメラノサイトが減少して、だんだん色が白くなっていく。若者にもある、後天的な皮膚の異常で、原因は分からない。太陽光線でやけどすることもあるらしいです。

自分がこの小説を書き上げた時、マイケルさんがこの病気ということを知りませんでした。彼の死によってこの病気は一躍有名になりました。

言われなき中傷を受けただろね、彼。「黒人であることを嫌って、皮膚を脱色してる。」なんて実しやかに記事にも書かれてましたからね。

裏の顔と表の顔、どちらもきっと彼の真の姿。生前いろんなスキャンダルを抱え、その死の原因にも疑惑を持たれたまま亡くなった彼。

彼が善人か悪人かはいろんな見方ができるけど、偉大なミュージシャンであることは間違いないでしょう。「天才的な」資質を持ち、超人であるかのような華やかな彼の舞台の裏には、様々な持病との闘いと克服の日々があったようです。

ちょうど一月たちました。ご冥福をお祈りします。

ルパン三世にも持病があったら面白いですね。虫歯とか、水虫とかは持ってるようですし。ツタンカーメンの黄金の仮面を被ったら発狂した(?)こともあるので、案外暗示や催眠術にかかり易いタイプかもしれません。

催眠術をかけられて別人になったルパンの話ってのも書いてみたいですね。

何?そんなの読みたくないって?

是非、次の小説にします。喘息で、アトピーで、アル中で、被害妄想のルパン三世。(笑)

マイケル・ジャクソンさんの尋常性白斑について

詳しく知りたい人はここから調べてみてくれ。

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2009年7月23日 (木)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(30)

(30) 次元の迷い 

次元は迷っていた。

自分がルパンの足手まといになってはいけない。あいつの今度のヤマは、爺さんの代からやりかけてた仕事にケリをつける事だ。

あいつは世紀の怪盗の孫としてプライドを賭けている。爺さんをどこまで越えられるかに執念を燃やしてる。よりによってそんな時に、俺は不注意にも失態をやらかした。

脳味噌がどうかなっちまうなんてやってみなきゃ分からねえじゃねえか。いやいっそ、ひと思いに殺っちまってくれ。

作戦のための準備は整った。世界中のレーダーに探知されないように、プラズマアンテナや電波吸収体を搭載し、最新の流体力学に基づく設計、抜群のコントロールと推進力を持つ大型飛行船。

世界中にいるルパン一味への協力者のおかげで万全だった。

ルパンがナインシュタインから手に入れたZEDへの侵入経路に関するデータは船のパソコンにもカレンのパソコンにも送った。自分たちの潜入を偽装するニセ映像もCIA本部へ正常にテスト送信された。暗闇を走破するためのビデオカメラ付き暗視ゴーグルの調子も良かった。

だが今回、俺はあいつとは行けない。一緒に行けば、CIAの連中にルパンの居所を知らせるようなもんだからだ。こんなに大事な、ここ一番の大勝負なのに、、。

数え切れないほどの修羅場をあいつと共にくぐってきた。いつも一緒だった。幾度となく生死の境を共にして、俺たちは夢を一つにした。

俺が一緒に行かねえなんて、泥棒が夢、盗まれたみてえなもんだ。

夢って言やあ、いつか俺のことを「クラシック」だと言ったっけ。お前の方こそ高級浪花節もクラシックも俺よりはるかに上いってる癖してよオ。

「次元、しょぼくれんなよ、俺代わりに行ってやるからさ。」

ルパンの皮を被ったままのルイス。警察の車を無事振り切ってアジトへ辿りついた。それからはずっと次元につきまとい、付き人同然にアジトに出入りしていた。

「俺が帰って来るまで手出しするな。」

「ルパンが中に入ったら、俺があんたの代わりにサポートするよ。」

「馬鹿言うな、シロートの出る幕じゃねえ、遠慮しな。」

「あんたが行かねえなら、あそこへ一人で入るのは無理だ。」

「お前連れてじゃ、もっと無理だ。」

「へへ、俺、病院の中を知ってるんだぜ。」

「お前があすこへ入院してたの、子供の頃だろーが。」

「でも、ちゃあんと頭の中に見取り図が納まってら。ルパンが盗ってきたのがニセの情報だったらどうすんだ。」

「、、、ま、一理あるな。」

「じゃ、決まりだ。」

「武器は持っていくな。」

「それじゃ身を守れない。」

「だからお前はシロートなんだ。銃なんか持ってったら自分の足、間違えて撃つことになるぜ。」

「、、、あんたの言うとおりにする。じゃ何使えば守れる?」

次元は自分の頭を指差す。

「お前が使えるのはここだけさ。」

「頭?」

「それ以外に何がある。」

「分かった。あんたも俺たちが帰って来るまでにうっかり頭壊すなよ。」

「相変わらず口の減らねえ小僧だ。」

次元とルイスはルパンの連絡があるまで作戦遂行の日を待った。別々の秘密のアジトで、居所がばれないように。

次元は刻々と迫る大統領就任式の日を数えた。ついに2ヶ月を切った。

俺が例え逃げたとしても、誰か他の奴が出し抜くかもしれねえな。

それにしてもあいつが俺に関して何も手を打たないのは不思議だ。女のアパートでほんとに作戦練ってるんだろうか。仕事そっちのけであの女に入れあげてんじゃねえだろな。

「その女たらしが命取り」ってメールで送りつけてやりてえぜ。だが今はやりとりは自粛だ。脳外科の医者にかかりてえのは山々だがそこから足がついちまったら困る。

何をするにしてもルパンの作戦の足を引っ張るような事にならないか、それだけが次元の気がかりだった。

次回に続く。

夏休みに入りましたね。全国の若者の諸君。

学生にとっては天国の7~8月。社会人の君には暑さで地獄の2ヶ月かもな。体に気をつけて乗り切りなよ。俺のブログ読んで息抜きして、、。

あと数回先にルパン三世の世紀の大作戦が始まるぜ。お見逃しなく。

今、ルパン三世の2NDTVシリーズを観ながら、コミックじゃない「アルセーヌ・ルパン」の本を読んでます。

本知らん?

知らない人にご紹介。

ルパン三世のじっちゃんの話は、推理小説の古典と言われ、モーリス・ルブランというフランスの作家が今から100年ほど前に書きました。

町の図書館に行けば、アルセーヌ・ルパン全集というのがたいてい置いてあるんで、タダで借りて読むと楽しい夏休み。30巻あります。

一日1冊読めば完全制覇。どれからでも読めて1冊で完結。(813・続813は2巻で完結)

自分は今「二つの微笑を持つ女」を読んでます。

この本、おすすめ。一世がいかに女たらしかが分かる話。何しろ4人の美女を次々とモノにする。その一人には某国の女王陛下がいるんだけど、生まれた嫡男は一世そっくりのハンサムだったとか。

まさに女の敵!許せねえ!こんな男の息子の息子なら、不二子とカレンを同時に愛人にするなんざ、朝飯前だろね。(本心は、浦山氏~浦山氏~)

原作者ルブランさんとルパン三世のコミックはなんの関係もありません。でも、あまりに性格が似てるんでモンキーパンチさんはアルセーヌ・ルパンを現代の若者にかえて蘇らせたのかと思う位ですね。100年前にしちゃ、今使えるネタがふんだんにあります。

最新名探偵コナン映画の「漆黒の追跡者」の謎解きネタに「カリオストロ伯爵夫人」に使われたのとほとんど同じのが使われてます。ほとんどってか、パクリじゃねえかな。

「ルパンVS名探偵コナン」の話の中で、コナンが預けてた自分のスケボーをホテルのフロントで返してもらう時、預かり札の番号覚えてるかい?「814」だったんだぜ。アルセーヌ・ルパンシリーズには「813」「続813」て題名の話があります。いずれも名作です。

アルセーヌ・ルパンはこの話の最後に自殺を図ります。九死に一生を得て、新しい偽名を持ったのが「ルイス」でした。新生ルパンの名前だ。んで俺の小説に出てくる若造にはその名をつけました。

ほいじゃま。

追伸:何度も言うようだが、トラックバックはくれぐれも「ルパン三世」について書いてから送ってくれ!(ゲームの攻略法と病気の解説とエロいサイトは禁止だ。)

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2009年7月16日 (木)

ここらでちょっと番外編「クリカンもマッツアオ・山田康雄声優発見」

超・超おもしろ動画発見!

「ルピン」さん演ずるルパン三世の世界。

山田康雄さんの霊がのりうつったかのような声演!

ここまで似てると気持ちワル~。

、、、くはないです。性格までそっくりのフェイクルパン三世が演じるショートストーリー。銭形の声もそっくりですけど、ルパン三世の出来はクリカンさんよりはるかに上!

山田康雄さんに似てるかどうか、という基準で、ですよ。

ほんとにこの方、声優ではなく、シロウトさんなんでしょうか?ラジオのDJとか?

ストーリーも練られてますね。既存の映像を組み合わせて創った新しい話。

もしかしたら、40年間のルパンアニメ映像を組み合わせたら何億通りの新しいルパンストーリーがシロウトにも作れるのかも、、。あなたもお試し下さい。既存のフィルムを繋いで「ルパン三世パート4」なんかを作ってみては。

まずはご覧下さい。

ゆうチューブより。

右サイドバーにてルピンさんの他の作品もご紹介しています。面白すぎてファンレターおくる人もいるとか、、、、、嘘だよ。

声はそっくりですが、自分の話に出てくる男とは別人、別世界ですねえ~。自分の中にあるルパン三世のイメージとは当然ですが違いますもん。

(クリカンおろせとか、そこまで言われるとむかつきますね。)

俺的には、山田ルパンと栗田ルパンは個性も声も全く別のキャラと思ってます。

それどころか、山田ルパンその人のキャラでさえ作品によって何通りも変わっていますから、40年で10人はいるんではないでしょうか、「ルパン三世」と名乗る男は。

栗田さんは彼なりのルパン三世を演じ、彼の世界を創り上げてきたし、これからもそうして欲しいと願っています。

でも、ここまで「山田ルパン」に似せて演じきれる人がいるって分かったら、いっそ、彼にも演じてもらったら面白い作品ができるんじゃねえの?

、、、なんて思ったりするんだけど、制作会社の方々、いかがなもんでしょう?

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2009年7月15日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(29)

(29) 密会

「今夜はニオう。」

「夜来香(イェライシャン=花の名前)よ、きっと。」

ジョアンは魅惑的な香水の香りを漂わせて、車の中から外を見張っている銭形に近づいた。

今流行のフェロモン香水だ。私服のマニッシュなスーツの前は、胸の谷間を深く、くっきりと際立たせるデザインのエンジ色のTシャツ。彼女の濃い色の肌に似合う。

まだ肌寒い午前2時なのに、銭形の顔はそれを見ただけで火照ってきた。連日の張り込みで疲れきってはいたが、彼も普通に男だった。

いかんいかん、これから奴を逮捕するのにこんなでは。いつから俺はこんなに女にだらしない男になったんだ、、。

数日前からカレンのアパート前で張っていた。奴が足繁く女の所に通っているのは情報筋から掴んでいた。今夜あたりここへしけこむはずだ。

長年の試練からか、それとも超能力か、銭形は数キロ離れた場所からでも奴の匂いだけは嗅ぎ分けられるようになっていた。シャンパンと福神漬けの混じったあの匂い。

犬のようにヒクヒクと鼻を動かして辺りの匂いを嗅ぐ。香水の香りに混じって、美味そうなコーヒーの香りがした。

「はい、これ。」

ジョアンが紙コップに入ったコーヒーを渡す。

「あ、すまんな。」

ズルズルと熱いコーヒーをすする。

「これインスタントじゃないの。あなたのために沸かして、淹れて、飛ばしてきたのよ。」

彼女は自分の白いBMWを指差して言った。

警部補ならパトカーがわりにこんな贅沢な車を乗り回してもいいのか。全くアメリカって国は、、。

銭形が張り込みのために乗っているのは中古でもめったにお目にかかれないポンコツのアメ車だ。

「おい、来たぞ。」

ジョアンは素早く銭形の車に乗り込んで、カレンのアパートに向かう男を双眼鏡兼赤外線カメラで覗き込んだ。

「あれだわ、多分。」

シャッターを切る。

「ふん、女に入れあげてのこのことサル面まんまで出かけて来おって、この銭形をナメとるな。」

銭形がドアを開けて車外へ出ようとするのをジョアンが引き止める。

「ゼニガタ、作戦が違う。あなたがここにいてくれなければ逮捕した時、本物の面が見分けられる人はいないのよ。」

「何、あんなに無防備なサル、俺がとっ捕まえてあんたに引き渡せばいいだけだ。」

止めるのも聞かず車を降りる銭形。アパートに向かって音もなく消えていった。あたりは漆黒の闇。

何の気配も物音もなく10分が過ぎた。ジョアンは時計を見ながら銭形に援軍を送るかどうかを決めかねていた。

やがて銭形が息を切らして戻ってきた。窓をコツコツ叩いて言う。

「今ここで、俺を見なかったか?」

「え?さっきコーヒー飲んでたのはあなたじゃないの?」

「馬鹿野郎!でかい目しててニセモノが見分けられねえのか、そいつがルパンだ!」

憤然として車に乗り込む。ジョアンは車の無線で全員に指示し、突入に備えた。

「あなたはここにいて。あたし達が追い込むわ。」

今度はジョアンが車を出ようとする。

「待て、奴が忍び込んでいたらカレンが連絡して来るはずだ。」

「姉はあたし達を裏切るつもりよ。」

「なぜ分かる?」

「あたしにこっそり教えてくれたの。ルパンの一味になったと見せかけて、彼を利用しようとしてる裏の組織の企みを暴くの。だから今は彼を逃がすって。」

「奴を捕まえれば秘密も暴かれる。」

「ルパンと取り引きしたのよ。あいつに協力するかわりに、行方不明になった父を一緒に探してもらうって。」

「君の親父さんって、あの海洋生物学者のロバート・スミスか?」

「そう。UCLAの研究者だった。CIAに頼まれて、どっか南の海で秘密の調査をしてるって聞いてた。失踪して5年になるけど、姉は父の行方をずっと捜してるの。」

「君の親父さんはあのZEDにいたんじゃなかったのか?」

「ZEDに移籍してすぐ行方不明になったって聞いたわ。」

「カレンは親父さんを取り戻すために組織の手先になって、奴らのいいなりに働いてるのか?」

「仕事についた頃はマジで悪党を退治したかったって。、、、そうね、彼女にはあんな危険な二重生活、嘘まみれの人生って向いてないわね。」

「君はどう?」

「あたし?あたしはスリルがあって、いい男がいれば言うことなしよ。」

「じゃ、君の好きなスリルってのを味わうとするか。」

「どんな?」

ジョアンはアンデスの山小屋の一夜を思い出した。

「あの時みたいに?」

「あの時って?」

「あたしに言わせるの?」

しばらく二人は見つめあった。

暗い車内で二人だけだ。唇が近づいて来たので、ジョアンは迷うことなく唇で受けた。座席シートを倒し、しばらく車の中で上から下まで絡み合う二人。

風邪薬のような小さな錠剤がジョアンの喉を滑っていったが、夢中で気にも留めなかった。

「警部補、そろそろガサ入れますかア?」

若い警官が現れて車の外から声をかけたが、現在お取り込み中だ。困った様子で離れていった。

「私に何飲ませたの、ゼニガタ、、。」

潤んだ瞳で恋人に訊ねるジョアン。

「君との恋がうまくいくようにさ。恋の妙薬。父つあんが俺にヤキモチ焼かねえように、先にお休みしてもらったからな。ま、目が覚めたらあとは二人でごゆっくり。」

しばらくしてぐっすりお休みになってるジョアンの隣に、先に玄関先で眠らせた本物の銭形を並べた。二人の腕に銭形の手錠をかけてからシートをフルフラットにした。

すでに車は2台ともパンクさせてある。銭形の車の無線スイッチを入れる。

「こちら銭形、ルパンにまんまと逃げられた。奴はカレン・スミスを脅して36号線からサンフランシスコ方面に向かって逃走した。我々も本部へ連絡後、すぐ合流する。」

ひっそりとアパートをとり囲んでいた5台の覆面パトには二人ずつ私服警官が乗り込んでいた。彼らは慌しく国道へ向かって走り去っていった。

銭形の姿のままアパートの玄関に立つルパン。

暗闇からふいに現れるもう一人のルパン。先に往来を歩いて行った方のだ。

「俺のルパンもイケテルだろ。いつまでこの面つけときゃいい?」

「好きなだけさ。俺が連絡するまで静かに待てって次元に言いな。」

「OK。ベンツは預かった。」

「できるだけ派手に、目立つように走ってくれ。」

「次元からの伝言。準備万端整った。」

「こっちもだ。」

「これで俺を仲間にしてくれるんだな。」

「俺の代役がまさか、捕まったりしねえだろ。」

「まかしときな、ついでに本物に成り代わってやるよ。」

二人のルパンはにやりと笑ってすれ違った。

明かりが点き、ドアをノックする前に音もなく扉が開いた。

カレンが思いつめたような瞳で立っていた。

帽子と変装の面を取り、素顔を玄関の照明灯に照らし出す。

「カレン・スミス、君を逮捕する。警察を裏切って大泥棒のハートを盗んだ罪だ。」

低く静かなルパン自身の声。

「君には黙秘する権利がある。もし、君が、、。」

カレンの顔が大輪の花のように輝き、ルパンの顔がくずれた。

「君が隣にいねえと、俺、夜眠れなくってさ。」

「黙秘しない。そのかわり、、、」

彼に抱きついて20センチも背伸びして言った。

「死ぬまで離さないって、、、、、」

今度こそほんとの、恋人同士のキス。

「、、、約束して、、、。」

ルパンがカレンを抱き上げ、アパートの扉が音もなく閉まった。

閑静な住宅街に何事もなく夜が更けていく。

次回に続く。

ルパン三世はヒドイ奴です。でなけりゃ世界一の怪盗なんかになれるわけがない。

007やバットマンと違うのは、白を黒、黒を白と言いくるめ、善人悪人問わずたらし込んで詐欺るせこいキャラクターと手口。己の欲望のためなら手段を選ばぬ人非人。

でもなぜかこの極悪人は嫌われない。40年もこのユニークなキャラが飽きられずTV画面で活躍してる。

このブログはそれを徹底究明するブログでもあります。

トワイライトジェミニで見たでしょ?不二子と二人でイイコトしようとしてる矢先、サソリの貞千代に襲われる場面。

不二子が素っ裸で殺し屋と渡り合ってる間に、自分はスタコラサッサと服持って屋根の上に逃げるあの薄情さ。

パンツはく暇がありゃ、「フ○チ○でもかまわねえから、不二子をおぶってやれよ!」って言いたくなりますでしょ?

でもねえ、ララが砂漠の砂地獄に埋まって、どうやっても助けられないと分かった彼が、思い余ってララの隣に飛び込んじゃう場面。

「ルパン、、、あなたって馬鹿ね、、。」

「そう、、馬鹿なのお~。」

あの場面はルパン三世の本質を深く語ってると思いましたね。彼は悪い奴のくせに底抜けにお人よし。、、というより女性を喜ばせるためには自分の命を捨ててもかまわない超フェミニストなんだよねえ。

(不二子に対しては突き放した態度。実は彼の深い愛情の裏返しなのかも知れません。)

久々にRED登場でした。じゃ、来週お楽しみに。

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2009年7月10日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢 (28)

(28) 侍魂(さむらいだましい)  

五エ門と砂漠の鷹は港の近くの宿を引き払い、オープンカーで鷹のアジトへ向かっていた。

五エ門は車の名前など全く知らなかったが、相当高級な車らしいことに驚いていた。

一方あれだけの強い毒を体に受けて死ななかったばかりか、これほど短期間で回復した五エ門に鷹の方は驚いていた。

途中、車を止めて小高い丘から港を眺める。今日は一人の手下も連れていない。

不死身の体を持って生まれた剣士たちは、もういつもの体を取り戻し、涼しい瞳で港に停泊している大きな船舶を見下ろした。

ここから市街地も見える。カイロなどに似た、中近東独特の雰囲気がある港町だ。最近出来たばかりの近代都市だ。

高層ビルが次々と建てられ、建築ラッシュの市街と並んで、ひなびた寒村や難民キャンプのようなテント村が混在する不思議な光景が広がる。昔ながらの漁師の船の隣に、小型だが現代の高速艇も浮かんでいる。

「これほど近代的な港や町並みがいつ、この辺りに出来たのか。拙者はアフリカはどこも貧しいとばかり思っていた。」

「ここはほんの3~4年前は何もない砂漠に囲まれた、小さな漁村があるばかりだった。」

「ほう。」

「我々はここにアジトを作り、近代的な船を持ち、新しい都市を作ろうと試みている。」

「どうやって。」

鷹は着ている民族衣装の前をあけ、下に来ているぴったりした鋼鉄製のスーツを見せた。彼は先だっての裏切り者の急襲にもこの秘密兵器で凌いだ。

黒く光ったボディスーツ。鎧というよりそれはSF映画で見るような、近未来の宇宙服のデザインだ。アメリカやヨーロッパなどの先進国で開発されたものを輸入したのだろうか。

「我々はもう砂に埋もれて縄張り争いをする前時代の山賊ではない。新しい未来を切り開くために、ある計画を進めている。」

「武器の取り引きか。」

「そうだ。今から行く場所にはお前が今まで見た事もないような新しい、扱いやすい兵器が揃っている。それを今から見せてやる。」

「武器の取り引きの上がりで船を買い、また新しく武器を買い集めるのか、、。」

「ヨーロッパやアメリカの商人たちが、この港で我々に安く武器を提供してくれる。アフリカ内陸の内戦地域に弾薬やTNT火薬、地雷を売れば10倍の値で売れる。」

「お主が法外な値で売りつけた武器で、お主の愛するアフリカの民が殺し合いをするわけだ。」

「イスラム圏の無法なテロリストに買われるより、我々はアフリカに貢献している。内戦を早く終結させるためにも武器は役に立っている。」

「、、、。」

やがて高級車はゆっくりと巨大な檻に近づいた。鷹が手を上げると、高い金属塀が開いた。ここではまだカードや指紋認証ではなく、顔パスだ。

車はそのまま奥行きが深く巨大な工場のような建物の前をいくつも走り過ぎた。

その一つの中に入ると、五エ門は声を上げた。

体育館のような広い兵器庫だ。

そこにはバスーカ砲、高射砲、おそらく何千箱のTNT火薬。最新式のライフル銃、自動小銃その他あらゆる種類の拳銃の見本。おそらくそれぞれの種類ごとに何十丁も入れられているらしい、積み上げられた木箱の山。

送付元は、ヨーロッパやアメリカの都市の名前が書かれていた。

他にも地雷のマークの箱。実弾や手榴弾の箱。ロケットランチャー、五エ門の知らない大きな大砲の筒か何かの鉄の塊。

ここにないものといえば、ジェット戦闘機と戦車、生物兵器それに核兵器くらいなものか、、、。

「我々は今、生物兵器のための研究施設を検討している。伝染病や感染症を予防する研究も可能だ。」

「、、、、。」

五エ門は理解に苦しんだ。なぜ、鷹が兵器などでアフリカの民を救えると本気で思っているのか。

「お主はあの砂嵐の中で拙者を救ってくれた。なぜ一人の命をこれほどに大切に扱うお主が、多くの命を殺める企てに平気で手を染められる?」

「我々の夢は遠大だ。一人の命を大切に思うからこそ、悪の手に立ち向かう力が必要なのだ。」

「お主の言う「悪」とは、貧しい者、弱い者の命を踏みにじり、大地をほしいままにする外国の権力者たちの事か。」

「それもある。がこのアフリカにはびこっているもっと根深い「悪」がある。」

「それは?」

「部族同士の軋轢。時には同じ部族であっても住む場所を争い、いがみあわねばならない。アフリカ内部での偏狭な民族や国家間の攻防・策謀。今この大陸では皆、信じること愛し合うことを忘れ、互いに猜疑心に満ちている。」

「先日お主が仲間と信じていた輩は、悉くお主を裏切った。裏切らない同志を募る。だから殺すのか。」

「きれい事では、ここでは生きていけない。」

「武器で人を脅すなら、そやつはいつか武器を持って立ち上がる。人は憎しみでは変われない。」

「お前はあの時、あの裏切り者たちをその刀で切り殺した。その手と心は、やはりあの時殺すべきではなかったと後悔するか。」

「、、、。」

「我々の夢は永遠にアフリカに平和をもたらすためだ。その道のりは遠い。今は耐えることだ。この武器は峠を越えるための、いっときの手段に過ぎない。」

手下が数人やって来て、何かを耳打ちした。これらの武器を使って、何か作戦が始まろうとしていた。兵器廠の相当数の銃、火薬などが、数台のトラックに積み込まれて出発した。

帰り道、再び港の見える丘の上に立ち、最新鋭の高速艇に武器類が積み込まれるのを崖の上から見つめた。

ここの海峡は海賊が船を襲うのに最適な場所だった。インド洋を回って紅海を超え、スエズ運河を抜ける貿易船は、必ずここを通らなければならない。

特にこの辺りは急峻な崖がせり立っていて、高速艇なら山陰(やまかげ)に隠れて大型船舶を襲いやすい入江がたくさんある。世界の三分の一の海賊がソマリア沖に出没する所以だ。

五エ門は心ならずも海賊の一味にされてしまった成り行きを後悔し始めていた。同時に、砂漠の鷹に恩義や礼節以上の何かを感じ始めた。

鷹は砂漠の呪縛から逃れ、世界の海に羽ばたこうとしている。だが五エ門には、彼が海に向かって奈落の淵に臨んでいるようにも思えた。

けだし泥棒には泥棒の論理、海賊には海賊の道ありき。

翻って拙者は、生きる意味も死ぬための理由も知らず、ただひたすらに己の修行のありようを試すのみ。生きながら屍となるも死して己の道を究めるも、己の欲と業の深さを肝に銘じ、精進すべし。

拙者こそ、迷いの峠を越えればまた一つ迷いの人生。この男の生き様はかえって潔い。

ふと、五エ門ははるか遠くの友を思った。

奴なら何と言うのだろうか。

ごちゃごちゃ言ってねえでさっさとやっちまおうぜ。やるンなら粋にやろうぜ、粋によオ。

海風に乗って奴の声が聞こえたような気がした。

次回に続く。

ソマリアの海賊が世界の三分の一というのは事実だそうです。でも、彼らの言い分が砂漠の鷹が言ってるような大義名分で、そのために働いてるかどうかは君自身がほんとのことをサイトや本で調べてみてくれ。

この小説にはソマリアの海賊問題や人種差別について触れた記述が若干出てきます。言うまでもなくこれはフィクションなんで事実でない事が書かれていることもあります。けっして自分はそれらの問題を肯定・擁護したり、一つの考え方を押し付ける者ではありません。

君自身の目や耳で、世界のニュースに関心を持って読んだり聞いたりしてほしい。

そんな願いもチョット持っています。

若者こそ世界に目を向け、政治にも関心を持たなけりゃ、自分の未来が開けねえ、、ルパンもそう言ってるぜ。

じゃな、ま~た会おうぜ。

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2009年7月 2日 (木)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(27)

(27)続・カジノサバイバル   

「一体どういうつもりなの、ジョアン。」

賭博場から少し離れた、屋根のない開放的なバルコニー。まだ夕刻も早いうちなので人影もまばらだ。

「、、、、、姉さん?姉さんなのね、、。」

2つ上の姉を見下ろすジョアン。自分より背の高い妹を見あげるカレン。

この姉妹はなぜかその顔立ちが全く似ていない。赤銅色の肌にブロンド、頬が高くいかにもアメリカ人といったジョアンに対し、色白でキュートな体つき、日本人と言っていいような顔立ちに栗色のストレートヘアのカレン。

「あなたが出て行ってから母さん達どんなに心配したか、、。」

情感豊かなカレンはすでに涙声だ。

「あたしの事なんかかまわないで。」

冷たく言い放つジョアン。

「勝手な事言わないで。あなたを育てるのに二人がどんなに苦労したか、、。」

「治療なんてして欲しくなかったわ。」

「何て事、、、。あなたが今生きてるのは、その治療が成功したからなのよ。」

「こんな肌の色にされて、あんな辛い目にあってそれでもした方が良かったって言えるの?」

「馬鹿!」

「色が黒いってだけで、みんなあたしのこと馬鹿にしたり変な目で見るのよ。治療は失敗したのかってボブにまで言われた。」

「失敗してたら、こんなとこで日本人とゴージャスに遊んだり、お日様の光を浴びて自由になれはしなかったわ。命があるからこそあなたは、、、。」

「分かってる、あたしは自由が欲しかっただけ。」

「だから家を出たって言うの?」

「あたしの過去を知らない人の所で生きたかったの。別の所で違う人生を生きたかった。黒い肌の人間を差別しない世界。それに家族に四六時中気を遣われて暮らすなんてまっぴら。」

「あなたりっぱに仕事してるじゃない。がんばってるって聞いたわ。」

「姉さんが同じ仕事って分かってからね。」

「なぜ、今まで家に連絡もしなかったの。」

「姉さんだって私の事分かってたんでしょ。なぜ、居場所を知らせてくれなかったの?」

「それは、、。仕事上家族に知らせてはいけない秘密も、、。」

「ボブはあたしのことが原因でいなくなったの?」

「違うわ。仕事上のトラブルか何かで、、。」

「姉さんが今関わってる極秘のプロジェクトに関係がある?」

「それ、誰に聞いたの?」

「姉さんが今度配属になったのは父さんを探すために、、、」

「あのオ、お取り込み中すんませんけどオ、、、、そろそろテーブルに戻りません?」

ジョアンが去っていくと、ルパンはジョアンにこっそり付けていた盗聴マイクをカレンに見せながら言った。

「ゆっくり再会さしてあげたいけど、父つあんが怪しむとマズい。やっぱりあいつらイカサマだった。ジョアンがカードの手を教えてた。どっか隠しカメラが相手のカード覗いてる。あの賭け金も多分CIAが用意したんだ、こいつぁとんだサル芝居だ。」

「確かなの?」

「ああ。その証拠に彼女がいなくなったら父つあん途端に負けが込んで、稼いだ分の半分すっちまった。」

「妹は彼と組んで何をしてるの?」

「どうやら俺たちをおびき出す作、、、」

「ルパン逃げて!」

ながあ~く紐がついた手錠がすっ飛んできて、ルパンの手足に絡まった。

「はっはあ、気づくのが遅すぎたな、ルパン!」

同時に被ってるマスクも剥ぎ取られた。しまった、中に花火を仕込んどくんだった。

見れば、さっきテーブルを囲んだ相手の半数は銭形の仲間だった。奴らに取り囲まれた。

「あらま父つあん、新婚の嫁さんほっといて大丈夫?」

「新婚なんかじゃねえ、お前をあぶりだす陽動作戦だ!」

「やっぱり。父つあんにしちゃできすぎと思ったんだ。」

「このカジノに出没している情報は掴んでたが、こうノコノコと出かけて来るとは。」

銃を構えた男たちが数え切れないほど押しかけてきて、ルパンを取り囲んだ。ジョアンも逮捕状と一緒に銃を構えていた。

「父つあん、もしかしてどっかで逮捕状なくした?どやって俺を日本に連れてくのさ。」

「フフン、俺は善良な一般市民だ。犯罪者の逮捕に協力は惜しまない。貴様を牢屋にぶち込んだあと、ゆっくり日本で逮捕状を取る。」

「せ~こ~オ(=セコい)。邪道!」

「るせエ、お前を捕まえるのにせ~こ~ほ~(=正攻法)なんてあるかア!。」

ルパンが愛銃を懐から取り出すのと、その撃鉄に弾が当たるのが同時だった。

ジョアンが恐るべき手腕で狙い撃ちしたのだ。不覚にも取り落とすルパン。

が突然、彼の背中に背負っていた金属の箱から、炎が噴出した。

素早く銃を拾うと、ジョアンに向かってにやりと笑う。

「アンタ可愛い顔して凄腕だな。」

「不二子に聞いてなかったの?ミネアポリスでは勝負がつかなくて、二人で優勝カップを分け合ったのよ。」

ジョアンも負けずに言い返す。

ジョアンが2発めを放つ。同時のルパンの発射は空砲だった。弾はルパンの太ももを掠める。

「わざと外してんのかい。」

「実弾でなかったら心臓を狙ってるわ。」

「殺すなよ、生きたまま連れて帰らねばならん!」

周りの男たちからの集中攻撃。多分実弾ではないが当たれば眠らされる。

ルパンがジェット噴射して飛び去ろうとする寸前、カレンと銭形は左右から飛び出して腕をつかまえた。

左右の腕はやっぱりニセモノだ。手錠をつけたままのゴム手袋を握りしめ、いつものパターンで悔しがる銭形。

ルパンは中空に飛び上がった。リモコン操縦のグライダーを上空に呼び寄せながら。空にいるルパンに向かってバルコニーからエージェントたちが一斉に弾を浴びせる。

と、どこからか現れた数台の小型ヘリ。うるさく飛び回る蚊トンボのようなヘリの間を、すごい推進力のロケットでバッタのようにめまぐるしくルパンがすり抜けていく。

ヘリコプターどうしが衝突・炎上する中、カレンは人ごみをすり抜けて、バルコニーからひとりルパンを目で追った。再会した妹そっちのけにして。

彼女の瞳にはもう彼しか映らなくなっていた。

ルパンの本物の腕の袖には、カレンの短いメモ。腕を捕まえるふりして押し込んでいた。エージェントである以上彼女はルパンの逃亡を助けるわけにはいかなかった。

~ずっとあなたの味方よ。家で待ってる。~

可愛い豹のイラストが添えてあった。

「一緒に連れて行けないのは残念だが、父つあんの前でラブシーンなんて気の毒、目の毒だかんな。待ってなよ愛しのピンクパンサーちゃん、きっとお迎えに来るぜ。」

小型グライダーに飛び乗ったルパンは次に次元を思った。

あいつが加わらないヤマなんてワインのないフレンチ、夢盗まれた蛸以下だ。居所を敵に分からないようにしさえすれば、、いや待てよ、、分からないようにするんじゃなくて、、、。

次回に続く。

いやあ、読むのやめられなくなりましたね。

この小説の次回は、、不定期ですので、いつ次回が載るか判りません。2万回記念イベントもいつ載るか判らないので、こまめにチェックしてお見逃しなく。

ま~た会おうぜ。

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2009年6月26日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (26)

(26) カジノサバイバル(ルパンには恋を、銭形には?)

カジノの絢爛豪華な個室。今はテーブル席に移り、カードにうち興じる銭形とジョアン。

すでに手持ちの金は10万ドルを超えた。

一晩でここまで稼げる客はそう多くない。周りにはすでに見物人がたかり始め、5人のカード客の周りには、一人ひとりにファッションモデルと見まがうようなホステスや、愛人の風情した女が腕を絡ませている。

ゲームはもちろんポーカーだ。

ポーカーフェイスにはほど遠いあんぐり口した銭形の耳に、ジョアンが何ごとかを囁く。

「あと2枚。」

銭形の持ち札を予想して、しばらく勝負師たちは腹を探り合う。

賭け金がそれぞれ前に積まれた。銭形がストレートフラッシュで勝負を決め、周りからため息が上がる。

「私はもう降りる。」

隣の席にいたゴージャスな背広を着た、太った男が葉巻をくわえながら席を立った。

入れ替わりに黒髪で、数本の金色に染めた前髪をまばらに垂らし、涼しい瞳、黒いあごひげを蓄えた背の高いイケ面男がその席についた。

日本で今ブレイクしている人気グループ「猜疑心」の人気歌手の一人にそっくりな彼。アメリカでも人気なのか、数人のドレス姿の女性たちが歓声をあげながら彼の周りを取り囲んだ。

「ロックで。」

酒を注文するや否や、彼はダイナマイトボディの体の線を見せつけ、淡いピンクのドレスを纏った小柄な連れの女の手を取り、隣の席に座らせた。

彼女の頬に軽くキスする。周りの女たちは一様にがっかり、といった顔でそばを離れた。

「もう一枚ね。」

「私も。」

再びテーブルにカードが配られ始めた。

カレンはジョアンにそっと目配せする。だが、ジョアンは気づかない。まさかこんな所で姉に会うとは夢にも思っていないのだろう。

ルパンに合図するつもりで、そっとハイヒールのつま先で彼の足を触った。会話で銭形の気を引いて欲しいのだ。

「初めまして。僕、日本から来た神路と言います、よろしく。」

「ああ、日本の方ね。」

銭形はカードの組み合わせを思案している風で、こっちに関心がなさそうだ。

「あの、おたく日本の有名な警部さんに似てるって言われません?」

「ああ、僕よく言われるんだなア。」

「(ボクってツラかい。)もしかして、あの有名なルパン三世を追ってる、、、。」

「追ってる?」

「毛利小五郎さんて言いましたっけ、、。」

「ありゃ探偵だ、ボクは銭、イタッ!!!」

隣に座ってるジョアンが銭形の足をハイヒールの踵で踏みつけた。

「どうしました?」

「ダーリン。」

ジョアンが銭形の額をせわしなく拭く。

「、、、リアのレストランで修行しましてな。」

「ああ、フレンチのシェフね。」

「いや、そっちは趣味でして。今は日本の企業戦士ですわ。不況の煽りを食って今は海外研修の身です。」

「大変ですね今はどこも。で、ルパン三世なんかを捕まえる暇はない。」

「あんた、何でその泥棒の名を知ってる?」

「噂ですよ、CIAの美人エージェントを誘拐して逃げている怪盗。」

「じつは私、その泥棒を捕まえる、、。」

ジョアンは勢いよく隣に並んだ脛を蹴り上げた。

いってえ!

蹴り上げたものは銭形の脛ではなく、向かいにいるギャング風の男の股間だった。ふんぞり返っていたその男が飛び上がって、テーブルの上にあったものが飛び散った。

「何しやがんでえ!」

男たちがその場をとりなし、女たちはテーブルからこぼれた酒や飲み物で汚れたドレスを拭いて席を立った。

その喧騒の中、絶妙のタイミングでカレンは妹を賭博場から連れ出した。

次回に続く。

ありがとうございます。このブログへのアクセス数が2万を超えました。

最終回にはまだあと39回(最終回は第65章を予定しています。)ありますのでどこまでいけるんだろな、、。

このブログを訪れてくれる方に「面白かった、続きを読みたい。」と思っていただけるようにしたいですね。お一人でも楽しんでくださったら、あまりアクセス数なんかにこだわらないことにしようかな。

ありがとね、一人で2万回もアクセスしてくれた君。、、、たったひとりだとしても感謝です。君のためにこれからも真心込めて書くかんな。

蛇足:この小説を完成した頃は「羞恥心」はまだ解散していませんでした。もちろんアメリカの大統領はオバマさんと決まってなかった。少々ネタは古いですけどそれなりに笑えたかな?

アクセス2万回を記念して、今REDが特別企画を考えてます。乞うご期待!

次回、ま~た会おうぜ。

P.S 今知りました。「羞恥心」は復活するそうです。

ウソだろ、と「猜疑心」に満ちたあなたはニュースを見るべし!

紳助さん、どうせなら限定復活なんて言わないで3人が爺さんになるまでこのユニット応援してやってよ。カミジ君もツルノ君も、ノクボ君も解散なんかすんなよ。

「神路」のあとは「鶴野」を登場させて、このルパン小説でもっと宣伝しちゃうぜ。

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2009年6月19日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(25)

(25) 恋のかけひき

「ほんとに連絡しなくてもいいのか?」

「ええ平気よ。もう本部じゃ裏切り者ってレッテル貼られて、あなた以上のお尋ね者になってるわ。」

「じゃ、君の腕を見込んで手伝って欲しい事があるんだ。」

「私が?」

国営カジノの地下1階、つまり二人の愛の巣の上の階で、かつてのカジノ中央管理ルーム。ここも今ではルパンのアジトの一部になっている。

全世界のギャングや泥棒、海千山千の悪党のブラックマーケットが集まるベガスの、まさか国営カジノの地下にこの大泥棒の秘密のアジトがあるとは、FBIでも気づかないだろう。

ここなら日本にある大型銭湯の地下アジトより安心だ。警察に踏み込まれる恐れもないし、出口を間違って女湯に紛れ込む心配もいらない。

カジノの営業を円滑にするために、何百箇所に配置された隠し監視カメラの映像を映し出すハイビジョンTVが何十も備え付けられている部屋。ルパンのアジトとなった今もまだ稼動している。あの勝鬨橋の近くの「紅屋」の地下の十倍の規模の設備が備わっていた。

たびたび命を救ってくれたルパンに、カレンは感謝以上の感情を持った。少なくとも彼は体を張って彼女を助けたと信じているに違いない。

だが実は、ルパンを誘惑して籠絡し、味方についたと見せかけて行動を逐一報告する指令を受けていた。つまり恋人になったと思わせ、ルパンのこれからの計画と宝の地図の秘密を探り出す任務だ。

ハネムーンのような甘い関係を偽装しながら、後ろめたい気持ちと彼に惹かれていく気持ちでカレンは日々揺れ動いていた。

今夜の二人はちょいとシビアに、これからの盗みの計画を練っていた。カジノのTV映像を部屋全体に映し出しながら、ルパンのノートパソコンの画面に見入った。

「どう思う?この映像。」

「一体これ、どこなの?」

「ZEDの中にある古い病院の跡。つまりペンタゴン・CIAが持ってるかつての医学的な研究資料や秘密の開発薬品、生物兵器の倉庫の名残ってわけさ。」

空撮した巨大企業の敷地全体の写真や、たくさんの建物の配置、建物の建築見取り図、設計図、3Dで示されたそれぞれの建物の空調施設、排水管、電気系統の配線図、ガスや水道の配管。

つまり泥棒が盗みに入る前に調べておくあらゆる情報が立体映像になって一つのファイルに収まり、最も適切な侵入ルートを示す線が赤く光って示されていた。

「こんな極秘のデータをどこから盗んできたの、ルパン。」

「この情報が信頼できるかどうか調べて欲しいんだ。」

「待って、この空撮写真は簡単に手に入るわ、私は本部の情報管理室にいたことがある。もしかしたらサイトに侵入して、パスワード入れればこのデータの一部が取れるかも、、。」

彼女はてきぱきとサイトにアクセスし、プロの腕で15分ほどかけてデータを探した。

「あったわ、同じファイルの一部。どうやらデータは本物みたい。ZEDにあるCIA管轄の、かつては軍の病院やCIAの研究施設のあった建物の地下。

今は戦争に悪用されては困る生物兵器、劇物や秘密の開発薬品が厳重にしまってある地下倉庫よ。

でもこのパスワードでもこれ以上詳しいことは調べられないわ。サイトを開けられないようにすごいセキュリティがかかってる。」

彼女はふと、ルパンの目がきらきらし、じっと彼女を見つめているのに気づいて微笑んだ。

「どうしたの?」

「すごいんだ、君って。悪党や泥棒なんか捕まえる仕事より、ネットで商売すれば世界中を相手にできる。いい男が言い寄って来るぜ。」

「でもここへ入り込むのは至難の業よ。」

画像を見ながらさらに情報を引き出すカレン。

「へ~えそうなんだ。よく見せてよ。」

言いながらカレンの肩に後ろから手を置き、彼女が振り向いた弾みにキスしようとする。

そうはさせまいと体をそらして避けるカレン。

「この基地に入るまでにレーダーで探知されてしまうのよ。例え内部に入れても何十ものセキュリティを突破しなけりゃ。」

「それも君に協力して欲しいんだ。」

いかにルパン三世と言えど、ギャングや一般企業とはケタ違いにセキュリティや防衛施設が整っているCIAの秘密基地に潜入するのだ、相当の計画を練らなければならないだろう。

おそらく世界一難攻不落の、最高水準のハイテクな技術力を持った施設に、潜り込もうというのだ。

「こんなデータを一体どこから手に入れたの?」

「ナインシュタインが博物館に置いたニセ地図の羊皮紙の中に、マイクロチップが埋め込んであった。それがこれさ。」

「あなたが盗み出すのを知ってて?」

「俺に盗み出させたかったのさ。こんなに厳重な金庫にしまってある、ある物を。」

「彼の経歴は見たでしょう。あそこの主任研究者なのよ。それなのに自分で持ち出すことができなかったの?」

「奴はCIAに何かの理由でマークされてる。怪しまれるような事をして、国家反逆罪にでもなったらこれまでのキャリアが台無しになるんだろ。この男を知ってる?」

ルパンが差し出したのは、かつての宿敵「白乾児(パイカル)」の顔写真だった。

「十数年前、俺はこの男にすんでのところで殺られるところだった。この男はその当時全く知られていなかった技術で俺を脅かした。

体に塗った薬品のおかげで、弾を通さない超硬質の皮膚を持っていた。俺はその謎を解き、奴の持ってた化学式で合成した薬を全身に塗っていたおかげで命が助かった。このデータには、なぜか、あの薬の化学式が添付されていた。」

「本部で過去の内部の犯罪者のファイルを整理したことがある。確かZEDの、当時は軍専属の病院から特殊な薬品を盗んで、行方不明になった男の履歴を整理したことがあったわ。その男に似てるかも。」

「名前は分かるか?」

「よく憶えてない。確か日本人で、、、カリタとかカバタとか、、。」

「鎌田?」

「そうそう、そんな名前。」

日本人、多分あの化学式と薬を盗み出した男。優秀な研究員だった男が、なぜキャリアを棒に振ってまで盗み出さねばならなかったのか。

「その病院での過去の研究とか、入院患者とかのリストは調べられる?」

「できなくはないけど、、、かなり高度になるわね。産業スパイどころじゃない犯罪行為になるけど、、。」

「やってくれよ。」

「、、、、あのね、あなた私を何だと思ってるの、泥棒の片棒を担がせる気?」

彼を振り返り、腕を組んで言うカレン。口調とは裏腹に目が笑っている。

「もと優秀なCIAエージェント。今は泥棒の恋人兼普通の女の子、、、、になりかけてる。」

今度は肩をおさえ逃げられないようにして、ま正面から額にキス。

「自惚れてるのね。」

再び背を向けて、画面を見つめたまま、後ろに手をのばして彼のモミアゲを触る。

「普通の女の子に戻るんじゃないのかい?この仕事が終わったら。」

後ろから首筋や両頬にキス。カレンがその気になるまでありとあらゆるサインを送る。

「じゃ私にも、協力してちょうだい。」

パソコン画面を見ながらそれ以上キスさせまいと彼の頬に手をあて、彼が掴んでいる片手を振りほどいて言う。

「何を?」

「前に話してた行方不明になってる父を探し出すの。あの巨大基地で働いてて、行方が分からなくなった、、、。」

「お!」

カジノの様子を映し出してるTV画面をチラリと見たルパンが声を上げた。

「父つあん!なーんでこんなとこまで来て遊んでんのオ~。俺を捕まえに来たんじゃねえのかい。」

画面に映っているのは、カジノのルーレットで馬鹿勝ちし、山のような札とチップかかえて高笑いしている銭形だった。がらにもなくタキシード姿。蝶ネクタイがダサすぎ。

何と隣には美しくドレスアップした女まで連れている。

「いやあ、父つあんもやるねえ。」

イカサマなんてワザ、父つあんに出来っこない。でも俺でさえ、あそこまで勝つのは実力では無理だ。

よく見たらその隣で笑いながら父つあんにキスを浴びせているのは、いつかアンデスで引っ掛けて騙した麻薬取締り捜査官、不二子とつるんで俺を拉致しようとしたあの女だった。

「こりゃ参った。とうとう父つあんも、おさまるとこにおさまるってか。」

幸運を祈る、とばかりにTVのスイッチを切ろうとする。

カレンの様子がおかしい。

「どうした?」

「別に、、。」

「隠し事はよそうぜ、俺は君に何もかも話したつもりだ。俺たちが信頼できるパートナーになれなきゃいい仕事は出来っこない、君のやろうとしてる事にもうまく協力できない。」

「あの子、私の妹なの。」

「誰?」

「あの日本人の隣に座ってる子は、私が高校生の時家出した、二つ下の妹よ。」

「CIAのジョアン・スミスが?」

「所属してるのは本部の情報で知ってた。麻薬取締り捜査官は組織管轄が全く違うの。でもまさか、こんな所で会うなんて。」

たちまち大粒の涙をはらはらと落とした。大きな瞳はまばたきもせずに前を見つめている。何か過去の辛い出来事を思い出しているのだ。

横顔をしばらく見つめていたルパン、彼女が愛おしくてたまらなくなった。後ろから彼女を包むように抱きしめた。彼女はされるがままに涙を流している。

自分には分からない彼女の苦しみを、いっときでも忘れさせてやりたかった。頬に唇を押しつけると涙のしょっぱい味がした。

とうとうカレンは彼の胸に顔を埋めて泣き出した。

超フェミニストはどう慰めていいのか分からない。彼女をそばにあったソファーに横たえた。

今日までこの男にしては紳士のマナーを守ってきた。が、惚れた女とここまで四六時中一緒にいるなんて初めてだ。

孫悟空は自分に課していた心の箍(タガ)を、手錠もどきに一瞬にして外してしまった。

「ここでいい?」

「、、、いいわ。」

自分も脱ぎながら手際よく彼女の服を脱がす。

再び唇が近づいてきた時、カレンは観念したように目を閉じた。

しばらく時が過ぎた。

カレンは脱がされた服で体をそっと包まれた。

「一緒に行こ、上へ。」

カレンが目を開けると、彼は後ろを向いたままカジノに行く正装に着替えるところだった。

「スパイなんてやめっちまいな。そんな無理してるとは思わなかったな。ターゲットじゃなくて男としてつきあってくれるまで何にもしないよ。」

「ごめんなさい、そんなつもりじゃ、、。」

彼を嫌いなわけがなかった。でも何も言えない。

「別れた妹がこの上にいるんなら、是非会いに行かなきゃな。」

ジョアンと一緒にいるのは、ルパンを命がけで追っている男だと聞いた。

私のために?誰にも捕まらないため、殺されないためにあなたはここに潜んでいるのに、、。

カレンは起き上がって裸のまま後ろから彼を抱きしめた。そうせずにはいられなかった。

ネクタイ締めていたルパンの方が驚いて、彼女を振り返った。

そしてにっこり笑って言った。

「大丈夫、父つあんにも、君の組織にも気づかれないようにうまく会わせてあげる。」

「私、服持ってないわ、この前のドレス破れてるし。カジノに行くのにこれじゃ、、、。」

「まっかせ~なさ~い。」

隣の部屋から用意していた衣装を一揃い持ってきた。淡いチェリーピンクのカクテルドレス。パールのチョーカーとイヤリング。白い可愛らしいハイヒールパンプス。黒は好きではない。

「君とカジノで楽しもうと思って用意しといた。あ、それとこれも、、。」

一緒に揃えたドレスと同色のランジェリーも渡す。サイズまできっちり調べて。本人の言う通り女にはマメ・マメな性質(たち)らしい。

たちまち真っ赤になるカレン。毎夜ベッドを共にしている男相手に小娘みたいに初心(うぶ)な女だ。

それを見つめる純情男、もうメロメロ。

二人はカジノにふさわしいスタイルに着替え、腕を組んで上へ上がっていった。

もちろんルパンのほうは素顔と言うわけにはいかなかったが。

次回に続く。

日本の銭湯の地下にあるルパンアジトの構造は山上正月さんのお描きになってるルパン三世Yの6巻第23話でお確かめ下さい。

次元と五エ門が出口を間違えて、女湯の方へ上がってしまうという話。

ルパン三世のYとかMとか、モンキーパンチさんのルパンじゃないと思ってる人が結構いるけど山上さんのストーリーは粋で奇想天外で好きですね。

ルパンがいい男過ぎてちょっとTVアニメの主人公のルパンとイメージ違いますけどはまりますよ。

毎回見に来てる君、ありがとよ。来週は俺が父つあんと絡む話だ。題して「カジノ・サバイバル」だ。

え、古い映画の題名みたいってか?

映画より面白いんだな、これが。

次回、ま~た会おうぜ!(山田康雄さんの声で)

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2009年6月14日 (日)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(24)

(24)天国と地獄

カレンが頭を上げると、車からほんの1メートル先に、ルパンの腕と銃があった。

「お待たせ。」

何事も無かったかのように、平然とした顔で銃を懐にしまう。

カレンははっとして後ろを見た。

追いすがって来た悪漢が、30メートルほど後方で仰向けに血を流して倒れていた。

下りて確かめる。男の額のど真ん中に穴。多分即死だ。

「殺さなくても、、。」

「こっちが殺されてたら、んなこた言えねえだろ。」

軽々と車に跳び乗ってきた。

「良かった、車に傷つけなくて。」

「かまうこたねえ、どうせ借りモンだ。」

この男やっぱり極悪非道、正真正銘の悪党だ。

「ところで運転と撃つのとどっちがいい?」

「殺さない方。」

「じゃ、ハンドル頼む。」

「OK。」

泥棒とスパイはそれぞれ役割分担を果たした。

外へ出るとオープンカーに向けてヘリの男が爆弾を投げてきた。カレンが巧みなハンドルさばきで右に左に避け、ルパンが悪漢を狙い撃ちだ。

ヘリの運転席側のガラスにひびが入る。車は低い屋根のあるアーケード街に突っ込む。ヘリは追撃したが、浮上しそこなって屋根の一部に激突、炎上。迷走しながらどこかへ遠ざかっていった。

車はにぎやかな歩行者天国の道路を突っ走る。人々は逃げ惑い、真っ赤なポルシェは人の波を押しのけて闊歩した。そのまま街の大通りへ抜け、まっしぐらに走って国営カジノの重厚な宮殿の前に到着。

スタッフは恭しく待ち受けてドアを開けてくれた。

ところがルパンは車を預けると、正面玄関へではなく反対側の従業員用の駐車場へカレンの手を引っ張って行った。

「表から入るには、俺は有名すぎるんでね。」

従業員用の立体駐車場の隅に隠れ家直通のエレベータがあった。それに乗る。ルパンは地下2階のスイッチを押した。

個室の薄暗い照明に照らし出される男の無表情な横顔。不気味なほど寡黙だ。それは陽気で脳天気な芸人でも、さっきまで彼女をエスコートしていたセレブなイケ面でもなかった。

一体、幾つの顔を持っているのだろう。外見だけでなく人格さえ一瞬にして変えてしまう恐るべき男。

彼からは血の匂いがした。追って来る敵をその手で殺したのだ、おそらく全員。

カレンはつないでいた手をそっと離した。

アジトについて行くのは果たして安全だろうか。アジトを知る自分を弄んでから始末するか、監禁して人質に取るつもりでは、、、。

彼はさっきからずっと押し黙ったままだ。

ドアが開き、アジトへ向かう薄暗い通路が現れた。少し遅れて歩きながら、カレンはこの静寂を何とかしたかった。

「私を殺すの?」

「まさか。ここで君と生き延びるためさ。」

「私はあなたを轢き殺したかもしれないのに。」

「君は俺を殺さない。」

「悪党は、、、、みんな死んだの?」

「君を助けたかった。殺らなけりゃ殺られちまう。」

「人を殺したら天国へは行けないわ。」

「天国がほんとにあるんなら、君と行きたい。」

ふと、彼が立ち止まって彼女のほうへ振り向く。

「君は殺さない?誰も?」

ふいに見えない弾丸が彼女の心に撃ち込まれた。

「誰も、、、、、誰も殺したくない。」

この仕事についてから今まで数え切れないほど嘘をついてきた。悪党を罠にはめるためだ。嘘をつかなければ殺される、殺さなければ殺される。

でも今は彼に嘘をつくのがこんなにも辛い。心臓に打ち込まれた楔を彼にだけは気づかれてはならない、、、、、、。

「一緒に死ねたら地獄から脱獄して君を盗みに行くかな。でもそれじゃ君が幸せになれないね。」

彼は私のために命賭けで人殺しまでした。私を先に行かせたのはその場を見せたくなかったからだ。ケダモノじゃない、心を持った人間だ。残虐行為をした自分を呪い、心に傷を負って血を流している。この無表情は癒えない痛みを隠すマスクなのだ。

痛みはストレートに跳ね返って彼女の心にも大きな傷を負わせた。

涙が頬を幾筋も伝ってポタポタ落ちた。大きな瞳から心も一緒に溢れた。

「私のために堕ちるんなら、地獄までついてくわ。」

彼が息を飲んで彼女を見つめる。

感情のうねりが二人の中で同時に堰を切った。

暗がりで互いに唇を貪りあう。カレンは地獄の業火で彼とともに焼かれる自分を感じていた。

うっすらと瞳を開けると、心がむき出しの狼の眼がそこにあった。

抱き合ったまま、ルパンが壁の隠しスイッチに手を触れる。

アジトの扉が開いた。

「ようこそ姫君、難攻不落の俺の城へ。」

狼は胸に手を当て、不埒なほど馬鹿丁寧なお辞儀をした。手を取って彼女を迎え入れる。

地下2階にあるアジトは何でも揃った快適な住まいだった。厳重なセキュリティシステムで守られているほかはパリのアパルトマンにでもいるようなたたずまいだ。

10分後、シャワールームでシャワーを浴びているカレン。

案の定、ルパンがあとから無理やり押し入ってきた。あわてて胸を隠すカレン。

「ここ狭いから二人は無理よ。ちょっと待ってて。」

「あのホテルでの続きするはずだったろ?」

「え、そんな約束、、、、だめよ、、だめなの。」

キスしようとするルパン、手で彼の口を押さえるカレン。

「俺はだめ?」

「そうじゃなくて、、、、、。」

ルパンはもう彼女を体ごと抱きしめていた。

お湯が二人の体の隙間を激しく流れ落ちていく。

「こういうの苦手なの。私あんまり感じないって、、」

「そう?俺も。だから気にすんなよ。」

言いながら首筋にキスする。

カレンが可笑しそうに笑い、指で黒々としたモミアゲをつまむ。

「嘘つきねえ、あなたって。」

「泥棒は嘘つきの始まり、いやその逆だってか。感じないって誰に言われたの?」

彼女のその指を握りしめ、ほっそりした白い指を口に入れてなめ回すルパン。

シャワーのお湯のせいではなく、体の芯から熱いものがこみ上げてきた。

「前に付き合ってた人。」

「そりゃひどいね。でも俺なんかもっとひどい事言われた事ある。」

「なんて?」

「この色ボケ変態スケベオヤジ、変なとこ握らないでよ!」

いきなりカレンの声がルパンの口から飛び出した。

カレンはしばらくあっけにとられ、やがて大口開けて笑い出す。笑い声がシャワールームに響き渡る。

「俺そん時まだ電車のつり革しか握ってなかったのに。」

あんまり笑いすぎて涙を拭くカレン。

「確かにひどいわね、今同じ事言おうと思ってた。」

「だよな。きれいなモンに触りたいのが男だよ。スケベと違う、サービス精神旺盛。君も元カレを見返してやれよ。アタシは男をその気にさせる天下一のお色気娘よって。」

「そう思う?」

「だからそれ証明しようや、俺と。」

カレンがまた大口をあけて笑ったので、ルパンは口で口に蓋をしてから背中を思い切りくすぐった。カレンはルパンの頭からお湯を浴びせて応戦した。そのまま二人は絡まり合う。

これで3度もこのおかしな悪党に驚かされた。でもなぜか丸め込まれても抵抗できない。彼となら地獄の底ででも楽しめそうだ。

シャワールームの刷りガラスに映る二人のシルエット。カレンは乱れ、このまま天国へ駆け上ってしまいそうな感覚に酔いしれていた。

彼に抱かれてベッドルームに運ばれていくのも気づかないほどに。

次回に続く。

ルパン三世母の会、友の会の奥様、こんな破廉恥なルパンを書いてしまって誠に申し訳ございません。ほんとのルパン三世は、、、、、、もっと破廉恥です。(笑)

日本全国8千万のアダルトの諸君、こんな中途半端でこの章を終えてすんません。お楽しみはハイこれまでよ。

青少年、良い子のみんな、もう寝る時間だゾオ。次回を楽しみにな。

ほいじゃま。

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2009年6月10日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(23)

(23)泥棒VS女スパイ

結局、カフェでの夕食の約束をすっぽかしてしまった。めったに人との約束を破ったことのないカレンだったが、急に仕事が入って待ち合わせ場所に行けなくなってしまった。断りのメールを送っても、相手はしょっちゅうメルアドを変えているらしくて連絡がつかなかったのだ。

帰りがけに自宅のポストを見ると、ルパンの手書きの招待状が入っていた。またしても真紅のバラの花束が添えられて。

あきれるほどしつこい男だ。でもすっぽかした分の埋め合わせだけはしなくては。

正装でと書かれていたので、彼女の持ってるのでは最高のドレスを身に着けて来た。

今夜の夜空の色、踝まである無地のシルクサテンのドレス。照明の当たり方によって銀河が流れるように、岸辺の小波のようにきらきら光っている。

ふわりと羽織った薄地のストールの下に白い肩が透けているが、それほど大胆に胸元はあいていない、上品な仕上がりだ。

アクセサリーはパールネックレスだけ。仕事柄アクセサリーは邪魔になることがあるからだ。

「こないだは待たせて悪かったね。」

ビル最上階、高級レストランの入り口にあるVIPルームで待っていたカレンが目を上げると、レモンイエローの花束を持った白いタキシード姿の男が、人懐こい笑顔を浮かべて立っていた。

胸に小さな生花のコサージュをつけた申し分ないスタイル、イケ面と言ってもいい程の男だ。

誰かしら、まさか彼じゃないと思うけど。

「あの、、。」

「やあ、お久しぶりです。これナマの俺ですけど、、、、分かる?」

手を出して握手を求めるイケ面男。

「あなた、、、、この前の人?」

化かされてる気分のカレン。

「実はルパンに化けたゴリラだったりして。」

彼の瞳が茶目っ気たっぷりに踊っている。

そもそも最初の出会いが悪すぎた。安宿でナンパする男と引っ掛けられる女だもの。目の前にいる男はどう見ても資産家の御曹司か、メルセデスベンツなんかを乗り回す大会社の若社長といったところ、多分イタリア系だわ。

カレンは今までこんな豪奢なホテルのレストランに一人だけ招かれたことがなかった。

ここはラスベガスでも有名なシェフが取り仕切る超高級レストランだ。金曜日だというのに広いフロアに人は思いのほか少なく、窓側は二人の貸切状態。実はルパンが窓側10テーブルを借り切っていた。

最上階の一番窓側の席から、カジノの街の「1000万ドルの夜景」が宝石のように煌いているのが見える。

ルパンに花束を渡され、エスコートされて予約の席についたカレンは何となく落ち着かない。

椅子を引いてくれて席に着いた時から最後のデザートまでの2時間、映画か夢の中のような時が過ぎた。

テーブルの中央の丸いワイングラスの中に色とりどりのキャンドルの炎が燃えて、ファンタスティックだ。

最後のメニューが運ばれてくるとフロアの灯りが落とされ、窓の外の市街地の灯りが二人の足元に絨毯のように広がった。

「あなたとの取り引きがまだすんでなかったわ。」

フルコースのディナーが終わるや否や持って来た資料を渡そうとする。

「もういいんだ。それ、口実。」

「何の?」

「君に見せたいものがある。」

「見せたいもの?」

「こっち来て。」

ルパンがカレンの椅子を引いて窓際へ誘う。足元まである窓だ。外に広がる宝石をばらまいたような光の絨毯と煌く星を並んで見つめる。今夜は晴天、どこまでも澄み切った夜空だ。

「きれいね、、。」

カレンはため息をつく。それ以外の言葉が見つからない。

「だろ。ここがベガスで一番の場所なんだ。君と一緒に見たかった。」

しばらく二人で眺める。

彼がいつの間にかカレンの腰を包むように抱き、彼女は自然に寄り添う。

が、ふとカレンは我に返り、彼の腕を振りほどく。窓のそばに離れて立つ。

「あなた、私を味方に引き入れて何をしようとしてるの?」

「俺の顔、そんなに極悪人って書いてある?」

後ろからそっと寄って、彼女の栗色のストレートヘアに触る。今日はアップにして後ろでまとめている。おくれ髪がサラ、となびいて、右の耳の後ろにそっと何かが触った。彼女がちょっと緊張するのが分かる。

「これ似合うよ。今夜の君は最高だ、とても警官には見えない。」

彼が胸の生花を彼女の髪にそっと挟んでいた。香りのよいフリージア。もちろん発信機などは付けてない。

「あの時は必死だったから、、。」

「君に会いたくてあれからずっと馬鹿みたいにつけ回してた。」

「泥棒なのに警官をつけ回すの?」

「泥棒だからさ、君のハートを盗みたい。」

後ろから再び髪に触ろうとした彼からすり抜けるカレン。

「あのね、あなたに助けてもらって感謝してる、だけど仕事の付き合いよこれは。」

「これからは仕事抜きに付き合うっての、どう?」

「考えとく。」

「君、スパイにも警官にも向いてない。」

「あなたこそ、こんな人生してたら命がいくつあっても足りないでしょ。」

「この前君ん家からの帰りにあいつらにすれ違った。何とかまいたが、今度行ったら嗅ぎ付けられて君も危ないかも。」

「恨まれるような、何したの?」

「まあね、恨まれるって程じゃないが、あいつらの金塊320トン(約9600億円相当)頂いちまって。」

「彼らはそれを取り戻そうとしてるの?」

「いや、もうない。」

「どこへ、、、」

「ばらまいちまった。世界中の良い子のクリスマスプレゼントに。」

データに記されていた。世界的な海賊、広域テロ組織に指定されているあの「スターゲイト」が世界中から集めて隠そうとした金塊を、まんまと盗み出し一夜にして世界中にばらまいた男。

ではこれは怨恨による復讐なのか。

しつこく毎日のようにルパンを尾行する男たちは、同じようにしつこく足繁くカレンの家に通い詰める彼の足取りを追って、いつか彼女の事も知るに違いない。命の危険は彼と同じくらいある事になる。

「で、頼みがある。」

「たまに食事をするのはいいけれど、5分おきにメールくれたり、毎日家へ花束を届けるのはやめてくれる?」

「君の命が危ないんだ。俺と一緒にある場所へ避難してくれないか。」

何処へと言いかけた途端、ルパンの携帯のコール音がした。見知らぬ男からだ。

「ルパン、俺たちをコケにしてのうのうと生きていられると思うな、今度こそ終わりだ!」

夜景を映し出していた厚い窓の向こうに、黒光りの飛翔する物体が見えた、それは二人の立っていた場所の真向かいで静止した。

「伏せろカレン!」

分厚いガラスが粉々になって飛び散った。ルパンはカレンの体の上に被い被さって身を守った。迷彩色のヘリが真正面から機銃掃射してきた。レストランの客やスタッフの上げる悲鳴。エレベータに向かって避難を始める。

ルパンは機敏に彼女の前にテーブルや椅子を組み倒した。自分もその後ろに隠れながら、相手の様子を覗う。ほんの数十秒の間、掃射がやむ。カレンを抱き起こし、フロアの反対側にあったエレベータに向かって走る。

「こっちに乗れ!」

右端をさす。3台のうちの右端はVIP専用。直通で下まで降りられる。ただし4名までしか乗れない小型だ。

ルパンはVIP専用のカードを持っていた。カードでドアを開けた。二人が乗ろうとすると、隣のエレベータには従業員など人がいっぱいだった。一般のエレベータの方に乗れそうもないお客が4名ほど取り残されてこっちを見ていた。

「早く!」

その時カレンが辛そうな顔をしてルパンを見た。

自分たちだけこれに乗ってはだめ。

彼女の瞳がそう言っていた。2人がそのままぐずぐずしてると、4人が先にVIP用に乗りこんでしまった。もう満員だ。

ルパンはカレンの腕を引っつかむと別の道へ回った。あとは階段を行くしかない。二人は屋内階段を駆け下りた。

最上階といえ28階しかない、そう思って油断したのがいけなかった。屋上に降り立ったヘリから、階段を通じて悪漢が追いかけてきた。カレンを連れ、回り階段を必死で駆け下りる。

上から数人の男が弾をぶち込んでくる。駆け下りながら応戦するルパン。

ここで弾切れだ。いったん階段の隅に隠れて、弾を装填しながらカレンに言う。

「先に地下へ降りてて、これ車のキー、行けば分かる。今からアジトに向かう。」

「私も持ってる。」

カレンが自分の愛銃ブローニングを見せる。

「先に行ってくれ、頼む!」

カレンは後も見ずに一人で非常階段を駆け下りた。彼なら大丈夫だ。

途中で悲鳴が聞こえ、誰かが吹き抜けを下まで落ちていったが、そっちに目を向けないで駆け抜けた。

彼じゃない、絶対に。

1階から地下のガレージに抜けた。彼のキーには番号がついている。キーレスエントリー式の車だ、鍵が開いた車が彼のに違いない。

広い地下ガレージを走り回ってどの車かを確かめようとした

駐車場の通路を横切ろうとした彼女の前にハイスピードで灰色の車が突っ込んできた。とっさに身を翻したが、すんでのところで轢かれるところだった。その車から2人男が下りてきてカレンを追いかけた。

ドレスにハイヒールでは追いかけっこに勝ち目はない。ゆっくりと手を上げて降参するふりをした。向こうが女一人と思って油断したその隙に一人の顎を蹴り上げ、ひっくり返って落とした男の銃をさらに遠くに蹴飛ばし、もう一人の男が銃を自分に向ける前に言い放った。

「女一人になんてザマなの?」

一瞬の隙をついて、男より早く彼女の愛銃が火を噴いた。心臓ではなく肩を打ち抜かれて男はそばの柱にすがりついた。素早く手錠をかけ、柱に縛り付ける手際はさすがCIAだ。

その瞬間、彼女が弾よけにすがっていた真っ赤なオープンカー、ポルシェのロックが解除された。鍵についてる番号と足元に書かれている番号が同じだ。

跳び乗って鍵を鍵穴に差し込むと、自動でどこかにランプがつき、車止めがコンクリートの床下に沈んだ。車を発信させ、出口に向かう。

もう一人の敵が再び彼女を追いすがる。

と、100メートル先の駐車場の出口でポルシェと同じ派手な色のジャケット姿のルパンが立っていた。

良かった、無事だった。

彼を乗せるためにアクセルを緩める。

ところが彼は懐からワルサーP38を取り出し、真正面にいるカレンに向かって狙いを定めた。

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片方の眉を吊り上げ唇の端を曲げた男、あれはニセ者?

いいえ、絶対に本人だわ。すると初めからこれは彼の計略だった。私を油断させ、ここで始末するために。

、、、、だったらやるしかない、、。

緩めたアクセルを再び踏んだ。フルスピードで突っ込んでいく。むろん轢き殺すつもりなどない、相手がどんな凶悪犯であっても。

車で突っ込めば避けるに決まってる。それが彼女の狙いだった。

対するルパン、片手でワルサーを構えたまま全く動じる気配はない。

キューン!

弾の発射とともにカレンは身を伏せ、そのままルパンの直前でブレーキを踏んだ。

地下駐車場に怪物の悲鳴のようなタイヤの軋み音が響きわたった。

次回に続く。

この小説は特に女性に楽しんでいただけるように書きました。でも男にも面白いシーンが次回あるかんな、乞うご期待。

ほいじゃま。

テロ組織「スターゲイト」とルパンの確執は、俺の創作小説「炎のたからもの」をお読みいただけば分かります。まだ読んでない君は、右サイトバーにある小説のサイト入り口から入ってお読み下さい。10編の作品、どれも傑作です。自分で言うのも自慢ですが。

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2009年6月 3日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(22)

(22)泥棒の休日

「ヒャッホー!も~う最高!君と一緒だもんな!」

カレンはあきれ顔で隣にいるゴリラを見た。

奴の格好といったら本物の猿以下だ。首から下は毛むくじゃら、どう見ても着膨れした類人猿と言うしかない姿で、鉄のバーに肩と腰を縛り付けられている。

ディズニーランドではなく、米国ユニバーサルスタジオ最新のジェットコースターに乗ってさっき360度回転したばかりだ。肩と腰を固定されてるだけの乗り物で、宙づりの両足は浮いたまま。逆さになっても文字通り手放しで喜んでいる。

カレンの方は同じ乗り物に4回で、さすがに飽きた。こちらは「キャー」とも言わない肝の据わった女。

その日指定されたベンチに座って待っていたら、ゴリラの着ぐるみが愛想良く手を振って近づいてきた。そいつはパントマイムで隣の席に座っていいかと聞く。

「いいわ、少しこっち詰めてね、そこは指定席なの。」

毛むくじゃらのでかい尻を振って腰を下ろすと、カレンがベンチからずり落ちそうになった。

「俺が指定したんだけっども、二人で座るには狭すぎたな。」

カパッと着ぐるみの頭の蓋が開いたと思ったら、泥棒の素顔が笑っていた。

「お待たせ、10分遅れですまない。やっかいな奴らをまくのに手間取っちまって。」

「変装の名人て聞いてたけど。誰かにつけられてたの?」

「デートの相手に素顔で会えないなんて悲しいもんな。」

素顔には違いないが首から下はゴリラだ。初デートの日に動物の着ぐるみを着て現れる男なんて彼以外にはきっといない。

「さってと、お約束。ジェットコースターがいい?それとも飯にする?」

「例のデータ持ってきたわ、先に話を終わらせましょ。」

「こんなデート日和に仕事の話?」

「先に面倒な事済ませてからね。」

「分かったよ。じゃ済んだらデートしてくれよ。」

「仕方ないわ、約束ですものね。私の携帯に120回もメール送って54回留守電入れたのはあなたでしょ。」

「121回目さっきすぐそばで入れたんだ、分かった?」

「え?あ、そう?」

カレン、自分の携帯メールを見る。I LOVE YOUと15回書かれたあとに「3タク選べ。1、ジェットコースター 2、お茶か飯 3、映画」となっていた。

カレンは急いで1を選んで返信した。

こんな変てこな男と長居は禁物だわ。

メールを見ている間に変てこな男はカキ氷を買ってきた。カレンにレモン色の方を渡す。自分のは何もかかっていない氷だ。

ビール缶を腹のポケットから取り出した。

それでお腹を冷やすつもり?

どうするのか見ていると缶をあけ、カキ氷にビールをかけて食べ始めた。

唖然とした。食べるのを忘れて見入るカレン。

「も~暑くて暑くて、、、どうした?早く食べなよ溶けちまうぜ、やっぱ氷はこれでなくっちゃ。どう?君も。」

その後ゴリラの着ぐるみを来たままの相手に連れられ、ジェットコースターに乗る羽目になってしまった。乗り場でスタッフとすったもんだした挙句。

「お客さん、そんな服装で乗るのは困ります。」

「でもね、この下な~んもつけてないのよ。」

「だから着替えてまた出直して、、。」

「だあってこれが彼女と人生最初で最後のデートかもしんないでしょ。明日はもう会えないかも知れない人と一生の思い出作りに乗りたいんだと言ったら許してくれるよな、お兄さん。」

スタッフが答える前にさっさとジェットコースターのベルトを締めて座ってしまった。

ジェットコースターから下りたとたん、暑苦しいスーツ姿の怪しい男たち数人が向こうからやって来るのが見えた。

とっさにルパンはゴリラの頭を被って周りの子供たちにパントマイムで愛想を振りまいた。うっほうっほとやりながら、そばにあった屋台のフルーツショップから勝手にバナナを3本掴み、そのままバナナでジャグリングを始めた。そのうちバナナはもう1本増えて4本になった。

子供たちだけでなく大人や家族など、あたりに人だかりが出来始めた。人の波に気づいてか、スーツ男達は一人ずつ消えてゆく。

今度は3本ジャグリングしたまま、1本のバナナを左右に持ち替えながら皮をだんだんむいていき、最後に中身を着ぐるみの口に放り込んで食べた。皮だけになったのを捨てて、3本を後ろ手に放り投げて前で受け止め、深くお辞儀。大拍手。

バナナ屋のオヤジがモンク言いに来た。

「金払ってよ、あんた。」

その場で残り3本のバナナの皮を剥くと、ま、細かいこと言わずにと嫌がるオヤジを捕まえて無理やり口に突っ込み食べさせる。爆笑が起こり、この大道芸は店の宣伝と思った人たちが少しばかりバナナを買って去って行った。

拍手に気をよくした大道芸人はお調子に乗って着ぐるみのまま側転、バック転と大サービス。再び拍手が沸き起こった。愛想を振りまき、観客に向かって10回投げキッス。途端に捨てたバナナの皮でズルリと滑ってドタリとこける。

バナナの皮を引っぱたき、自分のお尻触って痛そうにしているうちにバナナの皮が跡形もなく消える。消えた皮に驚いてそこら中探しまくるオバカなゴリラの演技。あっと指差すと一人の観客の背中あたりから皮が出てくる。爆笑、再び拍手。

やがて日が傾き、観客は一人また一人と去っていった。

芸人はお辞儀をしながらあたりを見回した。デートの相手はとっくに帰ってしまったに違いないとガッカリしながら。

カレンは最初に会った時のベンチに座って一部始終を見守っていた。

ルパンはほっとしながら彼女に近づいた。ゴリラの面をカパとあける。全身汗びっしょり、クタクタ、ヘトヘトだ。

「カレン、ゆっくり話できないから今晩ここで待っててくれ。」

晩飯のレストランの住所を渡す。

「あなたって不思議な人。正体が知りたくなったわ。」

彼は笑った。

「俺の事だんだん好きになってきた?」

「あの黒服の人たち、なぜあなたをしつこくつけ回すの?」

「さあね、昔悪い事して俺にやられた奴が仕返しでもすんじゃねえの?」

「あっちが極悪人なのか、あなたがよっぽど悪い人なのか、、、。」

ふと気づくと、そばに5歳くらいの男の子がひとり立って、ルパンを待ち受けている。

「どうした、ボウズ。」

ルパンはその子に寄ってしゃがみ、人懐こい笑顔を向けた。

「おじさん、あしたもやるよね。」

「さっきのか?」

こっくりと頷く。

「明日は、、、もうやらないんだ。」

「どうして?」

男の子の顔がこわばり、泣きそうに見えた。

「ボウズ、どうしても見たいか?」

もう一度頷く。

「分かった、じゃそこで見てな。」

ルパンは面を開けたまま、3回側転、続けて2回バック転し、向こうへ行ったかと思ったら、すごい勢いで走って帰ってきた。つるつるの路面を膝で滑り込んできて止まり、そのまま男の子を肩車した。

「ボウズ、遠くはよく見えるか?」

「ウン。」

「さっき俺がやってた時よく見えなかったんだよな。」

「そう。」

「今度から、前の方で見せてって言いな。」

「ウン、分かった。」

「俺の肩車特別サービスだかんな、あすこの木に登ったら終わりだ。言うこと聞かねえとあのお姉さん魔女だから、お前に魔法をかけちゃうぞ。」

腰の高さの木の枝に男の子を座らせた。彼はお姉さんの方を目を丸くして見つめ続けた。

ルパンはカレンに向かって軽くウィンクすると人ごみに消えていった。

今日の取引はルパンが必要とするデータを渡す見返りに、彼のこれからの計画を聞き、地図の秘密を探る事だった。アルバート・ナインシュタイン博士の過去の経歴と現在の研究の内容をルパンに渡すはずだった。

CIA(中央情報局)の中枢で勤務している彼女は、ほとんど全ての関係者のデータを取り出せる部署に、以前は所属していた。

ルパンはそれを知って自分に接近して来たのだろうか。

彼の経歴は十分調べてきたつもりだった。女たらしのくせに次々と女に言い寄っては振られ、女に貢いでは捨てられ、最近は一味と言われる女にさえ裏切られたらしい。

今までに殺した人間は数知れず、マフィアのドンよりも裏社会では恐れられている世界的な怪盗。

本当にあれが世界に暗躍する凶悪犯なのだろうか。

彼のメモにあるのは彼女の自宅近くの行きつけのカフェレストラン。向こうも私の事を詳しく調べてるのかしら。

カレンはターゲットだからというだけではない好奇心をそそられ始めた。

この非情な仕事を始めてからそれだけは絶対にしないと自分に言い聞かせてきた。

それなのに、、、。

次回に続く。

ルパンが「殺しと善人の金には手をつけない」というポリシーを通してるのは「盗み」の手段としてであって、実際には殺した悪党の数なんて自分でも覚えていないほどだと思いますね。

あるオタク本によれば96人以上殺してるんだって。

どうやってそこまで数えたのか、どの作品までのトータルなのかを調べてみたいと思います。

、、、んな暇なことするわけねえだろ。

殺し屋じゃないにしても、捕まったら生きてるうちに牢屋から出られそうにないほどの犯罪者であることは確かです。正当防衛とは言えない状況で女だって大量に殺してるんですから。

ひとりにつき懲役15年としても1440年。(国によっては終身刑とか死刑とかじゃなくって、量刑を通算するらしいです。)殺しも殺したり、ほんとに極悪人。こんな男に惚れる女は最悪な人生でしょう。一緒に地獄へ行ける不二子のようなタフな女じゃなけりゃ。

ルパンがゴリラに扮する話は二つ。一つは「バビロンの黄金伝説」。ゴリラからだんだんチンパンジーに変身してますね、確か。

もう一つはTV2NDシリーズの第35話「ゴリラギャングを追っかけろ」で、ゴリラに扮した不二子の手下に騙され、仕返しに一杯食わせた話だったと思います。(違ってたらごめん。確認します。

ルパンは優れた軽業師でもあります。その腕前は「生きていた魔術師」でご覧になった方はお分かりでしょう。ジャグリングやトンボ返りはもちろん、綱渡り、マジックなどもプロ中のプロです。

このOVA「生きていた、、」は他の作品とは一味違った独特の雰囲気を持っていて、自分は大好きなんですが、あまり高く評価されていなくて残念です。

ピエロに扮したルパンが様々なマジックを披露しながら、ニセ銭形を翻弄する場面はとてもアーティスティック。他の作品にない「ビジュアルな美しさ」を堪能できると思います。まだ見てない人見てくれや。言っとくが、アクション期待してる君には向かないぜ。

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2009年5月27日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(21)

(21) 海賊    

「五エ門様、私をいつか迎えに来てくださるのね。」

紫は五エ門の腕に飛び込みながら言った。そして五エ門に向かって無邪気に微笑んだ。可愛らしい真っ白な山椿を右耳の上につけて。

彼女はあの時のままだった。最後に見たのは伊賀の隠れ里。花嫁衣裳を着た彼女のうなじの白さ、うっすらと上気した頬の美しさは、生涯忘れる事ができない。

「修行を積んで必ず戻ってくるゆえ、ご容赦を。」

「いつ帰って来て下さるの?」

「それは、、、。」

「あん!五エ門様のいじわる!いつまでも待っててあげないからねー。」

彼女はくるりと踵(きびす)を返すと、笑いながら走り去って行った。

「いつまでも待ってては、あげないからねー。」

山彦のようにこだまする彼女の声の後を五エ門はあわてて追いかけた。

「待て、待ってくれ、拙者は、、、。」

言葉ももどかしく五エ門は足を前に向けようとする。が、彼女の笑顔は山々に吸い込まれるように遠ざかっていく。転げるように泳ぐように彼女の後を追う。追いついて彼女の横顔を見る。

振り向いた彼女の顔は弁天菊子に変わっていた。菊子はにたりと笑って、五エ門にすがりついてきた。

「五エ門さま~あ。」

「わ!」

自分の大声で、五エ門は目を覚ました。

目覚めると硬いベッドに横たわっていた。跳ね起きようとするが体が思うように動かない。

やがて部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。部屋が薄暗いせいか相手の顔の輪郭しか分からない。部屋のカーテンが開けられたようだ。

突然明るい光が差し込み視界が明るくなった。しかしどういうわけか、瞼を開けているのに辺りはぼんやりとし、まるで靄がかかっているような感じだ。明るさしか感じることができない。

「目が覚めたのか。」

声の主はあの勇者のようだった。

「ここは何所だ。拙者は一体、、。」

「あなたは私を助けて毒矢にやられた。2週間あまり生死の境をさまよっていた。」

思い出した、あの砂嵐の中で意識を失ったのだ。毒は致死量はあったはずだ。拙者は命を取り止めたのか、、、。

「私がすぐに毒を吸い出した。この近くに幸い、よい医者がいた。解毒する薬があったから良かったものの少し手当てが遅れたらあなたは死んでいた。」

五エ門が体を起こそうとすると彼は制止した。

「まだ完全に回復していない。視力はおいおい回復するだろうが、血液に混じって毒が残っているから安心はできない。」

「かたじけない。何と礼を申せばよいか。」

「礼を言うのは私の方だ。あなたに命を救われた。」

「あの男たちは何故、あなたを殺そうとしたのか。」

「部族同士の争いに見せかけて私を謀殺しようとした。」

「どうして?」

「砂漠の鷹に謀反を起こそうとしている連中がいる。」

「、、。」

「新しいやり方に不満な分子は、何処の世界にもいるものだ。あの連中の半分は、私が武器弾薬をヨーロッパから買い付ける事に不満を持ち続けていた。今までアフリカを搾取してきた敵に利益を与えると思っている。もう一派は金で雇われたようだ。」

「あなた方は盗賊なのか。」

「そう言う見方をする者もいる。」

「弱い者から金品を奪い、命を奪う。あなたもそういう輩の一人なのか。」

砂漠の鷹はベッドのそばの椅子から立ち上がって窓の外の景色を見た。

宿は小高い丘の上にあった。五エ門の目には見えなかったが、ちょうどその窓から外国船と思われる大きな船舶がゆったりと通り過ぎていった。

「ここは文明から見捨てられた世界なのだ。あなたはここへ来る途中に見なかったか、無数の貧しい民が差し伸べる手を。

ここでは生まれる命より失われる命の数のほうが多い。食べる物も着る物も、すみかもなく飢え死にする数百万の子供や赤ん坊がいる。

一方で、数世紀にわたって巨大な富が巨大な文明によって奪われてきた。かつて豊かだったこのアフリカの大地は枯れ、荒れ果ててゆく。」

「彼らの為に、取り返そうとしているとでも。」

「失ったものは取り戻せない。我々が今出来る事は一人でも多くの命を永らえさせ、養うこと。有り余る富や権力を欲しいままにしている特権階級の輩に鉄槌を下し、虐げられた人間の誇りを示すことだ。」

「つまりヨーロッパやアメリカの金持ちの富を、アフリカの貧しい人々に分け与える使命を負うと、、。」

「その為に今は手段を選んではいられない。我々のしている事はきっと分かる時がくる。」

「義賊と言えど人の道にかなうやり方ばかりをしているわけではあるまい。」

「あなたには恩義を尽くす。砂漠の鷹は恩を仇で返すようなことは決してしない。あなたの目が回復するまで安全にここに匿って差し上げる。」

「拙者は誰かに追われている身でもないが。」

「2つの部族の勇者を20人も斬り倒した男がどんな理由ででも、その肉親に狙われるのはこの国では当たり前の事なのだ。」

「では拙者はお尋ね者になったのか。」

「私についていれば不安な事は何もない。」

鷹はそばに戻ってきた。

かがみこんで五エ門の額に触れた。瞼は開いていたが、全く顔は分からなかった。五エ門の視力の回復の様子を見ているらしかった。

「医者に診てもらったが、もう2~3日は安静にしたほうがいい。」

五エ門が無意識にはずしてしまったらしい、そばにあった散らかった包帯を目に巻き直した。

鷹は五エ門の傍らに斬鉄剣を置いた。

彼なら怒りに任せて無謀な振る舞いに出ることはない。「サムライ」という言葉は知らなかったが、鷹はそれを感じ取った。

僅かなやり取りの中にも、五エ門もまた彼の「誠心」を見取った。見えない目が彼の心をより研ぎ澄ませていた。

鷹がまさか、窓の外を通り過ぎるたくさんの商船やタンカーを襲う海賊の首領である事を、五エ門はまだ知るよしもなかった。

次回に続く。

紫については、注釈をつけるまでもなく「風魔一族の陰謀」に出てくるヒロインというのはご存知でしょう。

「弁天菊子」について知らないあなたは、TV2NDシリーズの第55話と56話「花吹雪 謎の5人衆」をご覧下さい。2話続けて登場するヒロインはコーネリアと不二子以外には確か、彼女しかいないと思います。

え?ヒロインとは言えないって?

ここでネタばらしすると面白くないので。もう見た人は秘密をばらすなよ。

余談・雑談。今年4月25日オープンの東京ドームシティアトラクション=「ルパン三世、迷宮の館」もう行ってみたかい?結構面白いかも。

動画があったので右サイドバーにご紹介。

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2009年5月20日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (20)

(20) 弟子入り

べルトコンベアにのって、左右に人型の標的が次々と現れては消えていく。上段のは右に、中段のは左に、最下位のはアトランダムに上下に消えていくのを、次元は使い慣れないレミントン700-M24(=狙撃銃の機種)で次々と撃ち抜いていた。

ベガスまで500キロ、ニューメキシコ州サンタフェの町。次元が昔から使っているクラブ会員制の射撃場だ。誰でも入れる場所ではない。

成金やベガスに観光に来た庶民などはこのセレブ御用達の施設には入れない。もっとフレンドリーな射撃場がここらにはいくつもある。

ここへは殺し屋をしていた頃の馴染みの口利きで入った。世界中の秘密を持ったVIPが集まる場所で、ルパンもおそらく知らない隠れ家だ。ミネソタ・ファッツも利用していたことがある。

弾は全部で360発。なまった腕にはほどほどのところだ。

最初の60発を箱から出して手元に置いた。59発全てを、彼は動く標的のそれぞれど真ん中に命中させていた。邪魔する敵もいない、動きを単純に読める標的など目をつぶってでも撃てる。

60発目を狙って防弾用のゴーグルをずらした。彼の動体視力は抜群だが、この位置からは次に現れるターゲットが見えにくい気がした。

突然いっせいに全部のターゲットが隠れ、どの位置から現れるのか予測がつかなくなった。

一瞬、天井から下りて来た人型に向かって弾を浴びせた。もちろんど真ん中だ。

早撃ち0.3秒とはいかないがこのタイミングなら十分実戦で使える。ターゲットが射程距離150までなら、バイオリンの内弦A線1本でも正確に撃ちぬく自信があった。

背後でパチパチ拍手する音が聞こえた。今日は付け髭がなくトレードマークの帽子をかぶらないあの若造だった。

「やアお見事オ、やんや、やんや。」

嫌な奴だ、口調がルパンにそっくりだ。俺の顔をしたルパン小僧め、VIPカード無しでどうやって入り込んだ?

銃を置き、ソファに腰をおろす。煙草に火をつけようとすると、奴が気を利かしてライターを取り出した。次元の煙草に火をつける。煙が二人の間を漂う。

「何でここが分かった?」

「しつこくつけ回されるのに飽きたから、こっちから出向いてやったんだ。」

次元が付けておいたイモムシ型の盗聴器兼発信機をそばのテーブルに投げ出す。ついでに次元の財布からすり取ってスキミングしたニセカードも。

「金持ちのボンボンはこんな高級クラブでも、物おじしねえんだな。」

「俺はボンボンじゃねえ。」

「親父に言われて来たのか。ルパンのアジトを探して、お宝をひっさらえって。」

「親父は関係ねえ。あいつはホントの親じゃねえしな。」

「?」

「俺、あいつの養子。子供の頃ニューヨークの近くの施設に預けられてたのを引き取られた。あいつの交通事故で死んだ息子が俺にそっくりだったんだとさ。」

「なるほどな、そういや似てねえ。苗字も違ってるしな。」

「跡継ぎなんて真っ平だ。飯が食えればいいと思って言われる通りにしてたが、もうギャングなんて飽き飽きしたぜ。」

「泥棒だって似たようなもんだろう。」

「あんたらは違う!俺はけちな車泥棒なんかやめて、あんたらみてえにBIGになるんだ。」

「死んだら美味いもん食えねえぞ、女も抱けねえ。」

「そんな事分かってるさ。俺が欲しいのはモノじゃない。」

「じゃ何だ?」

「それは、、何つうか、、、。」

次元は台に置いたライフルを取り上げ、止まっている的を再度狙った。

「夢って奴か。」

「簡単に言うな、ルパン4世ってでっけえ夢叶えるのに命なんか惜しがってちゃ、男がすたるんだよ。」

「帰ってドタマ冷やせ。」

ライフルを置いてソファーに戻る。

「次元さん、頼みがある。」

「さんづけはよせ。」

突然、ルイスは次元の足元にガバリと伏して土下座した。

「お願いだ、俺をあんたの弟子にしてくれ!」

さらに頭を地面にこすりつける。

「だ~ア!!!」

「何でもする。あんたを見て思ったんだ、奴一人がBIGなんじゃない、あんたがいてこそ世界一なんだって。」

「、、、、、。」

「俺は今までたった一人で意気がってた。あんたの仲間にしてくれ。俺はまだ駆け出しだがきっと役に立つ。」

次元の脳裏に自分の若かった頃が蘇った。

俺はこんな風に誰かに素直にものを頼んだ事があっただろうか。若い頃の俺はひねくれ、やさぐれて世間にはむかっては、自分の居場所を失ってきた。

八方塞がりの人生、裏社会の泥水の中でのた打ち回った孤独な一匹狼が、唯一信じることができた男がルパンだった。

奴となら俺は何でもやれる、、。命さえくれてやっても惜しくはない。

こいつは信じられる何かを、あの時の俺のように俺たちに求めてる。だがこいつの言葉をまともに信じてやっていいものか。不二子の片棒を担ぎ、俺たちの仕事を妨害してきた、自分の身を守る事さえおぼつかねえ奴。お荷物を背負い込むことになったら、、、。

次元は残りの300発を箱ごとルイスの方へ押しやった。

「これで賭けだ。この弾を一発でも的に当てたら、考えてやる。」

「弟子にしてくれるのか、ほんとに一発で?」

次元は狙撃用のライフルを持たせ、ルイスの姿勢を直し、手を添えて基本の動作と撃つタイミングを指南した。

「お前、初めてだな。なまなかな筋力じゃ銃に遊ばれるぞ。」

ルイスは自動小銃を撃った事はあったがライフルは初めてだった。そもそも武器の使い方など誰にも教わった事はなかったので、次元に言われた内容の半分も分からなかった。

次元はすぐそばのソファーに寝転び、帽子を顔の上に載せて目を閉じた。

「終わったら起こしてくれ。」

彼は最近、夜寝つかれなかった。自分の脳味噌がいつ破裂するか分からないのにゆっくり眠れる奴なんて心臓に毛が生えててもいないだろう。

ルイスはゴーグルをつけると、動かない的に向かって自己流で黙々と撃ち続けた。

200発位まで撃ち終えた時、次元は顔の上に載せた帽子をどけてちらりと様子を見た。まだ弾は一発も当たっていなかった。もちろん中心どころではなく、掠りもせずに。

次元はあくびをしてもう一眠りした。

数時間がたち、残り2発になった時、ルイスはついにネをあげた。銃をほうりだして地面に長く伸びた。

「やっぱ俺、射撃は無理。」

「あきらめるんなら帰ってくれ。」

眠い目をこすりながら答える。

「俺がルパンの秘密を知ってると言ったら?」

「奴は敵地に乗り込む算段つけてる頃だ。」

「なら、罠が掛かってる。俺が行けば助けられる。」

「お前場所知ってるのか。」

「いつか盗んだ地図に、盗みの計画の手書きのメモがクリップしてあった。俺はそこに行った事があるからすぐ分かった。」

次元は跳ね起きた。ルパンは昔から盗みの計画を紙に書くおかしな癖があった。アナログな泥棒とミシェルに言われたのに、性懲りもなくまだやってる。

「お前、親父にその話漏らしたのか。」

ルイスは肩をすくめる。

「まさか。ルパンさんが忍び込もうとしてるのはシリコンバレーにある巨大兵器産業「ZED」だぜ。あそこにゃ、ペンタゴン(米国国防総省)が秘密に開発してる武器や兵器がしまってある倉庫や兵器工場がくっついてる。

生物兵器や、世界で最先端の医療なんかも研究してる病院もあるが民間人はほとんど入れねえ。政府の役人かペンタゴンの偉い奴、CIAエージェント以外はステルス戦闘機で突入しても入れねえ要塞だ。」

「お前入った事があるのか。」

「俺は子供の頃、その中の病院で皮膚の治療を受けた。顔が時々黒くなるのはその治療の後遺症なんだ。」

一体どんな病気の後遺症だ?

「ルパンの侵入経路が奴のアナログ地図で分かったのか?」

「いや場所は分からないが、多分病院のどっかだ。」

「病院の地図か、メモは?」

「そうじゃなくて病院で見たんだ、あの変な化学式みたいなヤツ。子供の頃、皮膚の移植手術を受ける時、ベッドの枕元で何度か見た。」

「お前、施設に預けられたと言ってたが、親がいるのか。」

「憶えてねえ。ごく小さい頃に何度か手術を受けたことは記憶にある。その病院を退院してから多分、俺のほんとの親父が施設に預けた。親父が行方不明になっちまって、18の時ガルベスが俺を引き取ったんだ。」

「お前の親父はその病院の関係者か。」

「まさか。そんなんだったら世間をコソコソ渡り歩いてねえさ。」

「ルパンが罠にはまったてのは確かか。」

「次元さん知らなかったのか、俺毎日あんたたちのアジトの前を通り過ぎてたんだ。」

「あの飲んだくれのオヤジはお前か。」

「その他にもピザ屋とか清掃員とか色々。」

「で、スパイしたのは俺たちだけじゃなくCIAもか。」

「奴らは毎日あのアジトを張ってた。次元さんに置いてけぼりくらったあの日に、ドアに挟まれた手書きのメモを見た。」

「何て。」

「先に行く、そのあと携帯電話の絵が描いてあって、9-4 3-2 3-1 次元さんの帽子の絵。」

「そりゃ俺が書いたモンじゃない。」

「暗号が簡単すぎるだろ。ルパンさん罠って気づいたかも。」

「いや、その暗号は新型だ。俺以外の誰かとの連絡手段にしてたかも。」

「じゃ、もう手遅れかな。」

「小僧、俺たちはプロだ、そうやすやすと捕まらねえ。」

「でも今、女連れてる。」

「女?」

次元は床に転がってるライフル銃を取りあげて、再び気まぐれに的を狙った。

「CIAのエージェント。カレンて名の。」

弾はど真ん中からわずかに数センチ右にそれて命中した。

「カレン、、、、。」

彼の脳裏に苦い思い出が蘇った。女は苦手だ。特に賢くてきれいな女は。

原子力潜水艦を操縦できる、同名の核物理学者の面影を思い出していた。彼女の死の記憶が彼の心の奥の開かずの扉をたたいた。

次元はルイスに銃を渡し、彼の姿勢を正す。

最後の1発にルイスは賭けた。

奇跡的、見事に弾はど真ん中、、。

だがそれはルイスが狙った的ではなく、その3つ向こうのやつだった。

「合格だね。」

得意げなルイス。

「まずは詳しくそこの事を話してくれ、小僧。」

潜入するにはまず情報だ。ルパンが調べてるルートは必ずしも信頼できるとは限らない。

何しろ、情報を流してくれた相手が忍び込む先の責任者なのだから。これほど詳しい人間もいないだろうが、データを改ざんして陥れるには適役というわけだ。

ルパンがまさかそんな奴からの情報だけを頼りに、この大仕事を進めているとは思わなかったが。

次回に続く。

追伸:ゆうチューブから抜粋していたお気に入りのルパン三世アニメを削除しました。著作権侵害にあたる可能性があるので。個人で楽しむ位はいいのでは、と思っていましたが、やっぱりこのサイトで見るより、買ったり借りたりしてじっくり楽しんでください。お金のない君は、無料の動画サイトもあるしね。ルパン三世はお金を払っても見る価値がある作品ばかりです。

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2009年5月14日 (木)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (19)

(19) 「盗」飛行

ヘリは次元が差し向けたものだった。ルパンは自動操縦から手動に切り替え、運転しながら怯えて小刻みに震えているカレンを気使う。

「もう、大丈夫だ。奴らは俺を麻酔弾で眠らそうとしただけだ。」

こっくり頷く彼女。

「、、、逃げる必要はなかったのよ。あなたは私たちの要求通りにしてくれるんですもの。」

「奴らは俺にも次元と同じコトしようとしてた、違うか?」

「私はあなたをおびき出すという指令を受けただけ。まさかこんな陰謀があったなんて。」

「知らなかったのか。」

「ええ。」

相変わらず震えている彼女。

「君ほんとにCIAのエージェント?」

「、、、私、二重スパイみたいなものなの。でもこの計画を知らなかった。今までいた部署から転属になって新しい課に入ったんだけど、そこはCIA内部の陰謀や二重スパイを調査する部署なの。

今はフェニックスのいる課に潜入して彼の最近の不審な動きを探る仕事。」

「なるほどね、奴は本来の仕事じゃなく誰かの陰謀の片棒を担いでるってわけか。」

「そうかも、、、。」

「ほんとのボスに報告するんだな、さもないと君の命が危うくなるぞ。」

「ええ。あの、、」

「、、、。」

「さっきの言葉はもしかして救助信号?」

「いい勘してるね。」

「何?しゅちにくりん、て。」

「ああ、あれね、助けに来いって次元に頼んだのさ。」

「じゃ、私に言わせたのは?」

「あ・はんが上に来い、うっふんが横につけろ。」

「じゃ、私の合図でヘリが来てくれたのね。」

彼女のほっとした顔を見て急ににこにこするルパン。

「何?」

「君さ、仕事してる時の顔と全然違うね。」

「え?」

「素顔がさ。」

「、、、。」

「ホテルで俺を誘惑してた女と別人みたいだ。」

「そうね、仕事だもの。あなたもよ。」

次元から連絡が入った。

「どうだ、俺のリモートコントロール技術は。」

「ジャストミート。いいタイミングだったぜ。ランバージャックの息子にも礼言っとかなきゃな、今度は故障しなかったって。」

「いつから女の声あんなに上手くなったんだ。」

「才能。それはそうと次元爆弾、炸裂しなかったみたいだな。」

「何で知ってる?」

「あのおっさんべらべらとしゃべってくれたよ。お前の居場所が分かってるなら何で俺たちを助けに向かってるのが分からなかったんだろう?」

「そうだな、、、。多分このチップ、携帯電話と一緒で場所によって電波が入らなくなるんじゃねえかな。」

「山奥とか、電波障害の起きやすい場所とか。」

「そうとしか考えられん。」

「今何処にいる?」

「盗聴されてるかもしれんから今は言えない。あの小僧を追跡してる。」

「分かった。また後で連絡くれ。」

カレンはもうずいぶん落ち着いていた。このヘリでデートしちゃいけないかな、などと言ったらぶん殴られそうなほどに。

彼女を連れて帰ったら次元はどんな顔をするだろう。だって「カレン」だもんな。それよりまず奴の脳みそが破裂しない方法を考えないと。

「ルパン、多分このヘリ追跡されてるわ。」

「大丈夫、知ってた?ルパン三世は最新のステルス戦闘機なみの装備持ってるんだ。」

「どういう事?」

「レーダー撹乱システム。つまりプラズマアンテナ搭載、電波吸収体でできたボディ。」

「どこで手に入れたの?」

「そりゃもう君の組織のお膝元よ。、、、このまま君の家まで送るけど、住所教えてくれ。」

「ロサンゼルス、サンタアナ5番街の22よ。」

「ひょっとしてディズニーランドは君ン家の庭だったりして。」

「そうね、庭と思ってもいいほど近いわね。」

「こっから4000キロ、それまでお互いをじっくり知り合えるってわけだ。」

「知り合ってどうするの?私たち敵同士なのに。」

「もう敵同士じゃない。君はスパイをやめて泥棒の一味に寝返る。」

「まだ分からないでしょ。もしかしたら私はあなたのことをスパイしようとしてついて来たかもしれないわ。」

「だとうれしいね。ずっと一緒にいられる。」

「女を口説くのが上手いって思ってるのね。」

「君みたいに賢くてきれいな人に言われると、ますます俺自信持っちゃう。」

「残念だけど私、誰とも付き合わないの。」

「へえ、彼氏に振られた?」

カレンが急に黙り込んだ。ヘリを運転するルパンがチラリと顔を見る。図星だったみたいだ。

無表情を装っているが、瞳がそれを語っていた。

「ごめん言い過ぎた。君を人質にして泥棒は盗飛行する。」

「逃避行?ほんとにロスまで行く気?」

「ああ、君の仕事なんだろ、ルパンについていってアジトを探れって。」

「あなた知ってて私を助けたの?」

「奴らみたいな人でなしが、君を生かしておくと思うかい?あそこで俺が捕まってたら君は間違いなく用済みで殺られてた。俺が逃げたから君は、、」

「私は組織にとってはただの使い捨て、、」

「ロスに俺のアジトがある。もし良かったら一緒に来ないか。」

「私は、、。」

「わーかってるって。君がスパイをやめたくなったらの話さ。君みたいな人が誰かを騙したり、人を殺したりする仕事してるなんて嘘みたいだな。」

「あなたこそ泥棒だなんて信じられないわ。」

「俺たち似た者同士ってか?」

二人は顔を見合わせて笑った。

次回に続く。

女性にも楽しんでいただきたいですね。このブログは家族で楽しめる、老若男女のエンタメでありたい、、。

なのでそうとうHなトラックバックは削除します。

最近トラックバックもコメントも増えたけど、すいませんね、消させていただきます。公開してあげるから「ルパン三世」と一言書いてくれや。

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2009年5月 8日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (18)

(18) 拉致

「君にここへ来てもらったのは、他でもない、君の親友の命を助けてもらいたいのだ。」

「次元はお前らに捕まるほど馬鹿じゃない。」

ボストンの郊外、空ビルの一角。もう使われなくなった廃ビルにみせかけたCIA支部。ここへルパンは呼び出されていた。武器を取りあげられ、椅子に座らされ、前で両腕に手錠をかけられて。

後ろにはピンクパンサーこと、カレンがルパンのワルサーを突きつけて立っていた。周りには覆面した男が3人。正面に立っているのは、声から察して彼女と連絡を取っていた男だ。

「ところが20日ほど前、次元大介は我々の医療施設で、ある手術を受けた。」

男はPSPか何かの映像プレーヤーを出して、映っている映像を見せた。

眠っている次元の後ろ頭にあたる場所の脳内に小さなチップを埋め込む手術の映像だ。そこは脳幹と言われ、生命を維持するのに欠かせない領域だと、素人ながらもルパンは思い起こした。

「彼の脳に埋め込まれたチップは、マイクロフィルム大だが、高性能のGPS機能(地球規模の位置監視システム)で居場所の探知が可能だ。加えて遠隔操作で決められた時刻に破壊することもできる。」

例え小さなチップでも、脳の一番大切な、生命維持機能に密着している物が破壊されたら、、。

「あいつでなけりゃ出来ねえ仕事なら、あいつに頼みな。CIAがこんなギャングまがいの脅迫する様になったんじゃ、世も終わりだな。」

「なぜ、我々がCIAと?」

「ジャの道はランチジャーってね。俺は泥棒だかんな、同業者かそうでないかは匂いで分かる。俺を捕まえるのにこんな手の込んだ事するなら、次元より先に俺にチップ埋めとくんだったな。」

「君にはそんな事をする必要はない。」

別の映像がそのプレーヤーに映し出された。不二子が半裸で縛られた映像だった。

ベッドに仰向けで体を縛られている。スケスケのネグリジェの下にショーツ一枚も身に着けずに。角度によってはあられもない格好が写しだされそうになる映像。

もっとも本人は結構楽しんでる感じにも見えたが。

「ああ~よしなさいっつの!このオ、ドスケベ野郎!俺が今助けに行くからな、待ってろよ不二子オ!」

聞こえるはずのない画面の相手に向かって叫ぶルパン。手錠したまま素早くPSPを奪い取って画面を手でおおい隠す。抜け目なくそれをポケットにしまう。

「君の親友にはあることを依頼した。」

「新大統領の暗殺かい。」

「どうやら君には何でもお見通しのようだね。」

「暗殺なんて不可能だね。だいたい1000人ものエージェントが守り、装甲車なみの鋼鉄の車に乗ってる奴をどう狙撃すれば当たるんだ。テロリスト助っ人にして、ホワイトハウスにでも押し入って殺らせるか。」

「犯人が捕まるね。」

「俺を人質にして次元をそそのかしてスケープゴート(生贄)にしようって腹ならお断りだ。」

「次元は捕まらない。我々が責任を持って安全な場所に逃がす。身代わりの男がいる。」

「どっちみち俺はあんたらの手先にはならない。」

「君への依頼は別の件だ。峰不二子が持っている地図のうち2枚しか本物ではない。」

「知ってるさ、俺の爺さんが俺に残した地図と、俺がアフリカで盗み出した地図。あとの1枚は不二子の作った駄作で、ボウズを介してガルベスが持ってたニセさ。」

「ニセのもう1枚は博士が博物館に寄贈したもので、君が盗みだして本物と入れ替えた。」

「ところが不二子たちは知らずに、俺の置いた本物を盗んで、代わりに博士のニセを元通りにおいといた。それがあんたらが取り戻したいモンなんだろ。」

「ナインシュタインは裏切り者だ。我々の重要機密を君の祖父の地図にそっくり似せた紙に収めて博物館に隠した。」

「宝の地図と見せかけて、俺の手に渡るようにな。」

「本物の地図は、今では君の祖父の物ではない。フランスからアメリカ政府が譲り受けた財産だ。宝の地図なんかではない、第二次大戦中の機密事項を記したものだ。」

「何であんなに手の込んだ仕掛けで俺に残した?」

「それは言えない。」

「俺はそのニセモンは再び博物館から盗み出してあんたに渡す。だが爺さんの地図は奴から取り戻す、お前らには指一本触れさせねえ。」

「ルパン、我々は君に地図の秘密を解いて欲しいのだ。」

「博士に頼んだらどうだ。」

「彼には解けなかった。」

「へん、俺にしか解けねえよ、ちいっと奴の助けがいるがな。」

「協力はする。」

「なら不二子を解放し、次元のチップを取り出せ。」

「それは出来ない。分かってるだろう、この話は軍、いや国家の最重要機密だ、君を信用して打ち明けたのだ。その担保は取る。」

「、、、分かった。一つ聞いていいか。あんたらCIAなのに、なんで大統領の暗殺が仕事なんだ?」

「泥棒に政治の話はしない。」

「確かに俺にゃ関係ねえ。がもし二人に何かあったらただじゃおかねえぞ。」

突然、ルパンの携帯に「ルパン三世のテーマ」が鳴った。次元からだ。

「どうだ、そっちの居心地は。」

「ああ、何つうかもう、、、。」

周りの男たちが目配せし、ルパンを目で脅す。

「そらもう酒も女もじゃんじゃん、酒池肉林。俺もうヘロヘロ、、。」

話しながらルパン、隣にいるカレンに目配せし、彼女の耳元で何かを囁く。

声を元の大きさに戻して言う。

「ちょっと色っぽい声出してくんない?怪しまれっからさ。」

自分の携帯を渡す。

「あはん。」

電話口に向かって色っぽい声を入れる。こんな感じでいいのかしら、といかにも嫌々ながらの彼女。

「何でえ、やっぱり女の館でお楽しみか。今度は若返りの薬、盗って来いよ。」

次元は何か勘違いしているようだ。

「ナインシュタインの居場所はここだ。」

真ん中の男が住所のメモを差し出す。

「俺のやり方でやる。口出しはすんな。」

その手を払いのけ、話は済んだという様にルパンは立ち上がった。瞬時に手錠を外していた。縛られてる芝居に疲れたよといった風に軽く肩を回す。

ワルサーを返してもらおうとカレンの方に手を出すと、彼女は即座に言った。

「私たちのアジトを知ったあなたをすぐには解放できないのよ。」

足元目がけてワルサーから弾が一発、、、

と思いきや、銃口からアメリカの国旗が飛び出してきた。ルパンはすかさず愛銃を取り戻し、男たちへ向ける。

「君みたいに愛国心を持った立派な警察官がこんなコトしていいのかい?」

「私は組織の一員なのよ。命じられた仕事をするだけ。」

「何にも縛られずに生きる代償は自分で落とし前をつける事さ。だがそれもいいもんだぜ、俺と一緒に来ないか。」

「女を口説く暇があったら命の心配しな。」

左横の覆面の男が銃を向けながら言った。言い終わらないうちにそいつは下あごにパンチを食らい、もんどりうって倒れた。

ルパンの敏捷な動きが残りの2人の判断を迷わせた。狭い部屋では味方を撃つ危険も考えなければならない。

壁を背にしてルパンはカレンの腕を捕まえ、後ろに回るとその体を盾にして彼女の頭にワルサーを突きつける。

「おっと、優秀なエージェントを失いたくなかったら銃を捨てろ。」

「貴様に女が撃てるのか。」

フェニックスはせせら笑った。

ルパンの片眉が吊り上がった。

「俺が何の準備もなしに乗り込んで来ると思うなよ。」

得意の煙幕を一発。煙が部屋中に充満する。煙の中のルパンに銃弾が浴びせられた。

ご存知、それは風船ルパン人形だ。

エージェント3人が無音の弾をぶちこんでいる間に、ワルサーの残りの7発で真上にある天窓を正確に四角にぶち抜く。

ガラス戸が落ち、空いた穴からヘリコプターの胴体がのぞいた。自動操縦のヘリだ。

ワイヤーを投げ上げ、機体に引っ掛ける。カレンの体を守りながら。

だがいくら防弾服でも、もう限界だ。

「カレン、俺につかまれ!」

「ルパン、、。」

「早く!」

カレンはルパンの首っ玉にしがみついた。彼女をしっかり抱くと、二人はそのまま天井の穴から外へ引っ張り上げられていった。

部屋の扉をぶち破り、屋上への階段を駆け上がるエージェントたち。しかしヘリはすでにビルから100メートルも遠ざかっていた。

連絡を取るエージェント、コードネームはフェニックス。

「ルパンは取り逃がしましたが、取引成立しました。あとは奴が謎を解いて、こちらに接触するのを待つだけです。」

「ええ大丈夫です、奴を泳がせます。あと始末も万全です。」

次回に続く。

やっとルパン三世小説らしくなってきたぜ、来週も見逃すなよ、ほいじゃま。

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2009年5月 4日 (月)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(16)(17)

(16) 潜入捜査

「部長、どうしても人員配置していただけんのでしょうか。ルパンのアジトはすでに突き止められ、踏み込んでふんじばるだけなんですぞ!」

「銭形君、君はそんな風に先走って独りよがりに勇み足をするから、いつもルパンにもう少しという所で逃げられてきたんじゃないのかね。」

「しかし、奴があのビルに潜んでいるのは確かです。」

「だが今回CIAからの要請で、アメリカでの奴の事件は全て向こうの権限で捜査が進められるように協定が結ばれている。」

「警視総監のご判断ですか、それは。」

「もちろん。」

「では私はICPOの捜査官として、この捜査にCIAと共同作戦で向かいます。」

「ICPOの本部長とも協議した。きみは当分の間出向を取りやめ、警視庁本来の任務に戻ってくれ。」

「それも警視総監の任命書が届いたらですな。」

「任命書はここだ。」

「、、、。」

「いいか、君はしばらく休暇をとりたまえ。」

「、、、。」

「と言っても、聞かんだろうからな、それは表向きの話だ。」

言いながら、警視庁の広域犯罪の最高責任者、1課特別捜査班作戦班長兼国際刑事部の部長はアメリカ行きのパスポートを渡す。

顔写真は銭形だが、妻帯者で名前が違っていた。木戸トオルとなっている。

「今回の君の任務はあくまでサポートだ。アメリカでルパン三世の情報収集にあたる。」

「情報収集?」

「そうだ、逮捕ではない。」

「誰が逮捕するんですかな?」

「君の今回の相棒、CIAから派遣されたエージェントを紹介しよう。」

警視庁の一室に入って来た男を振り返って見つめた。男ではなかった。あの、アンデスの山奥でともに一夜を過ごした女性、ジョアン・スミスだった。

「よろしく、ゼニガタ。」

あの時と同じブロンズ像のような赤銅色の頬を染め、肩まで流れる金髪をなびかせ、あの時とは打って変わって、はにかみながら言った。

「いつかはごめんなさい。」

何か謝らなければならない事を、彼女はしたんだろうか。銭形はあの一夜の出来事を思い出し、またもや背中に汗が流れた。下半身がおかしくなってきた。

「君は、彼女と新婚旅行でアメリカのラスベガスに行く事になっている。そこのCIA支局長にも連絡を取ってある。」

「な、、、。」

「君たちは木戸とその妻のまりやだ。君は、シリコンバレーにある巨大複合産業「ZED」に企業研修に行く日本人商社員。新婚旅行も兼ねていく。詳しい事は、スミスと支局長から指示がある。」

「ルパンがそこで何かを企んでいるんですな。」

「潜入捜査をすると聞いた。君たちは夫婦でラスベガスに滞在して、ルパンのニューヨークでの足取りと、ベガスでの奴の企みの狙いを探り出す任務だ。」

銭形には全く話が飲み込めない。何で、ニューヨークで奴を捕まえないのか。何を奴は企んでいて、一体CIAは奴を泳がせて何を知るつもりなのか。

ジョアンと銭形はその夜の便でラスベガスに向かって旅立った。

(17) 陰謀の主

話は少し過去に遡る。CIA本部、長官ジム・ケインの執務室。長官は今、エージェントからかかってきた携帯電話を受けている。

分刻みの彼のスケジュールのうち、例の極秘計画に割ける時間は僅かだが万全を期していた。彼の政治生命の命運を賭けているといっても過言ではなかった。それにはある男がうまく捕まる事と、彼が彼の友人のために働いてくれる事が不可欠だ。

「こちらエージェントフェニックス。例の手術は成功しました。現在ターゲットJとは交渉中です。ターゲットLの捕捉には失敗。しかし、ピンクパンサーの交渉で、自発的に我々と接触する意志があるという連絡が入りました。ボストンの支部ビルの一角で会う予定になっています。」

「OK。そこで確実に捕捉するんだ。」

そこまで話した時、国務長官Mが訪れた。今度就任する新大統領の就任式とパレードのための護衛計画の書類を持って。パソコンが普及した今でも、閣僚とは重要な案件は対面で検討することになっている。

ケインはざっと書類に目を通した。数千人の参列者と、沿道の数十万人の安全を守る計画。新米大統領ナラク・オハラの命を守る1000人のエージェントの指揮を、彼は任されていた。3月27日まで、いよいよ2ヶ月を切った。

国務長官Mは優秀なCIAのトップと2時間ほどかけて就任式の警備の入念な打ち合わせをした。

「長官、やはりこの計画では不完全だ、もう200人沿道の警官とエージェントを増やしてくれ。」

「分かった、何とかする。」

「別件だが、例の薬はいつ実用化される?見通しを知らせて欲しい。」

「軍に応用できる時期はまだ先だ。完成すれば重要機密となるので、漏洩を防ぐ手立てを先に講じている。」

「ではよろしく頼む。」

Mが去っていくと次にナインシュタイン博士と連絡を取った。彼に依頼している試薬の実験はあらかた成功し、実用化を待つだけだった。

だが、ある不都合な事態のために、マスコミや世間はおろか政府閣僚にさえもまだ秘密にしておく必要があった。

「博士、私だ。例の試薬を使っていよいよ実用化を始めたい。」

「まだ人体に応用するには早すぎる。」

「何故だ、ぐずぐずしていては秘密がいつ漏洩し敵の手に渡るやもしれない。先手必勝、実用化されればこっちのものだ。」

「だが、失敗すれば被験者は死に至る恐れがある。」

「時代に先駆ける者は、多少のリスクを負わなければ先に進めない。」

「あなたが被験者ならそうは言わないでしょうな。」

「もちろんだ。」

中央情報局の長官と軍付属病院の医学研究室主任は詳しい打ち合わせを後日持つことに決めた。

ケインの机にあったのは、オハラ大統領の就任パレードで使うオープンカーの仕様図、就任式祝賀パレードの際の警備全体計画、全ての車両の行程図だった。

次回に続く。

連休中にも関わらず、たくさんの方に来ていただいてありがとさん。

次回から話が本題に進みます。今まではお膳立て、前哨戦。退屈してた君、ルパン三世が登場します。八面六臂の活躍、お楽しみに。

追伸:

初めて来てくれた君のために、サイドバーに「見果てぬ夢」最初から読めるサイトをリンクしました。読みやすいのでよかったら入ってみて。ざっと今までの話が分かります。

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2009年5月 1日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾 「見果てぬ夢」 (15)

(15) 女の武器

不二子は今シャワー浴びている男の部屋で、彼のパソコンにログインしていた。女の武器を駆使し、パスワードを聞き出して。彼のメール交信データをまんまと持ってきたUSBメモリにコピーし、そ知らぬ顔でまたベッドに横たわった。

裸の男が、タオルを腰に巻きつけてバスルームから出てきた。

男とはアルバート・ナインシュタイン博士。ドイツ人だが、祖父の代にアメリカに移住し、今はアメリカの皮膚医学の研究者だ。

古地図の研究家としても名高い博士は、男盛りの40代。

学者にしてはよく日焼けし、逞しい体つきのセクシーボディ。もちろん医師としての優秀な頭脳も兼ね備えていた。

が、さすがの彼も、不二子の色香に惑わされてあの晩餐会の日以来、懇意となり、長年の研究の秘密を打ち明けていた。

「それで、3枚の地図は本物だったの?」

不二子は彼がやって来てベッドに座ると起き上がり、手を伸ばして後ろから抱きついた。

「キャプテンクックの地図かと聞かれればノーだね。」

抱き寄せながら彼はじらす。

「じゃ、偽者なの、やっぱり。」

「いいや。」

ベッドに仰向けになる博士。

「どういう意味?ウ~ン、アルバートったら、ほんとの事教えてン。」

同じようにバスタオル一枚で、ほぼ100センチのバストを相手の胸に押し付け、仰向けの博士にかがみこんで頬や顎にキスしながら聞く。

「君がこんなに古地図に関心があるとは思わなかったよ。」

「だって、昔の海賊の宝物が隠されてる地図なんでしょ、女なら誰でも憧れるわ。金銀宝石に囲まれた自分を想像するだけで胸が苦しくなる。」

真っ赤な唇を彼の耳に近づけ、そっと耳たぶを噛む。

「君が美しくなるのに必要なことなら、何でもするよ。」

起き上がって今度は彼が上になり、顔や首筋にキスを浴びせながら言う。

「じゃ、もっと詳しく教えて。」

博士はゆっくりと起き上がり、冷蔵庫に向かって行って、ビールを取ってきた。二つのコップに注ぎ、不二子にも渡して一気に飲み干す。

「あの地図は前にも言ったとおり、1枚は真っ赤なニセだが、2枚は第二次大戦後に作られた比較的新しい地図だ。」

「まあ、じゃお宝の地図じゃないのね。」

不二子はコップを持ったままだ。酒に強くない彼女は仕事中は飲まないことにしている。

「いや、キャプテンクックの地図は、もうこの世にない。」

「何ですって。」

「私が調べたところによると、19世紀に作られたキャプテン・クックの地図3枚は2度の大戦を経て全て失われ、その莫大な宝の行方を記した資料はもうない。

かの世界的な怪盗アルセーヌ・ルパンがその地図を探し出し、すでにクックの莫大な財宝を探り当てて、その宝を再び隠した。

実はありかを記す新しい地図を作ったと、彼自身の日記に書かれているんだ。私は長年の研究で突き止めた。」

「じゃ、あなたに渡したのは、その新しい地図ってわけ?」

「彼は宝を掘り出してどこかに埋めた。戦争が激化したためか、何か他の理由で掘り出すことが出来なくなったのか、子孫に宝を残そうとしたのか、新しい地図を残して亡くなった。

子孫以外には見つけられないように、ある細工を施してね。」

「という事は、新しい地図を解読すればいいのね。」

「多分、オリジナルのとそっくりに作った新しい地図にはニセの情報と、真の情報が混じっているんだ。」

「その見分け方は?」

「多分ルパンの家系にしか伝えられていない。」

「あなたは地図の解読のために、ルパンをおびきだそうと画策してきた。」

「スミソニアン博物館にあったのは私が偽者を寄付した。彼に盗ませるために。」

「ルパンは自分でも祖父の地図を持っていたのよ。なのに謎を解くことができなかったの?」

「奴は最近まで地図を一枚しか持っていなかった。ルパンが他の地図を手に入れたのはほんの最近なんだ。」

「1枚は自分が盗んだと言ってた。アフリカのウガンダにいる医者から。それを若造の泥棒が盗み、ルパンがまた取り返したのをあたしが頂いて来た。もう一枚は確かに博物館にあった物よ。」

「なるほど、それならこういう事だ、私は地図1のニセ物を寄贈した。ルパンはニセ1を盗んで、もともと自分が持っていた本物2を置いておいた。

それを知らずに君が盗んで、ルパンからもらった私のニセ1を再び博物館に戻したんだ。君が私の所へ、残りを持ってくるのも計算のうちだ。」

「何でそんなめんどくさい事。」

「私のニセ物1を奴はある目的のために手に入れる必要があった。それと私に届けたかったのさ、奴が受けついだ地図2と、ウガンダの医者の所有していた地図3を。」

「なぜ彼が直接あなたに会って渡さないの?」

「わざと君の手を通してよこしたのは、私が本物を見分けられるかどうか、謎が解けるかどうか試しているんだよ、ルパン三世の一味、裏切りの常習犯の峰不二子。」

「、、、、知ってたの、、。」

「君にお近づきになれたのも、奴のおかげだな。長年アルセーヌ・ルパンの隠し財宝を探してきた私だからね。」

「そうと分かれば話は早いわ。ねえ、あたしと手を組まない?」

不二子は博士に手を伸ばし、また博士が不二子の上に重なった。彼はゆっくりと不二子のバスタオルの前をはだけ、豊かな裸の胸に顔を埋めた。

「君がうまくルパンに取り入って宝の地図の解き方を聞き出してくれるなら、だ。」

「もう一枚の地図1の本物はあなたが持ってるんでしょ。」

「もちろんさ、私の祖父の代からの言い伝えだ。」

「何て。」

「3枚の地図を手に入れ、その謎を解くことができた者は、世界を支配する力を持つ。」

博士は不二子の体を愛撫し始めた。

この男とルパンは3代にわたる因縁の対決をしようとしているのか。一体この男の正体は何者なんだろう。ルパンは地図の真相を知っててあたしをこの男に差し向けた。大切な祖父の宝の地図をあたしに預けてまで。

彼の唇を唇に受けながら、不二子はまた戦略の変更を考えなければならなかった。

ナインシュタインのほうは、当初からある秘密の計画があった。ただ今後この女が敵に回るのか、味方につくのか、、、、、。

どっちにせよ、この女は本心から自分のものにはならないだろう。それなら一時のお楽しみもいいかもしれない、、。

この狡猾な男女はそれぞれの思惑を胸に、朝まで楽しむことに決めた。

寝室でこっそり隠しカメラが回され、ある場所に送信されている事も知らずに。

次回に続く。

追伸1:

またまたどっかで聞いたことのある人の名前。苗字のアとナの違いですが「ア」の方とは全くかかわりはございません。念のため。

追伸2:

最近ルパン三世オフィシャルマガジン20を買って読みましたら、特別インタビューのコーナーでモンキーパンチさんが、ご自分がはまってるDVDに、「エイリアス」って言ってらっしゃって、1~5まで全巻買ったって。(全巻確か40~50巻あります。)

REDもちょうどはまってまして、全巻録画取って、毎晩夜中まで見てます。

超面白いようですので、連休中にオススメ。この映画、海外のテレビドラマなんですけど、これ、またまたCIAの女スパイが活躍する話。

俺のストーリーと似た場面があるらしいですけど、言っときます。絶対ネタ取ってません。あっちの方がパクリです、ほんと。

追伸3:

そ~んなにパクリ気にすることねんだよな、ルパン三世パクッてねえのはモンキーパンチさんだけじゃねえの。

宮崎さんだって、大川さんだって、アンタの敬愛する大和屋さんだって、100パーセントオリジナルじゃねんだからさ。面白けりゃ、どんどん俺の名前使ってくれよな。

んで、楽しんじゃってくれや、世界の怪盗は何だって盗んじまうんだから、人の話盗むぐれえ、朝飯前なんだっつの!

(ルパン三世より)

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2009年4月29日 (水)

ルパン三世長編小説第3弾 「見果てぬ夢」 (14)

(14)裏切りの荒野

遮る物がないソマリア砂漠のど真ん中で、砂漠の鷹とクワリ族の男は対峙していた。

と、空が一転かき曇り、年に一度あるかないかの雨がポツリと五エ門の頬に伝い落ちた。

急に風が出てきた。青かった空に白い雲が混じったかと思うと、もの凄い速さで黒雲が湧き上がった。とたんに風はびゅうと唸りを上げ、立っている十数人の男たちの着ている白い装束やマントが風にはためく。

五エ門は斬鉄剣を手に、固唾を飲んで、この戦いの成り行きを見守った。

稲光と同時に、野獣のような筋肉男が、鉄のサスマタのような武器を砂漠の鷹の腹目がけて突き刺そうとした。鷹は敏捷に武器を同じような武器で受け止め、突き上げると同時に素早く敵の後ろに回った。

後ろから軽々と跳び上がり、今度は自分の武器で相手の喉を突こうとする。すかさず野獣は翻り、武器で武器を跳ねのける。

二人の背後、まだ遠くに竜巻が見える。この地方で特有の砂漠に湧き上がる大竜巻だ。辺りの空気が、砂で黒々と霞んでゆく。

二人の戦士は一進一退。刺したり跳ねのけたりの繰り返し。大竜巻は少しずつこちらに向かってやって来る。砂嵐で目が開けられない程だ。だが、誰もこの戦いを中止しようとするそぶりも見せない。

周りにいた一人が、はためくマントの下に武器を隠し持っていたのが、五エ門の目にちらりと映った。もう一人が小さな吹き矢の筒を持っているのも。

見れば周りを囲む全ての男が同じように、こっそりと手斧か短刀のような、手元に隠せる武器を持って砂漠の鷹の様子を窺っている。

五エ門の心に義憤が沸き起こった。これは公明正大な果し合いではない。何かの陰謀で、奴一人を謀殺するのがねらいなのだ。

一瞬の差で鷹の持つ武器が野獣の喉元を押さえつけた。何処にそんな力があるかと思われる細腕で、押さえつけられる鋼(はがね)の体躯の大男。地面に転がってじたばたと抵抗する。そのまま砂に埋ずもれるように沈む。激しい咳をする。吹き荒れる強い風で砂が顔を覆いつくし、とどめを刺さないでも窒息死しそうだ。

いきなり周りの男たちが鷹に向かって跳びかかった。

たった一人の男に、これだけの数の男が騙し討ちとは、、。

五エ門は斬鉄剣をすらりと引き抜くと、男たちの塊に突っ込み、斬鉄剣が稲光のように霞んだ空にきらめいた。目にも留まらぬ速さで切り裂き、一人残らず真っ二つにした。

けだものたちが断末魔の悲鳴を上げて倒れる中、五エ門自身も力尽きてその場に跪いた。いつもの彼ならこれしきの事で、これほど消耗するはずはなかったが。

鷹は周囲から襲われ、おそらく十数か所は刺されて血を流していたが、果敢に暴徒を跳ね返した。勇者は五エ門の足元にやって来て、跪いて訊ねた。

「怪我はないか。」

五エ門はくらくらする頭で考えていた。

命とは何の為にあるのか。このけだものたちとて生きるために殺し、生きるために欺いた。拙者も同じ。皆、縁あってここで出会ったのに。

鷹が腕を脇に差し込み、五エ門を担ごうとした。

突然、細い筒から吹き矢が飛んで来た。まだ生き残りがいたのだ。

五エ門の目にはスローモーションで動く吹き矢の毒針の先に、鷹の顔が見えた。五エ門は反射的に身を投げ出した。

それはまともに、五エ門の喉に突き刺さった。この地方にある、獣を獲る猟に使う強力な毒矢だ。

五エ門の視野は一瞬にして真っ暗になった。そのまま戦士の胸に倒れ込んで意識を失った。

次回に続く。

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2009年4月27日 (月)

映画のパクリじゃないんで、、最後まで読んでくれよな!

最近、「デュプリシティ」とか「レインフォール」とか、CIAのスパイが活躍する映画がヒットしてます。

今連載中の作品にたまたまCIAのスパイが登場したり、暗殺に巻き込まれる話だったり、日系2世が出てきて活躍したりするんで、人気映画からネタをもらってるって言われて、凄くくやしい思いしてます。

自分としては、あくまで、映画が公開される以前に作った自分のオリジナルストーリーだと自負しています。

「ルパンVS複製人間」と「失われた記憶」が全く違う内容のクローン人間ストーリーだったように、今回の「見果てぬ夢」もぜんぜん違う内容ですので、最後までご期待下さい。

なんでだよ~。映画が出来るずっと前に、原稿ができてたんだぜえ~。 

いかに自分の作品にオリジナリティを持たせるかが魅せる作品作りの醍醐味です。モノマネ芸人さんだってただマネするだけじゃ飽きられちまう。 人のネタをどう料理して自分らしさを出すかも勝負どころ。

ユウチユーブで面白い映像見つけました。ものすごくたくさんの人が「ルパン三世のテーマ」を投稿する中、まさに個性的!

一緒に楽しもうや。アリガトな、投稿者君。

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2009年4月26日 (日)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (13)

(13) 砂漠の鷹

体の痛みは心で乗り越えられる。しかし、心の痛みはこらえようとすればするほど、五エ門の清真な魂を蝕み、まるで膿を持って熱を発する刀傷のように彼を痛めつけた。

ソマリア共和国。内戦で家を失った人々が押し寄せる難民の住処。ボートを待つ数十万の老若男女。軍事政権とは名ばかりで、ほとんど無政府状態の国だ。

ケニア、ウガンダ、ソマリアと彼はたった一人、修行行脚の旅に出ていた。文明から取り残された村々を徒歩で回って。

貧しいというよりは、あまりにも悲惨な国々。内戦によって破壊された建物の瓦礫の間に未だに取り残された人々。主に10歳未満の子供、女と老人。

伝染病が蔓延し、小さな子供たちが病気を持ったまま路上で生活し、飢餓のために路上で死んでいった。

彼はここに来る前、難民キャンプの中にある診療所のボランティアとして働いていた。そこで亡くなった子供を二人ほど埋葬した。

所詮自分は、他国者であり修行者でしか生きられない、、、。

そこの医師の勧めを振り切って、再び旅に出た。あの心の痛みから逃れるには自分の肉体の限界まで身を焦がすしかない。

彼は自分なりの答えを見つけようと、この過酷な世界に踏み込んでいた。

40度以上の砂漠の熱と,飢えと渇きが彼を襲っていた。もう3日、何も食わず、飲み水といえば、ここに来る前にキャンプで分けてもらったペットボトルの水、別れのしるしに医師からもらった気付け薬用のウイスキーの一瓶。もうほとんど底をついていた。

拙者は何故、こんな所で、無意味な行脚を続けているのか、、、。

分からなかった。

ただ死んでいくだけの幾百人の虚ろな瞳は彼に向かって、何かを語りかけていた。

人は何の為に生まれ、生き、死ぬのか、、、。

彼は終わりなき旅を続けていた。死をも乗り越える何かを求めながら。

広大な砂漠の中、照りつける太陽に負け、五エ門は膝を折って、その場に倒れ臥した。

やがて見渡す限りの砂の向こうに、砂埃が上がった。それはだんだんと彼に近づいて来た。

「おい、イイモン持ってるぜ。こいつ。」

「変わった服着てるな、難民でもないようだ。」

3人組の、この土地独特の衣装を着た男たちだった。

砂漠に慣れたこの地方産のずんぐりした馬に乗っている。

「まだ生きてるみたいだぜ。服を剥ぐには早いな。」

ハゲタカのように、死ぬのを待って持ち物を奪う盗賊のようだ。

「こんな武器を持ってるって事は、奴らじゃないな。取り上げろ。」

一番年上らしく命令口調なのは、色白で優男の顔だ。あとは見るからに黒い、猛者の、悪の塊のような面ばかり。この国には種々雑多な民族や人種が住んでいる。アフリカ系もそうでないのも。

五エ門はふらつく頭でそいつを仰ぎ見た。掠れ声で答えた。

「、、、拙者はただの修行者。理由あって日本からやって来た。お主らのような盗賊にこの名刀を渡すわけにはいかぬ。」

「死んでいく奴が何をほざく。俺たちがその名刀とやらを使ってやろう。どうせここで死んだら、サビだらけになっちまうシロモノだ。」

「拙者はここでは死なん。お前たちのような盗人の風上にも置けぬ輩を退治して、日本に帰る置き土産にする。」

「何を!」

「よせ。減らず愚痴たたいても、お前は所詮、ここで死ぬ運命さ、あれを見な。」

ふと盗賊たちの背後の地平線に目を移すと、遥かな稜線に、黒い点がいくつも表れた。点は繋がって一本の曲線になり、やがて姿がはっきり現れてきた。

それは馬に乗った多数の男たちだった。目の前の男たちと似通った服装をした戦うスタイルの猛者たち。

「何をするつもりだ。」

「お前のために来たんじゃない。ここはもうすぐ果し合いの場になるのさ。儀式の前のお前は生贄だ。」

立ち上がろうとした五エ門、あまりの空腹で立ちくらみがした。斬鉄剣を握る手もおぼつかない。

「長年縄張り争いしてきた俺たちハボ族と、クワリ族がここらの覇権を決める戦いをするんだ。」

「殺し合いか。」

「まさか、そんな馬鹿なことはしない、選ばれた戦士だけが戦うのさ。」

「相撲か、ボクシングのようなものか。」

色白の男はあきれた、というように肩をすくめた。

「お前殺すのは後だ、まずは見せてやる。」

馬に乗ってやって来たのは、3人と同じ「ハボ」という部族の首領と十数人の仲間だった。

ちょうど反対側の砂丘の尾根に沿って、馬に乗って現れた集団。おそらく「クワリ」族だ。集団はこちらに近づいてきた。

二つの部族の真ん中に囲まれて立っている二人が、選ばれた戦士らしい。顔を覆っていたスカーフかマフラーのような土色の布を取った。

二人のうち、ハボ族の戦士方は燃えるような赤く長い髪、透き通ったブルーグリーンの瞳。女のような白い肌の細面。まるでギリシャ彫刻のような端正な顔立ちの、美形だった。

馬から下り、着ていたマントのような服を脱ぎ捨てると、筋肉質の均整の取れた体が黒い鎧のような堅固なスーツに包まれて立っていた。どう見てももアフリカの人種ではない。

その男は、五エ門を囲んでいる3人に向けて、よく通る声で言った。

「最後まで誰も手出しするな、今日は私が戦士だ。」

五エ門には一目で分かった。奴は本物だ。彼のように長い間、戦いを生業(なりわい)として暮らしていると、顔を見れば使える相手かどうかが分かる。

対する相手の男は、真っ黒なヘラクレスだ。筋肉だけで出来ているような骨太の腕で、ほとんど裸の肉体を誇示し、持っていたサスマタのような鉄の武器を振りあげて相手を威嚇した。

砂漠のまっただ中で、まさかこんな見世物が始まるとは、、。

二つの部族は伝統の儀式を終え、いよいよその「戦い」が始められようとしていた。

五エ門の体力は尽き果てていたが、この戦いを目の当たりにして、再び気力がみなぎるのを感じた。この戦いを機に、妙案を思いついた。奴らが戦いに気を取られている隙に、誰か人質に取って身を守るのはどうだろう。卑怯な手だが、今は手段を選んでる場合ではない。

「天は自らを助くる者を助く、、、。」

日本語で呟いた五エ門、何かの呪文を唱えているように男たちには見えた。

盗賊の一人が五エ門に、変ににやついた顔を向けた。

「あれが俺たちの首領さ。」

真っ赤な髪の方を指して言う。

「奴の名は?」

「お前知らねえのか、、。砂漠の鷹を。」

次回に続く。

お待たせしました。やっと五エ門登場です。世間では初代石川五エ門が活躍する映画「GOEMON」がもてはやされています。

純粋な時代劇ではなく、どうもCGやSFXを駆使した最近のゲーム感覚のストーリーになりそうですね。

最近の人気映画の手法として、数人の主要人物が独立して活躍し、ストーリーが平行してそれぞれに進行、徐々に絡み合っていって、最後に一つに結びつくといった筋立てが人気です。

ルパンVSコナンでもその手法は取り入れられていましたね。ルパンの話、コナンの話、蘭と王女の逃避行、、。1つの映画で3本分楽しめるというアイデア。

この「見果てぬ夢」でも5人の主役の話がしばらくは平行して展開します。それぞれの世界に浸って楽しんで下さい。自分のお好きなキャラの回だけじっくり読むとか。

でも、謎解きには全て関わってきますので、全部じっくり読むほうが数倍面白いですよ。

まだ銭形が出てきませんが、乞うご期待!

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2009年4月22日 (水)

ルパン三世長編小説代3弾「見果てぬ夢」(12)

(12)次元爆弾

次元はマディソンスクエア・ガーデンに向かっていた。

あのアジトは放棄するしかない。あいつが忍び込めたならガルベスにも知れる。それにあの正体の分からない組織の連中にもやすやすと入り込めた。あの部屋のからくりもばれたにちがいない。

それにしてもルパンは何処へ行ってしまったのか。俺が誘拐されて、戻ってきてから何日もたつのに、アジトにも寄らず、何の連絡もしてこない。正月は一緒に飲むはずだったのに。もっともこんなのはよくある事なんだが。

携帯のコール音がした。自分のではない。フェニックスと名乗った男から受け取った方だ。

「次元。先日の件は考えてくれたかな。」

「ルパンがもう1週間戻って来なかったら、考えてもいい。だが、こちらもいろいろと準備がある。せめて殺る相手くらいは教えてくれ。」

「知ってどうする?」

「俺もプロだ。相手の事を知らなきゃ、作戦は立てられん。」

「作戦は全てこちらが指示する。」

「、、、なるほど。」

「相手については調べる必要はない。君のターゲットはアメリカの新大統領、ナラク・オハラだ。」

「、、、。」

「君の相棒はある場所に我々が安全に保護している。」

「保護?」

「そうだ。君がこの計画を完遂するまで、彼に死なれては困るのでね。」

「ルパンを人質に、俺を殺人マシーンに仕立て上げるってわけか。」

「以前にも言ったが、君を一流と見込んでのオファーだ。もう一つ言っておく、君の脳には特殊なチップが埋め込まれている。世界中どこへ逃げても、我々は君を追跡できる。きみが仕事を放棄すれば、数分後に君の脳は破壊され、原因も分からない病気として闇に葬られる。」

アレルギー反応の検査とは、チップの埋め込み手術のためだったのか。自分の後頭部に、3針ほど縫ったあとがあったのを思い出した。そこを触った。混乱しかけている次元にさらに畳みかけて言う。

「君のもう一人の親友の、あの若造だが、彼にも役割がある。それまでは殺さないでもらいたい。」

「、、、、、分かった。」

携帯が切れた。

どうやら居場所どころか、今までの行動は逐一お見通しのようだ。気づいて腹がたった。俺のプライバシーはどうなるんだ!

ルパンが捕まってるとしても、そう長い間おとなしくしてるわけがない。問題は体内の時限爆弾をどうやって取り出すかだ。

最近見た映画の中で、ある男が極悪非道なボスに、携帯電話兼時限爆弾を体中に埋め込まれる場面を思い出した。ぞっとする光景だった。まさか俺がそんな目に遭うなんて、、、。

ルパンが自力で抜け出して来るまでにまだ時間がかかる。暗殺の日時はほぼ検討がつく。

3月末にある大統領就任祝賀パレードだ。暗殺の手段が狙撃ならこの時しかない。この計画を仕組んだのが誰であれ、大統領の政敵なら、一番効果がある方法を選ぶはずだ。毒殺でもテロでもない、世界中の人間が見ている前で殺す。かつての「ケネディ大統領暗殺事件」の再来。

次元がそこまで考えた時、もう一つの携帯が鳴った。

「いや、わりいわりい、おまっとさん、ちょいとヤボ用入っちまった。」

「、、、おめえ、ルパンか?」

「どうしたい?なんかあったのか?」

「約束の時間から48時間以上遅れたら、おめえの女ならこう言うぜ。」

「?」

「馬鹿野郎!!今何処にいる、心配させやがって!もう2週間だ!」

「わーるかった、わーるかったって、次元ちゃん、これには深~い理由(わけ)がよ~。」

「おめえが遅れるわけは一つしかねえ、女に入れ上げて、俺との約束を忘れた。」

「わーすれるわけねえよ。それより今はゆっくり話ができねえ、取り合えず、こっちから連絡するまで待ってくれ、それから合言葉の変更。」

「女の名前はやめろ。」

「ジャッカルなんてどう?」

「ケネディを殺した男のコードネームがか。趣味の悪い映画見やがって。」

「いい名前じゃねえの、お前にピッタリ、決まりだ。ところであのボウズに鈴つけたか?」

「ああ、お前のイモムシ、アイツの上着の裏にちゃあんと張り付いてら。」

「OK。あ、それと、俺が連絡するまでに、リモコンヘリ一台用意しといてくれ。目的地の地図を送る。ボストンだ。」

ルパンはその後、メールでいくつかの暗語(別の意味を示す暗号がわりの言葉)を指定した。

「よし、やれ!」は「そこはだめよ。」

「ちょっとまて。」は「そこよ、そこ。」

「右につけろ」、は、、。「助けにこい。」は、、、。多すぎてメモにでも取らなけりゃ忘れちまう。とりあえず写し取って、メールは消去だ。

そこで次元はふと思った。どうやらルパンは奴らに捕まっていない。これ以上長話すれば俺の体内にある装置で、ルパンの居場所を知られるおそれがある。それにもし、ルパンに自分が脅迫されている内容を話せば、俺を助けるために、今張ってるヤマを振り出しに戻そうとするだろう。

暗殺の日までまだ日がある。それまでに何とか、俺の脳内にあるチップを取り出せば、ずらかっても問題はないわけだ。自分のした事の始末は自分でつける。

そう思って、彼はルパンに秘密を打ち明けるのをやめた。

次回に続く。

注:ナラク・オハラって有名なあの方の名前と似てますけど、この話はあくまでフィクションです。実在の人物とは何ら関わりありません。ご存知かと思いますが、念のため。

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2009年4月19日 (日)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (11)

(11) 合言葉

俺は殺し屋じゃない。今さら金で雇われて人殺しなんかする気は毛頭ない。ただルパンの消息を確かめておきたかった。あいつらの言うことが出任せかどうか知りたい、ルパンがほんとにどっかに連れ去られたなら、仲間になったふりして行方を捜し、救い出すつもりでいた。

あの一味はギャングやシンジケートではない、何か巨大な組織を感じさせた。俺を拉致し、解放するまでの鮮やかな手口は、今まで出会ったどんな凶悪な組織のやり口にも似ていなかった。

誰を殺そうというのか。そもそも暗殺の手段が他になかったのだろうか。あんなに巨大な組織なら、銃で撃つ以外の何らかの手が打てるはずだ、俺を薬で殺さなかったのも不思議なくらいだ。

アジトに誰か入ってくる音が聞こえた。この場所を知ってるなら不二子かルパンしか考えられない。

明かりをつけずにソファーに寝転んでいた次元は、戸口に立っている男に聞いた。

「合言葉。人生は?」

「華麗なる暇つぶし。」

「俺の好きな野球チームは?」

「レッドソックス。」

「お前の好みの女のタイプ。」

「女なら誰でもいい。」

「よし、入りな。ついでに明かりつけろ。」

ルパンが明かりをつけようと入り口の壁にあるスイッチを押した。とたんにガタンと大きな音がして、入り口の2畳分の床板が落ち、ぽっかり穴があいた。彼らのアジトには必ずこの仕掛けがしてある。

「お前やっぱりネズミだな。」

次元が穴に向かって覗き込む。ネズミは穴にはかかっていなかった。腕時計の明かりで穴を探す次元の真上から覆いかぶさってきた。敏捷に天井にはりついて助かったらしい。見たらやっぱりルパンだった。

「あ、わりい、わりい、そこにいた?」

次元にサルのようにおぶさるルパン。

「お前、自分で仕掛け作ったの、忘れちまったのかよ。」

「ああ、そうだったな。」

「おかしな奴だな、お前、誰かにとっ捕まったって聞いたぜ。」

「誰に?」

「お前がパンツ一丁で写真に写ってるとこみたら、もしかって思ったのさ。」

シケモクくわえながら、あったことを話した。次元はルパンに話せば、謎を解く鍵を与えてくれるはずと考えていた。ルパンも空港で逃げた状況と、不二子の裏切りについて話した。

「お前を捕まえた組織と俺を捕まえ損なった連中は違うな。」

次元の相手は、ガルベスの手下にしては手際が良すぎた。それに簡単に開放してくれたのには何か裏がある。

ルパンはそれ以上何も言わず、部屋の奥にある金庫に向かった。

「欲しかったのは俺たちなのか、俺たちの持ってる情報なのか、、。」

「それを確かめるためには、博士に会って、あの地図を解読してもらうより、手はねえんじゃねえかな。」

ルパンは黙って金庫についてる装置にセキュリティコードをインプットし、電子ロックのかかっている金庫を開けようとする。しかし、なぜか開けられない。

「おととい、コードかえたっていったろ。」

「そうだな、で何番だったっけな。」

「何言ってんだ、モンローのパンティの色って、お前が決めたくせに。」

「そうだな、で、何色?」

「、、、、。」

次元は黙って金庫の真ん中にあるもうひとつのダミーのダイヤルを示す。泥棒よけに作った見せかけのダイヤルだ。

「こいつを回せ。」

「?」

「回せば分かる。」

ダイヤルを回すと、金庫の扉が簡単にあいた。中を覗き込もうとしたルパンの真上から、強力なワイヤで出来た巨大な網が、蜘蛛の巣のように襲ってきた。そのまま蜘蛛の巣はルパンをすっぽり包むと、天井の四隅から立ち上がった強力な、しなう竹のような鉄の柱にハンモックのように吊り上げた。

まるで地引網に引かれた魚か、それともタコつぼにはまったタコだ。

「おい、何すんだよ、次元。」

「気安く呼ぶな、ボウズ。性懲りもなく、俺たちのアジトにもぐりこんでまた地図を盗もうってんなら、見当違いだ。」

「チクショウ、気づいてたのか。」

「好きな野球チームはマリナーズで、色はWHITEだ。」

「いつ変えたんだ。」

「お前が逃げたあと、ルパンがメールで決めた。」

「女の名前は合言葉か。」

「泥棒なら、簡単に開く金庫なんか信用しねえこった、ボウズ。」

「ボウズなんて呼ぶな、不二子の居所を教えるから、こっから出してくれ。」

「その前に正直に言いな、不二子とつるんで、博物館から地図を盗んだのはおめえか。」

「、、そうだ。」

「その地図はどこにある?」

「不二子が持ってった。」

「嘘つけ。おめえがそんなドジ踏むか。」

「俺じゃ地図が読めねえ、不二子が解読できる人に頼むんだ。」

「ルパンに渡した地図はニセモンか、どっちだ。」

「俺が盗んだやつさ。ニセモンに決まってるだろ。もともと、奴が持ってたのがニセモンなんだから。」

「お前の親父はそういわなかったぞ。」

「何で知ってる?」

「俺がルパンだからさ。」

「、、、。」

「なわけねえだろ。おめえが正直に話してくれれば、俺も無茶なことはしねえ。俺たちはシロートさんには迷惑をかけねえ主義なんだ。」

「、、、」

「どうした?」

鋼鉄の網の中でもがいていた奴がうめき声をあげ始めた。形状記憶合金でできたこの網は、もがけばもがくほど稲縄かコルセットのように強力に体を締め付けて、身動きできないようにする仕掛けになっていた。締め付けられすぎて若造は息ができなくなってきていた。

「頼む、、。」

次元は苦しむ人間の顔を見続けることができない男だった。金庫のダイヤルを元に戻すと、網は底の部分がさらりと解けた。どさりと床に転がる新米の泥棒。

よく見ると、仮面をはいだ顔の、自分の若い頃そっくり、ふてぶてしく、どこか飢えた瞳がこっちを向いていた。

「おめえじゃルパン4世にゃ役不足だな。」

こめかみに銃を押し付けながら言う。

「うるせえ、さっさと殺せ!」

「まだ、聞きたいことがある。おめえが返した地図、ルパンがもともと持ってた物だとして、何か地図のことで不二子に聞かなかったか。」

「別に。」

「不二子が持ってるのはおめえと一緒に盗み出した地図と、ルパンから取り上げた地図だが、他に地図を持ってるとか、、、。」

「俺が知ってるのは「博士」って人しか、あの地図が本物かどうか分かる人はいないってことだ。不二子はその人のところにいる。」

「なるほど、でお前は何で、金庫の中身が知りたいんだ。」

「あの地図は全部ニセモンだ、それに3枚揃わなけりゃ、意味がないんだ、つまり俺にニセモンを掴ませ、残りの一枚ももう手に入れてるんだろーが。」

「中見てみろ。」

次元は立ち上がって、セキュリティコードをインプットし、ダミーの脇にある本棚の形をした本当の金庫の蓋をあけて中を見せた。

空っぽだった。

「罠にはめたな。」

「という事になるのかな。」

次元にそっくりな若者はとたんに跳ね起きて次元に蹴りをかました。が、空発。敏捷によけた次元は持っていたマグナムでそいつの頭と腕を思い切り何度も殴った。力なく崩れおれる青二才。

「修行してきな、若いの。」

「ニセモンつかまされた不二子が黙ってると思うかい。」

へらへらと笑い、切れた唇の端をなめながら言う。

「あれは本物じゃねえ。俺は何度も調べた。あぶり出しだって事までは分かってたから、丹念にあぶって。だが、浮き出た地図はどこの国の地形でもない、出鱈目だ。キャプテンクックの印のドクロもない。」

「おめえが分かるのはそこまでさ。俺たちは上をいく。今度俺たちにちょっかいだせば、命の保証はねえぞ。」

「俺は何度でも来るさ。お前らが地図を解読して、お宝を掘り出す前に、寝首をかかれねえように気をつけな。」

次元は嘯く男の口に銃口を突っ込んだ。喉の奥へ押し込む。

「いいか小僧、この道に足を突っ込むなら、ハンパにするな。お前の命を守るモンは口じゃねえ、ビビッてる間に尻の穴からでも逃げ出す方法考えるんだ。」

物も言えず、目を白黒させてる男を蹴り倒した。

「あばよ、ボウヤ。家業ついでギャングにでもなっとけばお前を殺さずに済むかもな。」

蹴り倒された男は再び反撃に出た。ナイフ片手に無謀にも向かってきた。次元はうんざりしたといったふうに手を振った。

「まだやるのかい、ママのお膝に座って甘えたほうがいいんじゃねえか。」

投げつけたナイフが次元の頬をかすめ、後ろの壁に突き刺さった。マグナムの口から火が出て、天井のボタンに弾が当たり、水ではなく激しく煙が出始めた。火災報知機が鳴った。部屋に煙が充満したと思ったら、次元は消えていた。

あいつは邪魔な俺を殺すことも、捕まえてサツに突き出すこともできた、、、。

ルイスは初めて、今まで出会ったこともない強大な敵に身震いした。

「おもしれえ、ルパン三世に次元大介、お前らを絶対超えてやるぜ。」

にやりと笑ってカラ元気。

次回に続く。

次元母の会、友の会その他熱烈な次元ファンのあなた、申し訳ございません。大変下品な次元を書いてしまいました。本来の彼はもっとフェミニストで繊細な、ダンディな男です。今、危機に瀕して神経質になってるだけです。

こんな話はいやだ、、なんて思わないで最後まで読んで気を取り直してくれや。かっこいいシーンこの先用意してるかんな。

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2009年4月16日 (木)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (10)

(10) スナイパー

次元は朦朧とした意識の中で、幾度となく妹の名前を呼んでいた。3つ年下の幸子だ。

夢の中は故郷の秋田の町だった。

秋祭りのお囃子の笛や太鼓が響く中、夜店の前を歩いていた。9歳の彼はおどおどとあたりを見回しながら、人ごみを抜けて、どこかへ行こうとしていた。何かを探しながら。

ふと気付くと、一緒にいたはずの幸子が人ごみにまぎれて見当たらない。大声で妹を呼んだ、何度も、何度も。

振り返ると、幸子は指を噛みながら、大きな瞳で彼を見ていた。彼に劣らずおどおどとあたりの様子を伺っていた。

目の前に眩しい灯りのついた夜店が見えた。探していた店だ。

「おい、何してんだ、孤児(みなしご)が!」周りを取り囲んだのは町のワルガキ3人だった。

反射的に地面にしゃがみ、泥を掴んで投げつけようとする彼を、3人はもみくちゃにした。彼は大声で悪態をついた。奴らの手を振りほどき、幸子の腕をつかんだ。

「走れ!」

そこで彼は自分の声に驚いて目覚めた。あの医務室だった。

ここは、一体何処なんだ。俺は何でこんな事に、、。声を発することも出来ず、混乱したままの次元。

「血圧、心拍数、脳波異常ありません、ドクター。」

そばにいた看護士がきびきびといった。

「結構。アレルギー反応も良好だ。」

「おい、俺に何をした!」

ベッドから跳ね起きようとする彼の四肢には、厚い皮製のバンドが取りつけられベッドに貼り付けられていた。さらに激しく抵抗する次元。白衣を着た医師がやって来て言う。

「落ち着いて聞きなさい。我々は君の命まで奪ったりしない。静かに話を聞いて、こちらの条件を受け入れてくれれば、解放してあげる。」

四肢の枷がゆっくりと外された。

次元がベッドから起き上がると、そこはそのままソファーに早変わりし、病室は暗くなり、正面にある白い壁がスクリーンになって、突然映画が始まった。それは次元の思い出したくない記憶を蘇らせる映像ばかりだった。

世界に一つしかない金貨を狙って軍事政権国家に潜入。脱出までの時間はあとわずかだった。遅れて脱出する次元のために、ルパンが道しるべがわりに荒野にばらまいたのは彼の愛銃、コンバットマグナムの部品。

敵のガンマンの追撃をからくも避けながら、それをひとつひとつ拾い上げ、組み立ててついに敵を倒した。もちろん国境の門が閉まる寸前まで、ルパンは彼を信じて待ち続けていた。

世界一のガンマンとの死闘。かつて世界一と謳われたミネソタ・ファッツは、彼のトレードマークの帽子を全て焼き捨て、騙し討ちにしようとした。奴は雪山で自分が撃った一発の拳銃の音で、引き起こされた雪崩に巻き込まれて命を落とした。

そこまで映像が進んだとき、背後に医師とは別のスーツ姿の男が現れた。

「ようこそ、世界一のスナイパー、次元大介。」

「人違いだ。そんな凄腕がお前らみてえな薄汚ねえ根性の奴らにやすやすと捕まらねえだろう。こんな安物の映画におさまるわけねえ。」

いきり立つ様子もなく、平然とその男は言葉を続けた。

「君に会いたがってる人がいる。会わせてやりたいが。」

「女なら人違いだね。」

「男だ、君の相棒。」

次に見せられたのは、すっぱだかで大きなトランクに押し込められようとしているルパンの写真だった。あのパンツの柄はルパンのに間違いない。彼は次元のように同じ柄のを何枚も持つ趣味はない、いつものハート印のを除いては。

確か、穿いてるとこを初めて見たのは、不二子に会う前の晩だった。マリリンモンローの絵柄の入ってるのを特注したと自慢げに見せびらかしていた。唇マークのついた下品なピンク色のだ。

こんなのを穿く男が奴以外にいたら会ってみたい。そう思いながらシラを切りとおす法を考えていた。

「君が誘拐された日に、ルパン三世も我々が別の場所に誘拐した。」

「何のために。」

「君に頼みたいことがある。」

「ルパンにじゃないのか?」

「彼にもしてもらうことはあるが、君にまず、我々の計画の一部に参加してもらう。」

「、、、、、、。」

「我々はある男を君に抹殺してもらいたい。」

「、、、。」

「もし、うまくいけば、君の親友は解放し、君へは報酬を支払う。相当額のね。」

男はそう言うと小切手に金額を書きこみ、次元にそれを見せた。雇われ仕事の報酬としては見た事がないほどの高額だ。

「我々は先ほどの映像をある筋から入手した。世界中探したが君ほどの名手は、他にいない。我々の作戦を成功させる人材として、最適と考えてだ。」

「、、、次元なんて男は知らない。」

「君がこれほどの条件を断るほど馬鹿な男ではないと信じている。2日ほど猶予をやる。もし気が変わったらその間に知らせてくれ。君の親友は君が仕事をうまくやりおおせたら解放する。」

「俺が次元だとしたら、ルパン三世がやすやすとお前らに捕まるなんて信じねえな。」

「信じるかどうかは君の自由だ。」

次元は腹をくくった。

「誰を殺る?」

「時が来たら指示する。それまでは待機してくれ。」

男は携帯電話を渡した。

「これで連絡してくれ。私につながる。」

「あんたに名を聞いても無駄かな。」

「私の名はフェニックスだ。次元大介。」

次の瞬間、次元は気を失い、気がついた時は、アジトの一室だった。ベッド脇の机に愛銃もおいてあった。これは絶対に夢ではない。

だが、なんのために?誰を、、、、。

次回に続く。

だんだん次回が楽しみになってきましたね。謎解き満載のストーリーですから、最後まで読まないとストレスたまりますよ。

五エ門ももう少しで登場します。五エ門ファンの方、お待たせしてすみませんね。

注:TV2NDシリーズ第99話「荒野に散ったコンバットマグナム」と第152話「次元と帽子と拳銃と」を参考にさせていただきました。どちらも面白い話なので、まだ見ていない君、ぜひ。

次元が秋田出身とか、身寄りがなくて、妹の名が幸子というのは全くのフィクションです。妹がいるのはモンキーパンチさんのコミックの中で判明しています。

秋田出身ではないか?とするのは、カリオストロの城の話の中で、「大司教様のためならば。」というセリフの「言い回し」から作者が想像しました。秋田出身の方、「チガウヨ~。」とおっしゃるかもしれません、どうかお許しを。

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2009年4月13日 (月)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (8) (9)

(8) 軟禁

次元がボンヤリと目覚めると、そこは病院の医務室か手術室のような部屋だった。

四肢がベッドに固定され、身動きができない。白衣を着た男がやってきて、彼の顔を覗き込み、健康状態を確認しながら、カルテに何かを書き込んだ。

その後また、数人の白衣がやってきて、彼の様子を話していたが、彼の知らない言語だった。

朦朧とした意識のなかで、彼らが自分についていろいろな事を調べているのが分かった。

彼は再び、深い眠りのなかに落ちていった。

(9)       ニセ地図  

不二子は日本の自分のアジトに客を呼んでいた。アメリカの高名な化学者であり皮膚移植に長けた外科医ナインシュタイン博士。

世界中の皮膚移植学会の権威たちが京都の大学に集まって、今シンポジウムが開かれている。不二子の新しいペントハウスはその会場の近くにあった。

3枚の地図のうち、2枚を手に入れた彼女は、彼に鑑定を依頼しようとしていた。念のために、ガルベスから受け取った「本物」だという地図も一緒に。

彼は医者である他に、世界にちらばる古地図を研究するアマチュア研究家としても知られていた。19世紀に作られた不思議な地図を発見し、スミソニアン博物館に寄贈したのも彼である。

不二子は博物館の職員を装って彼に近づき、今までに様々な情報を得てきていた。

「こんな所でまたあなたにお会いできるとは。世の中不思議なものですな。」

「奇遇ですわ。私の祖父が学会に籍をおいているものですから、博士のご来日を知って、ぜひ、自宅へお招きしたいと思いましたの。」

「なんとおっしゃいますかな。」

「え?」

「そのお爺様は?」

「ええっと、京都大学の鎌田作蔵と申します。」

「あの、日本の皮膚医学の権威ですか。」

「ええ、あの、早速ですが、これをある筋から手に入れたのですが、、、。」

不二子はブリーフケースから2枚の地図を取り出し、差し出す。

「本物かどうか、見ていただけますか。」

博士は身を乗り出した。あの博物館には、これまでずっと偽者が展示されていたはずだ。捜し求めていた物が見られるかもという期待に博士の心は震えた。

不二子はその2枚とは別に、寸分違わない大きさと色のもう1枚も一緒に添えた。

博士は紙質をていねいに拡大鏡で調べた。そして首を振っていった。残念ながら、、と。つまりルパンがルイスから取り返した物も、自分がスミソニアン博物館からこっそり盗み出したものも、ガルベスから渡されたものも、全て後世の贋作者が作った精巧な贋作だと。

まんざら嘘をついているのでもなさそうだ。博士の失望の顔で感じ取った。

「3枚のうち、2枚は羊皮紙ですが、残りの1枚は明らかに、現代の技術で作り出しまがい物です。」

不二子はふと思った。もしかしたら、これらは全て、ルパンが考えた芝居ではないかと。あの次元にそっくりな若造を騙し、ニセの地図を餌にして彼をおびき出した。

同様にして不二子にニセを掴ませ、3枚揃わないと宝のありかが分からないなどと出任せを言って、ここで博士に会わせて博士の計画を探らせようとしたのではないかと。

つまり本物はまだ、ルパンの手にあるのだ。

少なくとも不二子を介して博士と接触を図ろうとしているに違いない。ルパンは博士がこの地図に関心を持っていることを以前から知っていた。ニセ地図を掴ませることで、彼の地図についての知識がどの位かを見極めようとしている。

それなら、あたしにも考えがある、、。

ところが博士はそのニセの地図を見て言った。

「しかし、この3枚がいつごろ作られたのかには興味がありますな。しばらく、これを預からせていただきたい。」

一週間のちに返却することを約束して、博士はその30センチ四方の3枚の紙をちょうど入るくらいの大きさのブリーフケースに納め、大事そうに抱えて去っていった。

不二子は博士と、その夜にある学会の晩餐会に出席することを約束した。彼と親密になり、是非とも地図の秘密を探らねばならない、もちろんルパンよりも先に。

次回に続く。

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2009年4月10日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(6) (7)

(6)誘拐

 「だから女の名前はよせって言ったんだ。」

次元は珍しくいらついていた。ルパンとのお宝探しが、今度もまた不二子の割り込みで最悪な事態を招きそうな予感がした。

それに今、彼には怪しい奴らの尾行がついていた、7人も。彼の銃は6発しか発射できない。いくら早撃ち0,3秒の彼でも、弾を込めなおすには1秒以上はかかってしまう。

1発で2人、、、どう料理するか、、。

バーボンウイスキーをしたたかに飲んだあくる朝、携帯にメールが入っていた。

「次元、あたし寂しいわ、、、マディソン・スクエア・ガーデンで待ってるから。リンダ」

なんで俺を呼び出すのが女の名前なんだ。それもカレンとか、モニカとかリンダとか、、。スコッチとかラオチュウとか他にいろいろあるじゃないか。やな名前だぜ、全く。

過去の苦い思い出が脳裏をよぎる。

彼がルパンの指定した広場のベンチに座ってから、数分でさらにいやな予感がした。

ビール缶片手の職人風の男、よたってるホームレス、口紅を拾い上げてる女、となりで居眠りしてこけそうになってる老人、広場で清掃にあたってる制服、みんなこっちの気配をうかがってる。

あと2人は次元が歩き出してからこの5人に加わった、町を歩いてる二人の警官姿。こんな数の尾行にあったことがなかった。

全員をまく自信はあったが、誰がなんのために仕組んでるのか知りたくもあった。

ビル街が入り組んでる2ブロック先までゆっくりと歩いた。思ったとおり7人は彼の歩調に合わせてついてきた。

ビルに挟まれた狭い路地の一角。次元は立ち止まる。人の気配が数人。

次元はゆっくりポケットに手を入れ、ライターを取り出した。タバコに火をつけるふりしてあたりを伺う。まだ取り囲む気配はない。

口にくわえたタバコに火をつけ、そのまま道端に放り投げる。タバコが激しい火花を放って炸裂し、ネズミ花火のように回転した。煙があたりに充満する。

次元の黒い帽子が煙の中に掻き消えた。

はっと気づいた尾行の男たち、煙の周りを取り囲む。煙の中に次元がいないことに気づいて、あたりを探し回る。

一方、次元、ビルの角に潜んでいた女の口を素早く押さえ、後ろから羽交い絞めにする。激しく抵抗する女。次元は拳銃を突きつけ、耳元で囁く。

「静かに俺の話を聞けば、命は助けてやる。」

こめかみに当てられた銃にびっしょりと汗をかく女。

「これでもフェミニストなんだ。が、性悪女には容赦しない。あんたのボスは誰で、目的は何だ?」

突然後ろから背の高い男に銃を突きつけられた。もう一人尾行がいたのに気づかなかった。

「我々におとなしくついてきてもらえば分かる。」

男の腕をひねり上げようとして掴むと自分の手首がちくりとした。薬を打たれたらしい。猛烈な眠気がおそってきて、次元はその場にくたくたと倒れた。

(7) 女スパイ

   

「ねえ、君、ほんとに俺と会ったことない?」

ベッドにすっぱだかで横たわるルパン。もちろんあの後、ずっと裸でいたわけではない。今脱いでいるのは不二子とはまた別の女性のために、である。

次元にメール送った後、安宿に帰ってみたら、階を間違えたとか言って、カワイコチャンがこの部屋に紛れ込んでいた。

せっかくなので、色々とナニしようと口説いているうちに、つい成り行きでこうなったわけで、次元には約束の時刻に遅れた埋め合わせはするつもりだ。

扉を半ば開けたまま、隣でシャワーを浴びているのは栗色のストレートヘア、キュートなダイナマイトボディーのアジア系美人。日本人かもしれない。すりガラスに映るボディーラインをうっとり眺めるルパン。

「そうね、空港のどっかだったかしら。」

「フライトアテンダントなら、なん回か日本航空の便の中で会ってるかも。」

「あなたみたいなセクシーな人、そう忘れるわけないわね。」

「俺、有名人だから。」

「あなた、もしかしてテレビに出たことない?日本で。」

「まあね、そうちょくちょくじゃないけどさ。」

彼女は色っぽいシナを作りながら、タオルを巻きつけてベッドへやってきた。彼は彼女の腰に手を回して引き寄せる。

「あ。思い出したわ、三人で歌ってるグループの「猜疑心」の一人。」

「ざ~んねんでした。俺、歌わない、どっちかつうと俳優ね。」

「あ~山田ヤスオのモノマネしてる、あの人。」

「刷多贋一?」

「違う違う、彼はルパン三世のモノマネでしょ。」

「俺、ルパン三世のモノマネも得意よ。」

「え~じゃ、マネしてみて。」

「つうか、本人なんだけっども、、。」

「またあ、あなたみたいなハンサムボーイ、あんなサル面にぜんぜん似てないわ。」

「うれしいね、素顔でそんなコト言われたのは初めてだな~。」

キスしようと彼女に迫るルパン。

「あなたの付き合ってきた人、見る目がないのね、」

言いながら上目遣いに彼を見つめ、隠し持っていたオーデコロンのビンから液体を吹き付けた。あっという間にベッドにひっくり返るルパン三世。

彼が動かなくなったのを確認すると、フフと笑って女は枕元に置いた彼の携帯を手に取る。用心のために電源を切っておく。

「大泥棒も女には弱いらしいわね。」

バッグの中から自分の携帯を出して連絡する。

「こちらピンクパンサー。ターゲットは捕捉した。国外には出ていない。」

連絡を切ったその手をルパンが掴んだ。小さな鼻栓が二つポロリと落ちた。彼女の携帯を取り上げ、楽しそうにいう。

「君みたいに可愛くて、純真な女の子、俺好みなんだ。さっきの続きがしたいけど、その前に君のボスに会いたいな。」

「会ってどうするつもり。」

「まず、しつこく俺をつけまわしてるわけを聞く。次に忠告して、お仕置きする。俺を怒らせっとどんな目に遭うかってな。」

彼の目が光り、眉がつりあがる。

後ろに跳びすさる女、手には小型のピストルが。ずり落ちそうになったバスタオルを必死で手で押さえる。ルパンとたんに顔がくずれる。

「せっかくいいコトしようってのにそんな危ないもん、しまっときなよ、俺、君のためなら何でもするからさー。」

女が銃を発射しようとすると、ルパンはすでに抜き取っていた弾倉を彼女に投げ渡した。そして撃ってくれというように両手を挙げた。

「降参するからってボスに言ってくれ。」

「ほんとに?」

「その前にさっきの続きしてかない?」

ビンタ張られる前に今度はルパンが後ろへ飛びすさった。下もすっぱだか。もちろん下半身は元気いっぱい、準備OKだ。

彼女が顔を真っ赤にして横を向く。

「じゃ、後でゆっくり考えるとして、取り合えずこれで連絡してくれや。」彼女の携帯を返す。

「何て。」

「ルパンを捕まえた。今からあんたのアジトまで連れていくってね。ついでに外で見張ってるこわ~いおっさんたちに、とっとと帰れって言ってくれる?ピンクパンサーちゃん。」

「私の名はカレンよ。」

カレンは、ただちにボスへ連絡を取った。

次回に続く。

あっという間に第7章まで来ました。なかなか面白いアクションシーンまでたどりつかないんで、退屈してる君、もうちょっとだかんな、我慢して読んじゃってくれや。

さて、金曜ロードショー「ルパン三世VS名探偵コナン」について、感想を書いたサイトを見つけたぜえ、読んでみる?

いいこと言うねえと思うやつもある。

批判は批判でもいいが、俺的には、プラス思考でいきたいもんです。よりよい作品を作ってもらえるように、ルパンアニメのスタッフさん、作り手さんにも納得してもらえる書き方をしたいね。

グーグル検索による「ルパン三世VS名探偵コナン」の感想ブログ入り口

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2009年4月 6日 (月)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」(4) (5)

金曜ロードショーを見逃した君のために、とっておきのプレゼント。この話を最後まで読んでから見てくれ。

(4) ライバル    

空港の待合室のトイレの個室で、本物のルパンは下半身パンツいっちょで震えていた。

もちろん、3時間ぐっすりと眠っているほど馬鹿ではない。睡眠薬で眠ったふりをしながら抜け目なく不二子と友達の女に盗聴器をつけ、大きなトランクには内側から鍵を開ける仕掛けを取り付けておいた。

トランクが空港の荷物を運ぶベルトコンベアーに乗り、別室に入ったところで脱出。が、さすがに裸では目立ちすぎる。通りかかった空港のポーターを捕まえて服を脅し取ったのはいいが、ズボンをもらい損ねた。ポーターを追いかけてる間に、美女を見失った。

「ヘエックショイ!今日13日の金曜日?天中殺?」

トイレの個室で不二子とガルベスの会話を盗聴する。

「クソ、俺の名を騙って、めんどくせえ仕事勝手に引き受けやがって、、、。」

その頃不二子、変装を解いて、友人を空港で探す。不二子の友人は出発ロビーで待っていた。

「ルパンに逃げられたわ、まんまと。」

「一応想定内の事態よ、これも。」

「あの黒服たちはなんだったの?」

「あなたが追ってる組織の連中。」

「ルパンも狙われてるの?」

「今、彼を欲しがってる組織はごまんといるわ。ひとまず今日は日本に引き上げ。」

「待って、あの人、あたしたちをじっと見てるけど、、。」

次元がこちらに向かって歩いていた。

「不二子、ルパンの居所知ってるか。」

「あら、あなたたち、一緒じゃなかったの?」

「連絡が取れないんだ。見つかったら教えてくれ、ここで待ってるから。」

市内のホテルの住所を書いた紙切れを渡す。

不二子は気づいた、コイツは次元じゃない。にっこりと受け取って言う。

「用があるなら、どうどうと素顔であったらどう?彼はあなたみたいな小物には会ってくれないかも知れないわよ。」

「ちぇ、ばれちまったか。ルパンに言ってくれ、どっちが世界一にふさわしいか、賭けしようって。」

「賭けるものがあるの?」

「お宝の地図は俺がいただく。最後にお宝のありかをみつけたモンが世界一の証拠さ。あんたがルパンに寝返って、俺を裏切ったことを後悔させてやるぜ。」

(本物の地図はアタシの股の間よ。)大股にかっこつけて去っていくルイスの背を見送りながら、不二子はほくそえんだ。ガルベスがくれたのが本物なら、だ。

一方、空港トイレにこもって聞いていたルパンも、にっと笑って独り言を言った。

「ただお宝を見つけるだけじゃ、ホントの世界一とはいえねえんだぜ、ボウズ。」

数分後、トイレ掃除にやってきたおっさんが、下半身パンツいっちょの男が個室から出てきたのに驚いた。彼は愛想よくおっさんに手を振って出て行った。

不二子とその友人は日本に向かって飛んだ。

(5) 美人捜査官

  

真夜中の旅客機の座席。並んで会話する峰不二子とその友人のブロンド美人。

「ジョアン、ほんとにあたしに協力してくれるんでしょうね。」

「もちろんよ、あたしたちはずっと友達よ。今、CはIに借りを作りたくない。ぜひLを逮捕し、Iに引き渡して今までの借りを帳消しにしたいの。」

CはCIA、IはICPO。Lはもちろん例のあの彼。

「あなたと古い馴染みで良かったわ。彼が捕まってくれたら、あたしはずいぶん仕事がはかどるし、あなたはあなたで、お手柄昇進ものだしね。」

「うまく彼を捕まえられればね。」

「アンデスでの作戦は痛かったものね。」

「麻薬取締りの作戦は振り出しにもどるわ、助っ人で入った仕事であいつを逃がすわ、、あれがもとであたしはリストラされちゃったのよ。」

「彼を恨んでるの?」

「まあね。知恵比べで負けたのは私のせい、仕方ないわ。で、今は派遣なの。この仕事がうまくいけば復帰できるかも。リベンジは考えてる。」

「あなたみたいな凄腕を手放すなんて、Cは馬鹿よ。」

「政府も財政難なんでしょ。」

ジョアン、本部との連絡用につけていたペンダントの盗聴器兼発信機の電源をオフにしたかを確かめながら言う。

あの時不二子は銭形を欺くルパンの作戦を知りながら、彼女にそれを知らせなかった。

あの時点ではまさか、CIAのエージェント「ジョアン・スミス」が、かつてのミネアポリス射撃訓練学校での同期生とは気付かなかった。

アメリカで知り合った不二子の旧友だったが、写真を見ても気付かなかった。かつて小麦色の彼女の肌の色はなぜか濃い赤銅色に変わっていたからだ。今見ても別人と思ってもいい位だ。

「銭形って女に弱いってデータ出てたけど、全然あたしの言いなりにはならなかったわよ。」

「あなたに魅力がないって事じゃないの。そういう男なのよ。」

「あんな男に命がけで付き纏われて、Lはよく捕まらなかったわね。」

「捕まったんだけど、逃げちゃってるの。かれこれ数十回。手錠を掛けられたのはもう、無数。」

「あなたも一味だったんですって。今度は脱獄の手助けなんかしないでよ。」

「分かってるわ。」

「ところで日本で何するつもりなの?」

不二子は昨晩手に入れた厚い羊皮紙の地図を、太ももに巻きつけ、その上にストッキンングを履いて隠していた。親友にもその秘密は漏らさなかったが、そっと自分の腿に手を置きながら答えた。

「ある秘密を知ってる人に会うの。」

実はもう1枚もすでに手に入れていた。スミソニアン博物館にあったのをルイスと一緒に盗み、以前ルパンがくれたニセモノと摩り替えて博物館に置いた。その後ルイスには不二子手製のニセをつかませておいたので、ガルベスから戻って来たのが本物かは怪しいが。

ルパンがくれたばかりの1枚と、自分で盗んだ1枚。ガルベスからのは果たして本物か?地図は3枚揃わなくてはとルパンが言っていた。後は本物かどうか鑑定できる人物に会う必要がある。

ルパンを捕まえたがってるCIAの友達と出会ったのはラッキーだった。彼を捕まえてくれたら、脱獄するまでに時間が稼げる。今回は彼と組めないわけがある。この大航海時代に作られた宝の地図は、昔、アルセーヌ・ルパンのコレクションだったらしい。

その孫は地図をくれても、不二子にはその謎は明かさないだろう。彼の祖父に対するリスペクトは不二子への愛情を超えていた。彼女は今までの経験からそれを知っていた。もしニセモノを掴まされたなら、自分で本物を見つけるつもりだ。

それに最近のルパンは、得体のしれない連中にしょっちゅう命をつけ狙われてる。今までもそうだったが、アジトさえ狙われるようになった。あたしがうまくやって日本の警察の安全な檻に入れとかなきゃ、謎を聞き出す前に殺されちゃう。

一方、ジョアンは、ルパンと接触しようとしているニューヨークマフィアを一網打尽にする任務を負っていた。ルパンを追えば、奴らの居所が分かる。またはルパンをつかまえて日本の警察に協力し、ギャングのアジトを探ることが今回の彼女の仕事だった。

当初の計画ではトランクにつめたルパンを、日本で待っている銭形に引き渡すはずだった。それが失敗した今、彼に協力してもらってルパンを捕まえる必要があった。

ジョアンは銭形と過ごしたあのアンデスの山小屋の一夜を思った。一晩中あんなに迫ったのに、彼はついにあたしをものにしなかった。あんなに男気のある、ナイーブな男に彼女は出あったことがなかった。

見かけはよくても、一皮むけばケダモノのようになる男を彼女はいやというほど知っていた。肌の色や外見だけで人を判断するような人間も大勢見てきた。

彼は違っていた。あの日以来彼女は、しきりと銭形のことが思い出された。

注:ジョアン・スミスと銭形のアンデスでの馴れ初めは、ルパン三世小説「告白のチャンスは一度」の方に書いていますので、より深く楽しみたいあなたは、右サイドバー、小説のコーナーよりお入り下さい。

金曜ロードショー「ルパン三世VS名探偵コナン」良かったらご覧下さい。

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2009年4月 3日 (金)

ルパン三世長編小説第3弾「見果てぬ夢」 (3)

(3) ギャングの思惑

      

ケネディ国際空港。

搭乗口でニセのパスポート「異船見張留(イセンミハル)」を差し出す変装した不二子。後ろにはもちろん例の不二子に変装したブロンド美人が「富士峰子」のパスポートを持って連れ立っている。

搭乗口から出ようとした二人に、6人のスーツ姿の男が立ちはだかる。

「何か。」

「すみませんが、パスポートに不備があります。空港詰め所まで、ご同行下さい。」

慇懃だが、断固とした口調で、その中の一人が言った。

「何か書類上のミスでも、、。」

6人の男は空港詰め所とは反対方向へ二人を誘導しようとする。

不二子、連れに目配せして小声で言う。

「これ、空港のガードマンじゃない。あなた先に行って。例の物頼むわね。」

不二子鮮やかな手つきで近くにいた男にパンチを食らわし、両側の男に鋭いケリを入れ、近くにあった公衆トイレに駆け込む。女性用だ。ブロンド美人は不二子が男を相手にしている隙に、搭乗口から発着ロビーへと滑り込んで、悪者をまいた。

不審な男たち、いっせいに不二子のいるトイレに駆け込む。中にいる数人の女性たち、男たちの手に持っているピストルに驚いて、悲鳴を上げて逃げ去る。

不二子男装から素顔に戻ろうとするが、間に合わない、あっという間に入り込んだ男たちに外へ連れ出された。

「なんの用だ。」

「抵抗しなければ殺しはしない。お前に会いたがってる人がいる。日本に帰る前に会ってもらう。」

昔会ったことがある。が、思い出せない。

スーツ姿の男たちに囲まれて不二子はあたりを見回した。幸い、不二子に変装した友人は捕らえられてはいないようだ。ひとまず安心して一緒に用意された車に乗った。

目隠しされて1時間。どうやら同じ場所をぐるぐると回ってから、とある屋敷についた。

案内された場所は、ヨーロッパの家具調度品が所狭しと並べられた、豪邸だった。

「久しぶりだな、ルパン。」

現れたのはガルベス。ニューヨークマフィアの重鎮。以前ルパンが痛い目にあわせたことがあり、銭形ら、ICPOに捕らえられ、1年ほど臭い飯をくらった後、保釈金を積んで出所していた。もちろん足を洗うつもりなど毛頭ないに違いない。あれから時は過ぎ、長いこと会っていなかった。

積年の恨みを晴らすつもりだろうか。

「何のことか、分からんね、俺は日本から商用で来た。」

「とぼけなくとも分かってるさ、ルパン三世。お前があのお宝を追って、アメリカに来てることも、スミソニアン博物館にあるもう一枚の地図を狙ってあのアジトに住んでたことも、お見通しなんだ。」

一文字に噛み締めた口の端を歪めて言った。

「用は何だ。宝の地図は夕べこそ泥に持って行かれた。もう俺の手にはない。」

「分かってる。実はお前にその地図を返す。」

「、、、。」

「お前が今持ってるやつはニセモノだ。こっちが本物で、あともう一枚のありかもわしは突き止めた。」

「ニセモノってどうして分かる?」

「盗んだ奴が教えてくれた、わしの息子だ。信用できる。」

「ル、、、俺が逃がした男はお前の息子か。」

「いい男だろう、わしの女に生き写しだ。アイツがお前から地図と車を盗み出したと聞いて、わしがどんなに愉快だったか、、、。」

「手短かに用件を言ってくれ、飛行機に乗りたいんだ。」

「本物を返すから、わしの頼みを聞いてくれ。あんたを男と見込んで、頼みがある。」

「?」

「わしの息子に、泥棒になるのをあきらめさせてくれ、、。」

「、、、。」

「話せば長い話になる。わしはあんたを宿敵として組織を立て直し、恨みを晴らすつもりでいた。ところが跡取り息子がわしの願いも聞かず、家を出て行った。

今は中古車会社のバイトだ。この不景気で解雇され、高級車の窃盗なんぞで、警察のご厄介になっとる。そこらのゴロツキどもと変わらん。

何とか、わしが立ち上げた組織をあいつに継がせたい。」

「俺にどういう関係がある?」

「あんたを崇拝してるんだ、よりによって、世界一の泥棒になって、あんたを打ち負かすなんぞと嘯いてな。」

「俺でなくても、、、」

「あんたでなくてはいかんのだ、世界一の泥棒のあんたになら、あいつをあきらめさすことが出来る。」

「孝行息子に後を継がせるなんて夢を、お前があきらめるんだな。」

「この地図が欲しくないのか。」

「それが本物なら、。」

「本物だ、そのしるしが、この地図には記されている。」

ガルベスはルパンが持っていた物と寸分変わらない厚い皮のような紙を取り出して偽ルパンの不二子に渡した。

その時、バタンと部屋の戸が開き、その孝行息子が入ってきた。手には自動小銃を抱えていた。

「親父、俺を裏切ったな、もうお前ら組織の人形にゃならねえ。」

「地図が欲しいなら、力づくで奪って行け!」

ガルベスは発狂したかと思うような形相で、そばにいた手下を使い、息子の足元に弾をあられのようにぶち込んだ。不二子は身軽にその場に伏せ、家具の間に体をすべり込ませて防いだ。

親子で骨肉の争いが始まった。戦場のような轟音とともに蜂の巣ができる室内。弾切れした跡取り息子めがけて襲い掛かるマフィアたち。ついに押さえつけられ、羽交い絞めされ、銃を取り上げられた。

「これ位で済むと思うな、クソ親父!」

息子は大勢に押さえられた腕を振り解くと、ドアを蹴飛ばして出て行った。

穴だらけの部屋の隅からガルベスが立ち上がる。

「頼む、わしの願いを聞いてくれたら、この地図だけでなく、ルーイが盗んだもう一枚のありかも、、。」

「約束が果たされたら、確かにもらう保証は。」

「あいつがわしのところにもどって来さえすれば、あと1枚をあんたのアジトに届けさす。」

「なぜ、地図をくれる?」

「ギャングが持っていても仕方がない。わしにはその秘密を解く力はない。宝が見つかるかどうかはあんたの力量しだいだ。」

「なるほど。」

「あんたのアジトはもう奴らに嗅ぎ付けられているかもしれんが、ルーイさえ戻ってくれれば、連絡をつける。」

「奴らとは?」

「今に分かる。」

「俺がルパンじゃなかったら。」

「その辺は抜かりない。あんたがルパンだろうと無かろうと、必ずルパンには伝わる。」

「分かった。この件承知した。」

ニセルパンを空港へ送ったあと、ガルベスと子分たちは思案した。

「ボス、あのルパン三世が、うまうまと罠に引っかかるとは思えませんぜ。」

「だが、犀は投げられた、どっちみち奴は本物の地図を手に入れただろうからな。」

「時間を省いてやったってことですかい。」

「若大将にはこの話は伝わっているんですかい?」

「いや、あいつは本気だ。そこがこの芝居のミソなんだ。分かるかお前ら。」

そこでギャングたちはほくそえんだ。

次回に続く。

注:イセンミハルはルパン三世の偽名の一つで、モンキーパンチさんの作品に登場してます。ヤクザです確か。フジミネコはご存知「ルパン三世VS名探偵コナン」に出てた不二子の偽名。この名前じゃ、偽名の役割をほとんど果たしていませんね。

ガルベスはご存知、ファーストコンタクトに出てくるギャング。

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2009年3月31日 (火)

ルパン三世長編小説 第3弾 「見果てぬ夢」 (2)

ルパン三世長編小説「見果てぬ夢」 (2) 

星が瞬くイブの夕方。地球が暖まってしまったせいか、雪が降らない。

ニューヨークから少し離れた片田舎、セレブ族のセカンドハウスなどが立ち並ぶ別荘地。その一角にある、ごく普通のカントリーハウス。ここならアブナイ奴らの目を何とか誤魔化せるかもしれない。

バーボンのグラスを傾けながら、ほっと一息する泥棒二人。

次元はもちろんモクで。ルパンはロックが好みだ。冷凍庫に頭を突っ込むルパン。

「やっぱ、氷はこれでなくっちゃな。」

「おっと、南極の氷なんかの買い出しの付き添いはゴメンだぞ。絶対命がなくなる。」

「お・ま・か・せ。見なよこの完璧な武装。」

ドアを全開し、中を見せる。

ナイトホークス社にあった「アイスキューブ」と、MIX社製の「女神の涙」が仲良く並んで冷凍庫におすわりしていた。

一瞬、凍りつく次元。咄嗟に蝉のように、部屋の隅の柱に張り付く。

「何考えてんだ、こんなトコに。俺を道ズレにする気か!」

「氷だよ、氷。何、凍り付いてんの。五エ門に頼んで作ってもらったあれさ。」

「、、、、脅かしやがって!」

胸を撫で下ろす。

「爆弾なんかで人殺すほど、落ちぶれちゃいねえよ。集める趣味もねえ。」

アイスキューブを取り出し、グラスにポンと投げ込む。

「なんとか地図は取り戻せたが、あの若造の足取りはつかめたのか?」

「、、、、、。」(うまそうに飲んでるだけ。)

「ダッシュボードなんかに入れとくから、こんな目に遭うんじゃねえか、お前が盗難に遭うなんざ前代未聞だな、天国の爺さんに聞かせてやりてえよ。」

「いやあ、車ってキーだけで動くもんじゃないのねー。」

「あたりめえのこと言うな。」

「お前の面した奴が運転代わってくれるっつから、任せたたわけ。カワイコチャンに声かけてる数分の間よ。そいつに鍵渡すのを思い出す前に、車走っちゃってたもんね、俺お前がてっきり気利かして車移動して待っててくれると思ったんだよね。」

「どうやって車動かしたか気がついたころには、先様はトンズラしてらっしゃったてわけか。」

「わずか5分ほどで、配線つないでエンジンかけるなんざ、お見事。射撃の腕はからっきしだけどよ。それにアイツ、お前に化けて俺に近づくなんか、粋じゃねえの。俺てっきりお前の息子かと思ったぜ。どっかで、イイコトしたんじゃない?心当たりない?」

「ない。」

「ほんとに?」

「俺は誰かみてえに、女にはがっついてない。」

「いい男にはいい女が似合うってっけど、お前の周りには女なし、色気なしだもんなー。」

「お前に言われたくねえ。」

「それはそうとせっかくのイブだってのに、女っ気なしじゃ、つまんねえ。どっかこれから行ってパアッとやろうぜ。」

「不二子はどうした?いい男がついたのか?」

「俺との約束反故にして、あの宝の地図のことを詳しく調べたいからって、外国いっちまった。」

「どこへ?」

「アフリカの、ウガンダ。五エ門も一緒だと。」

「あいつがお前の誘い振り切るなんてヨッポドのわけ有りなんだろ、ま、俺はあんな疫病神いなくて幸い、このバーボンとさえいられりゃ、何処だって天国さ。女なんか掃いて捨てる程いるってのに、お前が今だにあんな性悪女と腐れ縁が切れねえのが、俺には不思議だね。」

「誰が性悪女なの?」

見れば不二子が白い毛皮のコートを身につけ、胸元あらわなドレスを覗かせながら、入り口に立っていた。

「あらま、ふ~じこちゃん、いらっしあい、ずっと待ってたのオ、寂しかったのオ。アフリカに発ったんじゃなかったの?」

横で次元があきれた顔をした。

「それがヤボ用が入ってね。」

「五エ門は?」

「あの通り究極のマイペース男でしょ。パスポートとビザ取ってあげたら、さっさとどっか消えちゃったのよ。ルパン、お宝の地図とり戻してくれた?」

「モチロン。」

取り出した例のモノ。先日、あの若造から奪い返したばかりだ。古い羊皮紙に描かれた宝の地図のはず。だが、なんの絵もかかれていない真っ白なただの紙だった。

「何よ、これ、またニセモノ掴まされたのね。」

「世紀の怪盗がなんの根拠もなくモノ盗むと思うかい?」

そばにあった100円ライターで羊皮紙をさっとあぶる。それは「あぶり出し」だった。

「長い間人から人の手へ渡った地図が、おいそれと解読できるわけねえよ。仕掛けが色々施されてると考えたほうがいいんじゃねえか?」

あぶりだされた地図は、見たことがない地形をしていた。倍率も分からないその地図の地形を世界中から探しださなければ何も始まらない。不思議にも、冷えるとまたもとの白紙だった。

「アフリカ沿岸の地形だって、どうして分かるの?」

「この地図の出所が、証拠さ。」

19世紀、東インド会社が、アフリカ南端を回って中国とアヘンの取引をはじめ、莫大な利益をあげたことは歴史に名高い。中国産の金銀が船団に積み込まれ、アフリカ沿岸を回ってヨーロッパの繁栄をもたらした。

アジアの香料や金銀と、のちにはアフリカの奴隷で、ヨーロッパとアメリカの発展が築きあげられた。

その頃の船は今と比べれば、信じがたいほど、初歩的な技術で作られていた。羅針盤や正確な地図もなく、嵐やハリケーン、座礁のために志なかばで沈んでしまう船も多かった。

20世紀始め、スエズ運河が開通するまでは、アフリカ沿岸を回るのがその当時は一番安全で、分かりやすい航路だった。

その貿易の黄金時代に座礁し、難破した多くの船に詰まれた財宝を、当時最高の船団を持っていたと言われるクック船長が、掘り出してどこかに埋めたという伝説がある。

その場所を示す地図は「キャプテン・クックの地図」として世界の海賊に名前が知られていた。あのスターゲイトでさえ、ありかを探し求めているほどの財宝の地図である。

今もなお、その地図は行方知れずになっていた。

「もしこれが、「キャプテンクックの地図」なら、解読すれば、あたしたち死んでも使い切れないほどの大金持ちになれるのね。」

不二子は無邪気に言った。頬が紅潮してきた。お金の話をすればするほどきれいになる女だ。

「これが3枚全部そろえばね。」

「じゃまだ、なんの値打ちもないのね!」

「そうねー、他の1枚は、スミソニアン博物館の展示室に「大航海時代の謎の地図」として納まってたがね。あ、不二子、俺の作った地図のニセモンどうした?」

「あなた持ってたんじゃないの?えっと、昨日のニュースよ、確か、今までにおいてあった本物が、ニセの地図に摩り替えられてたって。、、ていうか摩り替わったかどうかは分からないけど、資料室や展示ケースが荒らされたらしいわよ。」

なぜか不二子はしどろもどろだ。

「俺たちが捕まえそこなった新米の泥棒が、多分盗んでいったんだろう。」と次元。

「天下のルパン三世がそんなチンピラにまさか、抜け駆けされて引っ込んでいるわけないわよね。」

ルパン、だんだんと痺れを切らし始めた。不二子のそばにすり寄っていく。

「フ~ジコオ。ちゃんとお宝持ってきたし、そろそろ、、、、。俺ホントに命捧げちゃうから、ね、ね。」

「俺、帰って寝る。イブにはゆっくりコイツと過ごしたい。」

バーボンの瓶を持って、部屋から出て行こうとする次元。

「じゃね、モテモテのガンマン。あの若造の顔写真見せてあげましょうか。」

不二子が取り出したのは警察署発行の、お尋ね者のポスターだった。

ルイス・K・鎌田。日系2世。ニューヨークで窃盗を働く泥棒。おもに自動車の窃盗で犯罪暦数十件。1度刑務所に入っていた。ごく最近高級車の窃盗で捕まった際、警察官に発砲し、そのまま逃走。ざっとそんな話が載っていた。

次元に顔立ちや背格好がそっくりで、あご髭をつけたら次元2世とルパンが言っていたのはまんざら嘘でもなかった。

「次元よオ、そういうわけだから、そいつのコトはまた、ゆっくりとな、、。」

もう完全にさかりのついたオス猫。こんな晩は仕事の話にならない。

「けえっ、勝手にしな、この仕事下りるぜ、不二子がかんでる仕事はお断りって言ったろ。」

あかんべえする不二子の間に入って取りなすルパン。

「まあまあ、次元ちゃん。」

次元はバタンと戸を閉めて出て行った。

「こっちは究極のKY男ね。、、、ねえ、ルパン、今夜はあたしと、、。あなたのためにドレスアップしてきたのよ。」

不二子は着ていた白いゴージャスな毛皮をぬぎすて、ロイヤルブルーのサテンドレスの前をはだけるようにして、ソファーに座った。

「もちろん、一緒にイブの夜を過ごしてくれる約束、果たしてくれんでしょ。」

横から手を伸ばし、不二子に抱きつかんばかりのルパン。腰を抱かせながら、唇を払いのけ、微笑みを浮かべる不二子。

「ウフン、、あなたにとっておきのワイン持ってきたの。」

シャトー・ル・パン1969年もの。ビンテージワインだ。ルパンはワインには女同様に目がない。

トロトロにとろけそうな顔のルパン。

「じゃ、ひとまず乾杯ね。」

ワインをあけ、グラスに注いで、乾杯。

「もう一枚の地図の場所、あたし、知ってるのよ。でも、、。」

赤いルビーの様なワインを片手に、不二子の腰を抱くルパン。

「こんな夜はそんな事より、あなたとあの夜みたいに過ごしたいわ、、、。」

言うが早いかルパンは着ている服を脱ぎ捨て、、、というか蝉が脱皮するように服から抜け出る。パンツ一丁で不二子に襲いかかる。

「地図はあげるから、ふ~じこちゃんの大事なお宝みしてチョーダイ、、、。」

バコン!

最後まで言わせず、後ろから何かがルパンの後頭部を直撃した。目から火花を出して気絶する。

殴りつけたのは、いつものボクシンググローブではなく、ソファーの後ろに隠れていた別の女のフライパン。

長めのブロンド、目はきつい感じ、肌は赤銅色の、彫りの深い美形。

「不二子、ここまでしなくてもいいんじゃない?彼、事情を話せばおとなしく捕まってくれるかもよ。」

さっきワインに入れた、強力な睡眠薬の効き目を確かめる不二子。

「いいのよ、後でゆっくり話すから。あと3時間くらいは眠ってるから、その間にそのトランクに詰めて空港まで運ぶのよ。」

大きなトランクが用意されていた。

ブロンドの女はそっとルパンを抱き起こし、シャツを着せようとする。眠ったままのルパンの腕が豊かな彼女の胸をまさぐる。ぐっすり眠ってる男のいやらしい手をはたくブロンド女。

「mmmm、、フジコオ、、。」ZZZZ。

「チョットオ、あなた着せてくれない?」

美女はまるで汚いものでも見るように気絶した裸のルパンを見る。

「このままじゃ、まずいかしら。彼、このカッコでも十分生きてると思うけど。」

「そうね、風邪なんかひかない、不死身の男だもの。」

顔に似合わず、無慈悲な女たち。

「気絶してる男って気持ち悪いわ。」

「あなた、男嫌いがなおってないわね。」

「あなたこそ、男の趣味悪いのはなおってないのね、コレほんとにあの、世界一の泥棒なの?」

「悪かったわね、彼の良さを分かる女なんてそんなにいないわ。」

「不二子ゾッコンなの?」

「まさか、彼の方が、よ。」

ルパンは裸のまま大きなトランクに詰め込まれた。不二子はルパンに変装し、女は不二子に変装して、そのカントリーハウスを後にした。

「急がないと飛行機に遅れるわ。」

次回に続く。

出ました。不二子の「オヤクソク」。

これが出ないと、カメハメハ光線の出ないドラゴンボール、「印籠」の出ない水戸黄門みたいなモンです。

最初に出しときゃ、最後にはもう出ません、、絶対。

先日のルパンVSコナンでもちゃんとやってくれました。日本全国8000万のアダルトの皆様、お楽しみいただけましたか?

注1:18世紀に実在したキャプテンクックは、19世紀には死んでました。アフリカ沿岸を荒らした海賊ではなく、イギリス海軍の船長で、世界一周をし、途中でオーストラリアとニュージーランドを発見しました。この「キャプテン・クック」はフィクションです。


注2:1969年ものがビンテージワインかどうか作者は知りません、「神の雫」かなんかを読んで確かめてくれ。

芸能人の方からのトラックバックありがとうございます。大変ありがたく思いますが、原則、「ルパン三世」についての記事をお書きになって、トラックバックをお願いします。サイトを拝見させていただき、削除させていただく場合もございます。あしからずご了承下さい。

なわけで、田代まさし様ごめんなさい。

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2009年3月28日 (土)

ルパン三世VS名探偵コナンの感想&新連載第3弾長編小説!

今日の記事の最後のところに、金曜ロードショー「ルパン三世VS名探偵コナン」の感想書いてるから、興味のある君は読んでくれ。

ルパンVSコナンより面白いって言わせてみせるぜ。

ルパン三世長編小説 第3弾 「見果てぬ夢」

(1) 偽者対決     

暗闇の中で、二人の男が対峙していた。一人はトレードマークの帽子とあご髭、一人は額の狭いサル面。一人は椅子に縛りつけられて、一人はその男の額に銃をつきつけて。

「殺れよ。」

縛られた男は不敵な笑いを浮かべて言った。

「そうせくなって。天国の階段も地獄の門も、思ってるより楽な道じゃねえぜ。」

「俺があんたなら、引き金にはちゃんと指かけとくな。」

「お前がホントの次元でも、俺はやるときゃ、やる、例のモン出しな。」

次元に見えた男は、今度は凍った笑みを浮かべた。

「次元なら、こんなとこでやすやすとお前につかまったりすると思うか?」

「かもな。」

サル面でもみ上げのある男のほうは余裕の笑みを浮かべて言った。

「俺はどっちでもいい、お前が本物だろうとなかろうと、返してもらう。」

「ポケットだ。」

座っている男の上着の内ポケットを探し、細く巻いた30センチ長さの筒状の紙とそれにクリップでとめてあるメモ用紙を取り出す。ざっと中身を広げて確かめる。

「確かに返してもらった。これでお前は用済みってわけだ。ごくろーさん。」

サル面はそう言うと、今度こそ引き金に指をかけた。

「くそオ、お前ルパンじゃねえのか!」

「悪かったな、騙しはお互い様さ、あばよ、地獄の門はあちら。」

そう言いながら、ワルサーをこめかみに押し付けようとする。次元はそれより早く、後ろ手に縛られていた縄を解き、暗闇に転がった。すでに数時間かけて隠し持っていたかみそりで縄を切っていた。

ワルサーは火を噴くかわりに「ルパン三世」のテーマのメロディーを奏でた。

ピストル型をした目覚まし時計だった。

「ワリイ、ワリイ、びっくりした?もうライターは流行らねえんじゃねえかと思ってさ。」

次元は起き上がって冷や汗を拭いた。そして本物のルパンに向かって言った。

「お前、俺の事、ニセもんだと思ってるだろ。」

「もちろん。」

「本物の次元ならとっくにお前殺してるはずだからな。」

そう言うと次元の格好をした男は、いつの間にかすり取った本物のワルサーをルパンに向けた。

「あ、よしなっつの、シロートはそんなアブナイモンで遊んじゃ。」

空砲が1発、立て続けに実弾6発、暗闇で壁に弾が弾く音が聞こえた。

夜目のきくルパン、男がめくらめっぽう撃ちまくる弾を巧みに避けて後ろからたちまち羽交い絞めにした。

頚動脈を圧迫すると、意外とあっさり男は銃を取り上げられ、そのままだらりと体をルパンに預けた。

ルパン、男の正体を知ろうとして腕時計の明かりをつけ、帽子を取り、次元の顔のマスクを剥ごうとした。

その顔はマスクではなかった。つけ髭をとったらまるで若者に戻った次元。

しばらく、ルパンは男の顔に見とれ、思案する。男の身元を探ろうとポケットをまさぐる。その間、気絶した男の顔はたちまち人間の色と思えないほど、どす黒く変色していった。

「しまった!締めすぎちまったか!」

ルパンはあわてて唇を近づけて人工呼吸を始めようとする。

するとまた不思議なことが起こった。

どす黒く、死体のようになった顔がぱっちり目をあけ、ニタリと笑い、口をきいた。

「やめろや、男とキスする趣味ねえから、、。」

あっという間に男は起き上がってアジトの高窓に駆け上がった。

「ルパン三世なんて、大した玉じゃねえな、そいつはあんたから盗んだニセモンだ。今度こそ必ず本物をいただくぜ。!」

本物のルパンの本物のワルサーが、最後の1発、火を噴いた。

男の目の前に、くもの巣のようにひび割れが入った。いつのまにか二人の間には防弾ガラスの薄い面が衝立のように邪魔していた。ガラスが粉々に割れて崩れ落ちる。

まずニヤリとしたのはルパン。それを受けて平然と笑い返す次元のニセモノ。

その男は背中側のぶ厚い窓ガラスを蹴飛ばして破り、でかい猛禽類のツメのような金具を取り出して窓枠にかませ、そこからゴムひものように太いワイヤロープをのばして、15階のビルの最上階から下へバンジージャンプで降りていった。まるでスパイ映画のヒーローだ。

ルパン、窓際に引っ掛けられた金具を見てあとを追おうとする。すでに男は地上にたどり着き、そのままビルの前の道路を横切って軽々と去っていった。

とたんに部屋に明かりが点き、部屋の隅に隠れていた本物の次元が立ち上がる。彼の前には同じような透明な防弾ガラスが立って彼の身を守っていた。

「今度のヤマも、きついぞルパン。」

「キツくねえヤマなんてな。ま、とにかく、お近づきにはなれたわけだ。アイツなかなかいい度胸してる。タマだけは気をつけようぜ。」

次元、ルパンのズボンの股に穴が開いてるのに気づいて言う。

「お前より腕いいかもな、もうちょっとで大事なモンに大穴あけられるとこだぜ。女泣かす道具がなくなっちゃ、色男が台無しだ。」

「至近距離から6発もぶちこんどいて、ゴメンナサイも言わないで行っちまうなんて、あの野郎ただじゃおかねえど。」

「発信機はOKなのか?」

「おうよ、今試してるとこ。」

さっそくパソコンをつけて確かめるルパン。

ルパンが新米の泥棒につけた発信機は正常に作動していた。奴の居所はニューヨークのブルックリン。ここはそのビルの一角、ルパン三世のアメリカでの秘密アジトの一つだ。

「おい、お前に付いてるぜ、イモムシ。」

見ると、あの若造につけたはずの盗聴器兼発信機の端末がルパンの胸にバッジのように付けられて光っていた。

「こりゃいい、お前追跡していい女捕まえるってか。」

次元は腹をかかえて笑った。

「お仕置きじゃ、たらねえな。」

「お前相手になかなかやるじゃねえか、同業者がいるとやりにくくなるな。」

いきなり破れた窓から、ヘリの機体が見えた。と思ったら見知らぬ覆面の男が自動小銃で狙っている。

「やべ、伏せろ!」

二人は目の前にあった透明なガラスを盾にして身を守った。しばらくすると今度は小型の爆弾らしきものが放り込まれた。

部屋が爆発炎上する間に、ヘリは高度を上げて去っていった。

跡には黒焦げの死体ふたつ、、、。

ではなく、15階のアジトの床下に作ってあった秘密の部屋に転がり込んだ泥棒ふたり。

「つか、最近やたら多いね、こういうの。」

「お前、普段相当悪いことしてんだろ。」

「きつくねえヤマなんか、って言ったの誰だい。」

「お前だろ。」

次回に続く。

昨日の金曜ロードショーどうだった?面白お~、って人とベツニ~イって人、様々なんじゃないかと。

俺的には、面白いけど、色々詰め込んで無理してんなーって感じがしましたね。

色んな要素をたった2時間に詰め込みすぎ。会話の面白さはあったけど、アクション、推理ともに、物足りなさが残ったねえ。おせち料理のつまみぐい。オイシイトコだけちょっとずつ、、って感じ。

他の人のサイト見たら、作り手の「遊び」を感じたって人もいました。

確かにキャラの個性を浮かび上がらせるおしゃれな会話は良かったですね。特にコナンとルパンがコーラの自販機を前に会話するシーン。

まあ、あれだけの個性的なキャラ総勢をちょっとの出番で光らせるのは脚本も大変だったでしょう。

毛利小五郎役の神谷明さんがさすが一流の声演でした。「ルパンが化けた小五郎」の声を完璧に演じられていて凄かった。ルパンになりきってましたね。

最後のオチ。コナンを知り合いの船(なぜか潜水艦)にのせて見送ったあと、ルパンが自分の携帯電話=潜水艦のリモコン自爆スイッチ(、、、と視聴者には見せかけてるけど、実はただの携帯電話だったりして。)の選択項目を”消去”ではなく”お気に入り”にしたところが抜群いいセンス。

こういった小技がところどころ効いていたのに、肝心のストーリー全体に迫力がかけていたのが惜しい。

ストーリー展開のスピート感とか、間の取り方とかも、いつものルパン三世と比べてもったりしててコナンペースの展開だったような気がします。コナンならこれで普通。

ルパン作品としてはキレがたりない。魔法のランプのように場面の移り変わりにドガンとメリハリがついて欲しい。

コナンの推理も今一つ。何か、うならせるものが足りない。あっと驚くどんでん返しの推理を披露してくれると期待してました。

色々書きましたが、このアニメを作った皆様に感謝。俺たちルパンファンの神様です。

なんやかや言っても、ちゃんとファンサービスに徹して、お子様にも、日本全国8000万のアダルトにも楽しめる「オヤクソク」を用意してくださってありがとござんした。

俺の話も、ま、読みに来てくれや。待ってるぜ。

追伸:右サイドバーにYahoo!動画のルパン三世作品無料視聴サイトを設けました。かなりたくさん無料で見られるよ。ただし、無料の作品はコマーシャルを無理やり見させられるんです。

いやな君は、買うしかないかも。

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2009年3月15日 (日)

ルパン三世VS名探偵コナン 面白かった?

昨日の「ルパン三世 VS 名探偵コナン」面白かったかい?

予告編は予告どおり削除したぜ。見たい人は右サイドバーへ。予告編をあとから見るってのもなかなかオツなもんです。

さて、GREENからのお知らせです。

やっと超大作の長編ができました。

第3弾ルパン三世長編小説「見果てぬ夢」。

この作品は、いろんな意味で、今までのルパンアニメの「パクリ」です、わざと。

そこここに、ルパンアニメの名セリフや名場面を意図的に取り入れました。GREEN VS REDの真似じゃありません。

このブログに訪れてくれる君のために、あの場面、あのセリフをもう一度思い出して、再び古い作品のよさを再発見していただきたいという、作者の願いからであります。

あれ、このセリフどっかで聞いたっけ、とかこの場面あのアニメのシーンだったよな、などと懐かしく思い出していただいて、昔のビデオやDVDをもう一度楽しんでいただける、、そんな風に書いてみました。

アニメ監督様、脚本家様、モンキーパンチ様、著作権侵害などけっしていたしておりません。むしろ、先生方の作品をより親しんでいただいて、売り上げを伸ばすために貢献したいと思っております。

んなわけで、連載は3月28日(土)から開始。

61章まであります。完結までに半年くらいかかりますが、飛ばさないで毎回見に来てくれよな。(NHKの連ドラよりすっげえなー俺。)

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2009年3月13日 (金)

ちょっと気になるあのヒロイン特集・最終回「エレンとの悲恋を胸に秘めて」

すご~っく迷っちゃいました。最終回は誰にするか。ベスト5人ではなく、ベスト10人てことにしとけばよかったのですけど。

最終審査に残った人は6人。ルパンの最初の恋人、コーネリア。TV2ND「私が愛したルパン」に登場。父親、ゼルにゾンビにされても、なおルパンを愛し続けた純情一途な美女。彼女は確か、次元に撃たれて死んだのでしたっけね。

リンダ。次元に殺されたボンバーリンダではなく、TV1STの第3話「さらば愛しき魔女」のほう。彼女は「第3の太陽」という花の麻薬のいわゆる中毒になり、悪党に撃たれ、業火の中で非業の死を遂げます。

ソフィー。ご存知「天使のタクティクス」の女殺し屋。ルパンを毒殺しようとするが、反対にルパンのことを好きになり、、。彼女も親分のスパイダーエミリーに口封じのために、銃殺される。

なんか、ルパンが愛する女って、不二子以外は全部、死んだり、殺される運命みたい。

あ、でもこの人たちは違いました。「トワイライトジェミニ」のララと「デッド・オア・アライヴ」のオーリエンダー。

どのキャラクターも凄く魅力があって、愛おしくて、一人一人の話をしたいのですが、今日はこの人、「ワルサーP38」のエレンの話をさせていただきます。

Eren1

実は「ワルサーP38」という作品は私にとってはルパンアニメ中で最も好きな、お墓に持って入りたい最高の作品なんです。

ストーリー全体を比べたら、他にもっと質の高いのがあるんですけど、この作品の中に出てくるルパンのキャラは、もう、しびれるほどかっこいい、「硬派」。

ぜんぜんおちゃらけやおふざけがなく、アクションもいけてるシーンがたくさんあって、何度も巻き戻ししちゃうほど。全編アクションといっていい作品の中でも、エレンとルパンが戦うシーンがすごくかっこいい。

特にしびれるのは、暗殺組織タランチュラの悪党どもとルパンが素手で戦うアクションシーンと、エレンと相棒になったルパンが島からの脱出前夜、部屋の中で過去を語り合う、あのシーン。

あなたは憶えてますか。

「俺は過去にケリをつけに来た。」と言い、部屋を出て行く寸前に、カレンにチラとウインクする場面。

思わずルパンを抱きしめたくなります。

あれ以来、私はルパン三世道に踏み込みました。私の永遠の恋人。こんな男、世界中探したっていない、エレンもそう思ったんじゃないかな。

あの時の、あのルパンの声は、山田さんじゃ絶対できない。栗田さんの声でなきゃ。彼のあの低く感情を抑えたイケメンの声は、カリオストロの時の山田さんをはるかに超えました。

GREEN VS REDの時もあの声を意識してらっしゃったように思います。

エレンは最後に銀の銃を持った悪党「ドクター」に撃たれて死んでしまいますが、きっとルパンの胸に抱かれて、少しの間でも幸せに天国へ旅立てたことでしょう。

凄腕の殺し屋と泥棒。何にも束縛されず生きているように見えるけれど、実は、ある呪縛から逃れられなかった。

エレンはあの人殺し集団から、ルパンは過去の自分から。

泥棒である以上、常に命の危険にさらされる。人の目をごまかしながら生きていくしかない泥棒だからこそ、エレンの夢見た「真の自由」への憧れを、彼自身も痛烈に感じたに違いない。

その思いを共有できる唯一の女。きっとエレンが生きていたら、不二子以上に素晴らしい人生の相棒になれたかもしれないのに。

それにしても、ルパンに抱かれて死ねるなんて、あ~ん、うらやまし~。うらめし~。

気になったことが一つ。あの作品の最後に島のガスをたくさん積んで帰るんですけど、あのガスどうなったんでしょうね。タランチュラの毒、誰か解毒剤作ってくれたのかな?

不二子とルパンの手にもうクモ印がないところをみると、毒はもう効かなくなったんでしょうね、めでたし、めでたし。

このアニメのキャラデザイナーは木崎文智さん、脚本は米村正二さんです。木崎さんはルパンファミリー全員をストーリーにふさわしい、かっこいい顔に描いてらっしゃいます。数々のルパンアニメの中で、このルパンの顔が私は特に好きです。

(残念ながら懸命に練習しましたが、私にはルパンの顔も、エレンの顔もぜんぜん描けませんでした。もう3ヶ月ほど修行します。)

米村さん、もう一度こんなかっこいいハードボイルドな(超高級浪花節?)ストーリー書いていただけませんか。きっと大人のファンが倍増すると思いますよ。特に20~40代の女性FANがね。

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2009年3月 7日 (土)

名探偵コナンVSルパン三世、楽しみですね~。27日ですよ、お忘れなく

このところ、ちょっと間が開いてしまいました。でもたくさんのアクセスをいただき、あっと言う間に15000をはるかに超えてしまいました。いつも来てくださってありがとう。

コナンとルパンの共演楽しみですね、3月27日夜9時から忘れないでね。(もしかして、7時からっていったかしらね~。どうやら、お子様も最近は遅くまで起きてるからね~。もうちょっと早く始めてよ!)

話は違いますが、CS2で、土曜日の夕方5時から、1時間、「ルパン三世・特選」というのをやっています。今ちょうどやってる最中ですので、ヒマな君、見るべし。

どうもTV2の中の人気のある作品を紹介するようです。ようですというのは、私も今知ったところなので。

今やってるのは「スケートボード殺人事件」。なんか名探偵対決の話というのは、27日を意識しての放送?

なわけないか?

ま、面白い作品ですので見てね。ルパン作品には少ない推理物です。

さて、このブログの予告編。

GREENは今第3弾の長編小説の中盤あたりまで完成してます。今回もまた、ものすごいどんでん返しの、なが~い作品です。

今回は後半を端折るなんてしないといってます。

謎解き、推理冒険モノです。当然アクションもありますが、1、2作とは違ったテイストで行こうと思ってます。ワルサーP38のような、ハードボイルドな話。(悲恋あり?)

あんまりおちゃらけない、まじめな話にしたいと言ってますが、なにぶんルパンが主役では、無理かも知れません。(笑)

乞うご期待。多分連載は3月27日前後から始まります。よろしく。

追伸:ルパン三世に関する人気のサイトをご紹介。「るぱんくらぶ」私のブログと名前が似てるけど、お間違えなく。情報だけでなく、いろいろ遊べます。右サイドバーから入ってみてね。

ところで私のURLはなぜかlupinでなくてrupinなんですよ。るぱんくらぶさんはえらい!ちゃんと綴り正確ですね。(ここだけの話、URL登録する時うっかり間違えちゃったんです、ニセモノのルパン三世が。)

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2009年2月28日 (土)

ちょっと気になるあのヒロイン第4弾・ルパン三世とオスカルの競演!

、、、てこれから先の話じゃありません。

(オスカルをお絵かき練習したんですが、まだまだ、修行が足りず、自作は公開できません。)

1979年。すでに大ヒットしていたあの池田理代子さん作、「ベルサイユのばら」のオスカル・フランソワと過去に、ルパン三世は共演していたのです。知ってた?

ちょうどテレビ2NDシリーズと平行して、「ベルサイユのばら」のアニメも大ヒット。そのころのテレビで一世を風靡していた、ルパンとオスカルの共演なんて、当時は夢でしたね。

「え?ウッソー。」てか。

ホントよ。ルパンオタク本NO1の、「ルパン三世研究報告書」によると、TV2NDシリーズ第101話「ベルサイユは愛に燃えた」。

予告編で山田康雄さんが「わっ!あのオスカルに会っちゃった!」とおっしゃたのを今でもおぼえてます。ドキドキでした。

この話はプロの脚本家が作ったのではなく、ルパン三世100回放映記念に、一般公募された話の中から選ばれて、プロが脚色した作品のようです。当時は子供だったので、ぜんぜんそのいきさつは分かりません。

面白かったぜ、ベイビー。見てない君、ブルーレイディスクのTV2NDシリーズを是非手に入れるべし。もう予約販売始まってるよ。

あらすじざっと言うと、マリーアントワネットの宝冠を盗みにベルサイユ宮殿へ侵入したルパンが、オスカルになぜか、出会ってしまう。ルパンは彼女のために宝冠を盗み、そこに隠されていた秘薬をオスカルにわたす。

オスカルは昔石像にされてしまった恋人アンドレの元へ行き、その薬を飲んで、自分もともに石像となって永遠の時を生きる、、。

ロマンチックですね~。ルパン作品にしては少女マンガ。おばさんもおじさんもだ~いすき。

その当時、違う作家の、違うジャンルやテイストの、超人気のキャラどうしが共演することはほとんどご法度じゃなかったんでしょうか。

スポンサーとか、製作映画会社とか、コミックの出版社とか、いろいろ超えなければならないハードルがあったはず。

いくら素人の応募作品で、発想はいけてても、なかなか実際に実現は難しかったんじゃないでしょうか。

作品としては良かったですよ、今見ても。オスカルとアンドレの恋に、ルパン三世の盗み道との絡みが生きてたから。

今、コナンとルパンのコラボが実現しかけています。ていうかもう作品は公開されるだけになっています。ここまで来るのに、スタッフの方たち、ホントにご苦労があったと思います。

「まぜるなキケン!」というサイトも見かけました。そもそもルパンとコナンてぜんぜん客層が違うのに、大人の楽しむルパンとお子様人気のコナンを掛け合わせていいとこどりに見せようとしても、化学反応起こしていいとこが消えちゃうんじゃないかと。

今までのそれぞれのイメージを壊さないで欲しい、、、。これがファンには一番の願いです。

このプロジェクトには2年の時間をかけられていて、特別チームの編成でアイデアを練られたと聞きました。コナン側のチームとルパンに長年携わってるチームが知恵を絞って、お互いのよさを損なわない、しかも、老若男女、オールラウンドな層に楽しんでもらえるストーリーにするために。

クリカンさんがおっしゃてましたよ。ファミリーで一緒に見られるルパンになったって。

「サザエサン」みたくはなって欲しくないけど、まずはコラボが実現したことをよしとしましょう。見て「ナンジャ、コリャー。」となっても、それはそれ。

ルパンアニメには常に冒険がつきものです。

かつてオスカルに恋したルパンが、今度は誰に恋しちゃうのかな、蘭ちゃんでも、園子でもいいけど、あの、女刑事には近づかないでね。それと妃絵理さん、平治の彼女にもね。

まてよ、、、。全員でてくるだろか、、。

乞う、ご期待!

ひさびさに、ルパン三世笑劇場「ルパンVSコナン」

ルパン「犯人はお前だ!ボウズ。」

コナン「そりゃ俺のセリフだ、おっさん。」

ル「真実はいつも一つ、、、、とは限らねえぜ。」

コ「目に見えるものだけが真実とは限らない、だろ。今日は風船に化けてないみたいだがね。」

ル「おっさんて言うな、生意気なボウズ。お前がガキに変装してるってことはお見通しさ。」

コ「俺はガキじゃない。だが黒の組織を見つけるまではこの変装はとけないんだ。」

ル「なんなら、俺がお前に変装して、もとにもどる薬、盗んでやろうか。」

コナン「蘭に手を出すなよ。」

ル「分かったから、ワルサーを俺のパンツから出して、引き金から指を離せ。」

コナン「その前に、俺の体を地面におろしてよ。」

ルパン「あ、わーるかった、わるかった、お前足どこにあんの。」

コナン「あのな、中のタマを2つとも抜いてやろうか。」

ルパン「どっちのタマだい。」

コナン「もちろん本物。」

ルパン「ちょっとオ、このブログ、お子様でも読める話じゃなかったのオ!」

作者「いや、ルパン三世ファンにはこの程度の下ネタは不可欠です。」

これ以上続けると、コナンファンからひんしゅくを買うので、REDはここで幕をしめます。あとは二人でとことん対決してね。

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2009年2月21日 (土)

ルパンとコナンの競演、ついに実現!

日本テレビ開局55年記念・読売テレビ開局50年記念
『ルパン三世VS名探偵コナン』

↑ここからルパンネットワークにお入り下さい。

ルパンネットワークにそう書かれてたってことは、そうでしょう!

長いこと待ち望んでいたあなた、ついに実現しますね。

たんなる噂話だとばかり思っていましたが、公式なサイトに書かれているので、本当だと思います。

3月27日(金)に放映。テレビでです、もちろん。

以下はライブドアニュースにあったという記事をブログサイト「何でも紹介」さんからいただいてきました。ブログの管理人さん、ごめんなさい、勝手に拝借いたしました。私のブログの記事も取っていっていいから許してね。

国民的アニメ「ルパン三世」と「名探偵コナン」の夢対決が実現する。日本テレビと系列の読売テレビの、それぞれ開局55年、50年を記念した「ルパン三世VS名探偵コナン」で、3月下旬のゴールデンタイム(午後7~10時)に2時間超で放送予定。原作漫画の出版社と原作者が異なる2作品のコラボレーションはアニメ史上初めて。常識破りの対決が話題を呼びそうだ。

作品では、ある国の王室をめぐる事件の解決に乗り出すコナンと、その王室に伝わる秘宝を狙うルパンが出会い、対決する姿を描く。

主人公の2人はもちろん、峰不二子や銭形警部、毛利蘭や毛利小五郎ら両作品のおなじみのキャラクターも総出演する。

中谷敏夫プロデューサーは「アニメ界のあらゆる常識と障害を乗り越えて実現した企画。スペシャル番組にふさわしい作品」と話している

これまであった「マジンガーZVSデビルマン」(73年)などのコラボは、原作者がともに永井豪氏だったから実現した。しかし、ルパン三世はモンキー・パンチ氏(71)で、名探偵コナンは青山剛昌氏(45)。原作の出版元も双葉社と小学館と異なり、各方面の許諾が必要だった。

壁はまだあった。ルパンが幅広い年齢層から支持されているのに対し、コナンは少年少女向け。作風や劇中で使われる曲調も大きく異なり、どちらかのイメージが強くなるとファンの反発を招く可能性もある。事実、スタッフからは作風を変えることへの反感もあったという

しかし、青山氏がかねてルパンの大ファンだったこともあり実現へ前進。スペシャルアニメの企画から完成まで通常1年のところ2年以上の期間をもうけた。制作にあたっては両作品のスタッフからメンバーを募り、新しい制作班を組織。レギュラーキャラクター以外の登場人物の姿や風景をどちらの作風とも別のイメージにすることで「まったく新しい作品が出来上がった」(中谷氏)。さらに、オープニングやエンディングでそれぞれのテーマ曲を使うことも検討。双方のファンが楽しめる内容になる工夫が施されている。
(引用:
ライブドアニュース)

ルパン三世と名探偵コナンが対決なんてまるで夢のようなことがどうやってできるんでしょう。青山剛昌さんがネタを考え、モンキーパンチさんが練り上げるのか、それとも二人の意向を聞いて、別の、たとえば大川俊道さんかだれかが脚本つくるのか、、、。

キャストと声優はもちろん、そっくりそのままオール出演なんだそうですよ。どちらのアニメも。

果たしてルパンはお宝を盗み出せるか、コナンはルパンの企みと変装を見破って、事件を解決できるのか。

ルパンは今までお宝を盗み出せなかったことも数知れずありますから、盗み出せなく